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鬼の棲む半島・くにさきで歴史と文化をたどる1泊2日の山旅|#2 国東半島の森や海が見渡せる絶景の五辻不動尊へ

「くにさきの鬼は幸せを運んでくれる」。大分県の国東半島には、そんな言い伝えがあります。“よい鬼”に憧れた人々は、1,000年ものあいだ、岩峰や森、海が織りなす自然のなかで修行を行ない、祈りを捧げてきました。そんな場所には、どんな景色や暮らしが息づいているのだろう?山歩きや寺社めぐりで歴史をたどるとともに、くにさきの鬼のように、ものづくりを通して幸せを届ける人をたずねました。

1日目のようすはこちらから

宿の周辺をお散歩して朝日を眺める

日の出とともに目覚めて、「海浜旅庵 しおじ」のまわりをお散歩。馬ノ瀬(まのせ)と呼ばれる小島がぽっかりと浮かんでいます。干潮時には陸続きになり、歩いて渡れるのだとか。今日は、どんな一日になるのだろう。

「涛音寮」でくにさきの文化に触れる

姫島行きのフェリーが発着する伊美港の近くにあり、“波の音がするお屋敷”を意味する「涛音寮(とういんりょう)」。表装の工房と、国東半島で活動する作家のギャラリー、食事処を兼ねています。もともとは酒蔵として、約140年前に建てられた歴史深い日本家屋です。

訪ねたのは、涛音寮の館長であり、表具師として活躍する和田木乃実さん。表具師とは、屏風・掛け軸の制作や、歴史深い美術品・書物の修復を手がける職人のこと。涛音寮では、和田さんの作品や、修復のようすを記録した写真を見ることができます。

もともと学校で美術や工芸の勉強をしていたわけではなく、結婚を機に義祖父から技術を学んだという和田さん。「大きな六曲屏風を見たときに、作ってみたい!とときめいて、表具師を志したんです」。

古い着物や帯を活用したり、屏風に小窓をつけたりといった、常識にとらわれない作品づくりが特徴です。家族の思い出がつまった着物を屏風や掛け軸にリメイクしてほしい、といった依頼も多いのだとか。

工房では、作業風景を見学できることも。和紙や着物を取り扱う表装は細かい作業の連続で、清閑な時間が流れています。

「芸術の町」ともいわれ、染め物や陶芸、木工、絵画など、多様なジャンルの作家が集う国東市国見町。ギャラリースペースでは、個性豊かな作品を見学・購入できます。

涛音寮

大分県国東市国見町伊美2017
TEL:0978-82-1328(9〜17時)
営業時間:9:00-17:00
定休日:火曜日(祝日の場合は開館)
www.touinryou-sangaiya.com

神聖な空気が漂う「旧千燈寺跡」「五辻不動尊」へ

718年に建てられた「千燈寺(せんとうじ)」は、かつて中山本寺(なかやまほんじ)として栄えた場所。中山本寺とは、僧侶が修行をしていたお寺(中山)であり、お寺や坊が多く集まる場所(本寺)の意味。かつて千燈寺は、六郷満山最大級の寺院だったともいわれています。

本堂跡には、半肉彫(一枚岩に浮き彫りになった形)の仁王像が鎮座しています。木造のイメージが強い仁王像ですが、国東半島では石造が多いそう。全国の石造仁王像の八割がこの国東半島にあるといわれています。

奥の院(本堂)に到着。六郷満山の開祖である仁聞菩薩(にんもんぼさつ)の入寂(最期)の地もあります。ひんやりと、厳かな雰囲気が張りつめています。

少し進むと、およそ1,000基ほどともいわれる「五輪塔」がずらりと並びます。空・風・火・水・地という、世界を構成する五つのエレメントを表す五輪塔。「国東塔」と呼ばれる独自の形もあり、てっぺん(相輪)が長く、下部に花びらのような台座(反花・蓮華座)を持つのが特徴です。

「よく見ると、五輪塔と国東塔のルールが混ざって積まれているものもあり、その“ゆるさ”もいい。国東半島にままるまるとした短足の仁王像や、マンガのような顔の狛犬などの石像もあります。そんなユーモラスさも楽しんでもらえたら」。とガイドの浅野さんは笑います。

