BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

鬼の棲む半島・くにさきで歴史と文化をたどる1泊2日の山旅|#1 中山仙境で岩稜歩きや大パノラマを堪能

「くにさきの鬼は幸せを運んでくれる」。大分県の国東半島には、そんな言い伝えがあります。“よい鬼”に憧れた人々は、1,000年ものあいだ、岩峰や森、海が織りなす自然のなかで修行を行ない、祈りを捧げてきました。そんな場所には、どんな景色や暮らしが息づいているのだろう?山歩きや寺社めぐりで歴史をたどるとともに、くにさきの鬼のように、ものづくりをとおして幸せを届ける人をたずねました。

伝統と文化が息づく「くにさき」を歩く

大分県の北東部、瀬戸内海に面する国東(くにさき)半島は、いくつもの荒々しい岩峰がそびえる地形が特徴。古くから山岳信仰の地として親しまれ、「六郷満山(ろくごうまんざん)」とよばれる寺院群や修行の場が残されています。

僧侶が奇岩や岩屋をめぐって修行を行なう「峯入り」のコースは、「国東半島峯道ロングトレイル」として整備されています。ロングトレイルとはいえ、11〜17kmほどの10コースに分けられており、寄り道しながらほどよく歩けるのがうれしいところ。

到着したら、まずは「工房 あめのちはれ」で行動食を調達

古い納屋を改装した「工房 あめのちはれ」。店内には、九州産の小麦や甜菜糖、米粉などを使った体に優しいお菓子がずらりと並びます。甘いクッキーやサブレはもちろん、ほんのりと塩味がきいたビスケットも山歩きのおともにぴったり。「これもほしい、あれも食べてみたい」と、すぐにカゴがいっぱいに。

ベトナム風ホットサンドなどの軽食やスコーンのほか、オーガニックコーヒーや手作りスムージーなどのドリンクも。店内でいただくこともできます。

工房 あめのちはれ

大分県豊後高田市草地1802
TEL:090-5211-3297
営業時間:11:00〜16:00
定休日:日〜水曜
www.instagram.com/ame.no_ti.hare

くにさきで育ったハーブに癒されて

次に訪れたのは、ショップとカフェを兼ねた「百種(ももくさ)」。百種とは「さまざま、種々」を意味する万葉の言葉で、店内では、さまざまな形で自然を味わうことができます。

棚に並ぶのは、植物プロダクト「SUIGEN」のミストやハーブティー、お菓子など。原材料の多くが、国東半島の農園で栽培されたハーブや、自生する草花です。

「ブランド名には、口にするたびに大切だと思える言葉を使いたくて、SUIGEN(水源)を選びました」と話すのは、主宰のアントン沙莉さん。幼いころから植物に囲まれ、自然と共生する暮らしのなかで育ってきたそうです。水が豊かで「沖縄の水がめ」ともよばれる “やんばる”(沖縄本島北部)でブランドを設立し、現在は豊後高田市で活動しています。

SUIGENを立ち上げたのは、「ふだんの生活でも、自然に囲まれているような気分になれるものを作りたい」との思いから。「日常生活で気分を変えたいときや旅先のホテルでミストをひと吹きすれば、気持ちが落ち着きますよ」とアントンさんは話します。

朝露を帯びた草原の香りをイメージして作られたミスト「朝艸(あさぐさ)」は、レモングラスの芳香蒸留水をベースにしたフレッシュな香り。かつて訪れた森や、子どものころに遊んだ草原の情景がよみがえってくるようで、気持ちがほぐれていきます。

ハーブティーは、ヨモギやタンポポ、藤の花などを調合したもの。生態系を守りつつ少しずつ摘むため、時期によって植物のチョイスも変わるのだとか。ガラスのポットにお湯を入れると、ハーブから少しずつ色が出たり、花が咲くように開いたりするようすが楽しめて、待つ時間にもリラックスできます。

百種では、芳香蒸留水やオーガニック食材を使ったドリンクやお菓子、ランチを用意。大きな窓から田畑や山をのんびりと眺めながら五感を満たせば、心もほぐれていきます。

百種

大分県豊後高田市新城595-1 2F
営業時間:10:00〜17:00(ランチタイム:11:00〜14:30)
定休日:火〜金曜
SUIGEN:www.instagram.com/suigen.s
https://suigen-s.com

百種:www.instagram.com/momokusa_

大パノラマを楽しめる「中山仙境」へ

1日目の山歩きに選んだのは「中山仙境(夷谷)」。国東半島峯道ロングトレイルのなかでも人気のスポットです。

急峻な岩峰が連なるため古くから「大魔所」として恐れられ、修行場として使われてきた中山仙境。標高317mと低く、一般的なルートの所要時間は2時間ほどですが、登りごたえのある岩場も点在しており、アルプスのような山歩きが楽しめます。

「国東半島は火山の噴出物によってできたので、岩場が多いんです」とガイドの後藤裕之さんは話します。「いま歩いているところも、ベースはかたい岩。そのため、木の根は地中に深く伸びるのではなく、横に広がります。また、イワヒバやイワタバコなど、岩場特有の植物も自生しています。岩々しい山ならではの自然が楽しめますよ」。

道中にはいくつもの石仏が。それぞれをめぐることで、四国のお遍路とおなじご利益が得られるとされます。

切り立った岩と岩とをつなぐのは、肩幅ほどの無明橋(むみょうばし)。修験者が修行のために使うもので、邪念があれば橋から落ちてしまうとか。どきり……!

