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アウトドア好きなわたしたちができるSDGs【#10 REBUILDING CENTER JAPAN】

上諏訪駅からほど近い築60年のビルに、行き場をなくした生活雑貨が集まる店。
古材と古道具を販売する建築建材のリサイクルショップで、店内には解体する建物から引き取ってきたものが所狭しと並んで います。シビアにセレクトしすぎず、必要としている人に引き渡す。ていねいに磨かれた多種多様な生活雑貨が次の出会いを待っていました。

REBUILDING CENTER JAPAN

  • 住所:長野県諏訪市小和田 3-8
  • TEL:0266-78-8967
  • 営業時間:11:00~18:00
  • 定休日:水・木曜

お話を伺ったのは

東野華南子さん

幼少期を海外ですごし、高校から日本の学校へ。大学卒業後はサービス業に従事。結婚後は施工する土地に住みながら設計と建築を行なう「メヂカラ」を設立。その途中で出合ったいまのビルでリビセンをスタート

「リユース」ではなく「レスキュー」そのときの出合いがお店を作る

レスキューされたものだけがディスプレイされている

リビセンには店が売りたいもの、売れ筋や人気の品、という概念がない。行き場をなくして捨てられるしかなかったものたちが、きれいにされて店頭に並んでいる。リサイクルショップのスタッフが仕入れで訪れることもあるとか

ーー大きな建物のフロア全体に所狭しと古道具が陳列されていますが、どのように集めているのでしょうか

東野 リビルディングセンタージャパン(リビセン)は、もともとアメリカ・ポートランドの「 R e B u i l d i n gC e n t e r 」から名前やロゴの利用を公認してもらい、2016年にスタートしました。ポートランドではNPO法人、日本では株式会社の形態で、それぞれ独立した活動をしています。
私たちは家屋や工場の解体やお片づけの現場に、家主さんから直接連絡をいただいておうかがいし、行き場を失ってしまったものを「レスキュー」して店に並べています。ほかにも作家さんとの企画展や料理人さんたちとのランチイベント、スタッフが惚れ込んだ焼き菓子、私たちが作るオリジナルプロダクトなどをラインナップしています。

▲家具や棚など大型のものにはレスキューナンバーが振られており、「いつ、どこで、どのように使われていたか」がファイリングされていて閲覧できる

ーー仕入れはされていないとか。

東野 はい。骨董市場などには行かず、店から1時間圏内のところで「今度お家壊しちゃうんだけど」とか「いまお片付けしてて」というところに呼ばれて行って、まだ使えるものを引き取ってきています。
レスキュー依頼も、もう必要はないけど、捨ててしまったり壊したりは忍びないという気持ちで連絡をくださる方が多いです。なので物だけでなく、家主さんの申し訳ない気持ちとか、うしろめたさみたいなのも軽くできたらいいなという気持ちでやっています。

▲広いフロアに所狭しと並ぶ生活道具の数々

店内に入って圧倒されるのが、生活雑貨の充実度。食器や照明のシェードなどは年代物もあるので見ていて飽きない。とくに人気なのが小さめの取り分け皿や豆皿などの食器類。一般家庭で使われていたものなので、おなじ柄で数が揃っている点もうれしい

ーー諏訪市に店を構えることになった経緯を教えてください。

夫婦で建築の仕事で全国を転々としていたとき、日本はかなりの古材が捨てられているいっぽうで、外国から仕入れている現実にずっとモヤモヤしていました。日本の古材を売れば、輸入せずとも良い形で国内の不用品も減らせるんじゃないかと考えていたタイミングに、新婚旅行で訪れたポートランドでリビルディングセンターを見学したんです。その直後に問い合わせフォームから、日本にはこういう社会問題があって、日本にもリビセンがあると解決できる気がするから、名前やロゴを貸して欲しいとお願いしました。

あっさりOKをもらえて、じゃあ物件をと思ったら紹介してもらったのがいまの建物。大家さんにアプローチしたら、諏訪のためになるならと言ってすぐに貸してくれて。すべてがトントン拍子で、初めてリビセンに行ってからオープンするまで、1年くらいでできちゃいました。