歴史深く神聖な場所なのに、おおらかで愛嬌がある。そんなところも、くにさきの魅力かもしれません。

無料休憩所「不動茶屋」に着いたら、コーヒーを淹れてひといき。穏やかな風に吹かれてぼーっとしたり、手書きの案内板を眺めたりしながらのんびりとすごす時間も心地よいものです。

不動茶屋から10分ほど歩くと、森や海、近くに浮かぶ姫島などが見渡せるパノラマの絶景が広がり、思わず歓声を上げます。「国東半島には電車がなく、この辺りは高圧電線や鉄塔も少ないので、森や空が広く見えますよね」。と浅野さん。

雨が少なく川も短い国東半島には貯水用のため池が多く、山の上からその姿を見ることができます。「山ではシイタケの栽培がさかんです。その原木はやがて朽ちて山の栄養になり、水に溶けて、ため池に注がれます。ため池の水は田畑に使われたあとに海に流れ、海が豊かになる。サステナブルが叫ばれるずっと前から、そんな循環が行なわれてきました」。

階段を登り、「五辻不動尊(いつつじふどうそん)」に到着。国東半島は凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)と呼ばれる火山岩が多く、掘削しやすい岩質なのだそう。そのため、岩のなかに御堂がめり込んでいる寺社がたくさんあり、迫力のある景色を楽しめます。

“よい鬼”と出合える場所「岩戸寺」へ

日本でもっとも古いといわれる石造仁王像が迎える「岩戸寺」へ。近くの成仏寺と隔年で「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」が開かれる場所としても知られます。修正鬼会とは、国東半島の伝統行事で、鬼が寺社や集落に現れる法会のこと。五穀豊穣や無病息災を祈って行なわれています。 石段を登った先には、静かにたたずむ神社が。仏さまを祀る寺院と、神さまを祀る神社。くにさきでは、ふたつが共存する神仏習合の伝統がいまも息づくことがよくわかります。ほかにも境内には、修正鬼会のメイン会場となる講堂や、最古の国東塔、岩屋などが点在。歴史の深さと、それぞれを守り続ける人々の尊さに、自然と掌を合わせます。

岩戸寺

大分県国東市国東町岩戸寺1222
TEL:0978-77-0537

案内してくれたのは……

浅野千愛さん

国東市観光協会所属。東京都出身。幼いころから地方で暮らすことに憧れ、4年前に地域おこし協力隊として国東半島に移住。古民家を購入し、DIYを楽しみながら暮らしている。

「はな珈琲」でひと息ついて、旅をふり返る

旅のしめくくりに、田深地区にある「はな珈琲」でおやつタイム。古民家をリノベーションしたお店の扉を開けると、着物姿の店主が笑顔で迎えてくれます。この日いただいたのは、ホイップどら焼き(350円)とコーヒー(500円)。

しっとりとした甘さ控えめのどら焼きは、くにさきの自然や人に似た優しい味。自家焙煎の豆をハンドドリップした、香り高いコーヒーによく合います。

レトロな店内は、つい長居してしまう居心地のよさ。「充実した2日間だったなぁ」と、旅に思いをはせて、心が満ち足りていきます。

はな珈琲

大分県国東市国東町田深613
TEL:080-6451-5326
営業時間:11:00-16:00(土曜のみ13:00-16:00)
定休日:火〜木、日曜
www.instagram.com/kunisaki_hana

かね松のみそをお土産に

(左)かぼす胡椒味噌(250g 648円)、(右)豆板醤入りにんにく味噌(200g 648円)
お土産には、明治25年創業の老舗「かね松」のおかず味噌を。国東半島産の大豆を使用した麦味噌に、大分の特産であるカボスや国産のニンニクをまぜた逸品で、ごはんのおともや野菜スティック用のディップ、お肉料理の調味料など、幅広く使えます。自宅でくにさきを味わえば、旅の思い出がすっとよみがえってくるはず。大分空港の近くにある「大分の空 むさし」で購入できます。

かね松:https://kanematsu-kunisaki.com

アウトドアブランドとのコラボアイテムが近日発売予定

今回、不動茶屋でのひと休みで使用したナルゲンボトルとシェラカップ、コーヒードリッパーに、「くにさき」の鬼をモチーフにしたロゴマークが刻印されたアイテムが近日発売予定!コラボアイテムをおともに、くにさきでの山旅をさらに楽しみませんか?

日本遺産のストーリーはこちらから

 

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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