ラクダの背のように起伏のある尾根を進みます。まるで3,000m級の山にいるかのような高度感と、360度のパノラマ展望に歓声。ひとつの“こぶ”を登りきるごとに思わず立ち止まって景色を堪能するから、息が上がることが少ないのもうれしい。

山頂に近づくにつれて、周辺の山と谷、海のすがたがよく見えてきます。「天気がよければ、山口県まで見渡せますよ」と後藤さん。いにしえの人々もきっと、岩と森、海、空が織りなす壮大な景色に尊さを感じて、掌を合わせていたのでしょう。

山頂付近でひと休み。水分補給をして、「工房 あめのちはれ」で調達したおやつをぱくり。優しい甘みや塩味で体がほろりとほどけます。

岩壁の横を通り、下山口方面へ。倒れかかってきそうなほどダイナミックで、ごくりと息を呑みます。隠洞穴(かくれうど)とよばれる岩屋も発見。

少し下ると、苔むす森の景色に。ゴツゴツとした岩群からガラリと雰囲気が変わるので、まるで異世界に飛び込んだよう。天まで伸びるような長身のメタセコイアは、森のなかになぜか七本だけ生えているのだとか。不思議な力が宿っていると思わずにはいられません。

六人の神様が祀られる神社へ

下山すると、中山仙境と向かい合ってたたずむ寺社が迎えてくれます。お寺と神社があわせて三軒も横に並ぶようすは珍しく、厳かな雰囲気に身が引きしまります。今回は、そのひとつである「六所神社(ろくしょじんじゃ)」へ。神仏習合時代は、二軒となりに建つ霊仙寺の奥の院(お寺)でしたが、神仏分離後の現在は神社となっています。

境内には、六つの社(やしろ)があり、六人の神様が祀られています。足利尊氏が戦勝祈願のために植えたとされる六本杉も。木々が揺れる音だけが響く静かな境内で、深い歴史に思いをはせます。

六所神社

大分県豊後高田市夷1016
TEL:0978-54-2530

案内してくれたのは……

後藤裕之さん
大分県出身。国東半島峯道ロングトレイルやバスツアーでのガイドをつとめる。ガイド歴約18年のベテラン。くにさきでお気に入りのスポットは、今回案内してくれた中山仙境。

ミツマタの甘い香りに魅了される

国東市国見町の西方寺(さいほうじ)地区には、林道沿いに五つのミツマタ群生地があります。視界いっぱいに広がる黄色い花は、夜空に散りばめられた星のよう。甘い香りが漂っていて、先ほどの岩峰とはまた違った、柔和な自然に癒されます。

「西方寺ミツマタ保存会」のみなさんをはじめ、地域の方が植樹し、ていねいに管理しているそうで、ところどころに立てられた手書きの看板にもほっこり。自然を慈しみ、地元を大切にするやさしい気持ちにもふれられます。

西方寺ミツマタ群生地

大分県国東市国見町西方寺
www.city.kunisaki.oita.jp/site/kanko/2024mitsumata.html

真玉海岸で水平線に沈む夕陽を眺める

陽が沈むころ、訪れたのは「真玉海岸(またまかいがん)」。日本の夕陽百選や国の登録記念物(名勝地関係)にも選ばれている場所です。夕陽が海面に映ってきらきらと輝くようすは絵のような美しさ。干潮時に現れる砂浜の縞模様も多くの人を魅了します。

真玉海岸

大分県豊後高田市臼野5125

自然に囲まれた温泉で癒される

大分県といえば温泉!山歩きを堪能したあとは、静かな山あいにたたずむ「夷谷温泉」で汗を流します。褐色に濁ったお湯の泉質は硫酸イオン濃度が高い硫酸塩系。傷治しの湯や美肌の湯ともいわれています。「はぁ~……来てよかった」今日をふり返りながらお湯に浸かると、そんなうれしいため息がもれてしまいます。

夷谷温泉

大分県豊後高田市夷1855-1
TEL:0978-54-2995
営業時間:10:00~22:00(最終受付 21:30)
定休日:第2・第4月曜日(祝日の場合は翌日休業)
www.ebisudani-spa.planning-support.ks-rondo.net/index.html

「海浜旅庵しおじ」でゆったりと

宿泊地に選んだのは「海浜旅庵しおじ」。海岸沿いにあり、お部屋やお風呂からは海が眺められます。全5室で、周囲は車どおりも少ないとあって、静かに自分と向き合えるのも心地いいものです。

女将や若女将の気さくな人柄もこの宿の魅力。初めてなのに「ただいま」と言いたくなるような、どこかホッとする雰囲気です。

夕食には、近くでとれたタチウオやブリ、大分産の豚肉などを使ったごちそうがずらり。食べきれるか心配になってしまうほどボリューミーで、味わい深い料理にお腹と心が満たされます。天然の生ワカメは春だけの限定。お出汁にくぐらせた瞬間、鮮やかな緑に変わってびっくり!

敷地内では、オールハンドのリンパトリートメントも受けられます(女性限定・完全予約制)。穏やかな環境で、日々の疲れを癒すのもおすすめです。

海浜旅庵しおじ

大分県豊後高田市見目5708
TEL:0978-54-3382
チェックイン/アウト:15:00〜/10:00
宿泊料:中学生以上13,200円(税込・1泊2食付)
定休日:無休
https://ryoanshioji.jp

アウトドアブランドとのコラボアイテムが近日発売予定

今回、不動茶屋でのひと休みで使用したナルゲンボトルとシェラカップ、コーヒードリッパーに、「くにさき」の鬼をモチーフにしたロゴマークが刻印されたアイテムが近日発売予定!コラボアイテムをおともに、くにさきでの山旅をさらに楽しみませんか?

日本遺産のストーリーはこちらから

SHARE

PROFILE

ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

No more pages to load