でも古材屋さんだけでは店に入りにくいので、カフェは作ろうと決めていました。店のアイコンになるし、上階を見て疲れたから、ここで休憩してまた見に行こうとか、休める場所があるのはすごくいいなと思っています。カフェを目当てに立ち寄ってくれる常連さんも増えました。

▲ジャンルはさまざま年季の入った貴重な生活道具にも出合える
問題なく使用できるものはもちろん、修理をすれば使えそうなものもレスキューしているため、種類によっては貴重な品も。でも価格はあくまでも“ものの状態の程度の良し悪し”で決まるため、プレミア価格などは存在しない

ーー大きな建物のスペースを活かして、家具作りワークショップなどもされていますね

東野 ダイニングテーブルなどは、広いスペースと専用の工具も必要になるので、都内からの参加者も多いです。ありがたいことに最近はリビセンみたいなことやりたいですという問い合わせも多く、このビジネスは自分たちがやっていて大変だなって思うことがたくさんあったので、スクールを開講してノウハウをお伝えしています。社会の全体最適を考えるのであれば、自分たちが蓄積してきた知識や経験をオープンにして、みんなができるようになったほうがレスキューできるものが増えるという考え方です。

▲リビセンのことを深く知ることができる遊び心溢れるサインボード

1 階と 2 階のフロアをつなぐ階段の踊り場の壁一面に、リビセンに関するあれこれが書かれたサインボードが飾られている。表面はリビセンに関する疑問で裏面はその答えになっている。大人も小さい子どもも楽しめるユニークな仕かけ

ーーリビセンスタッフの8割が移住組と聞きました。古道具屋、DIYワークショップ、カフェ、レスキュー対応などお仕事が多岐に渡りますが、現在スタッフは何人ですか?

東野 社員は10人で、1日から参加できる「サポーターズ制度(ボランティアスタッフ)」があります。給料は出ないけど、寝る場所とごはんを提供する専用の宿泊棟を用意しています。多いのは建築系の勉強をしている学生さんですが、有休を使って来る社会人も多いです。

一見ボロボロの古道具も、手を入れればきれいになることを知れたら、捨てようとしていたものを掃除してみようと思えるかもしれない。それもリビルドのひとつだと思うんですよね。サポーターズを作ったのも、お客さんよりももう少していねいに、もののリビルドについて説明と体験ができる場所がほしいと思ったことがきっかけです。

先入観をリビルドした先に本当に住みたい社会がある

ーー近所の店舗のプロデュースもされているそうで、街づくりも担っている勢いです。

東野リビセンとは別に建築と設計業も手がけていて、携わった「あゆみ食堂」や「オルデ」というお花屋さんは、ぜひとも行っていただきたい場所です。

街づくりをしている感覚はないんですが、街全体が古い建物を壊さず資産にする。空き家や古材が活用されていくと、楽しい街ができるという事例になればと思っています。空き家のすてきな使い方を知れば壊すのをやめるかもしれないし、ほかでお店をやりたいというときの参考になるとうれしいですね。

▲地元の企業人や職人さんも訪れて自分たちの技術や知識を教えてくれる

床板や柱として使われていた木材がずらりと並ぶ倉庫では、職人さんがサポーターズに古材の掃除の仕方を伝授中。サポーターズのお仕事は、古道具の掃除もあれば、リンゴの仕分け、ガラスをひたすらカットする作業などさまざま

ーーあと2年で10周年この先の目標はありますか。
3〜5年目くらいまでは、リビセンががんばって集客して、いろんなお店を紹介して、などをやらなくちゃみたいな気持ちでいたんですが、もういまはこの街が十分最高だなって思っているのでとくにないです。
駅から歩いて10分圏内にいいお店がほどよくあるのでクルマの運転ができなくても楽しめるし、山に行きたいって思ったらサッと行けるし。山は好きだけど山のなかで暮らすのはちょっと違う。諏訪は本当に心地よくて住みやすいところなので、リビセンがあってもなくてもすてきな町。8年でそう思えるくらい諏訪のことが好きになれただけで、10年の目標は達成した気持ちです。

▲生活雑貨が目的じゃなくても気軽に入れるカフェ「live in sense」

「雑貨と家具しかない店だと目的がないと入りにくいですが、カフェなら目的がなくてもふらりと入れるので、カフェを併設することは最初から決めていました」という東野さん。写真は人気のスコーン。季節限定フレーバーにも出合える

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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