山のそばでものづくりVol.18「きーぽんライスワークス」北野貴紘さん 紗絵子さん
ランドネ 編集部
- 2024年07月22日
山のそばに拠点を置き、山の恩恵を受けながらものづくりをする人々に注目する本連載。今回は、甘酒造りを行なっている農家の北野夫妻にお話を伺いました。
農薬化学肥料不使用の米と米糀で作る甘酒
きーぽんライスワークス 北野貴絋さん紗絵子さん
富山県出身。夫の貴紘さんは米農家の 28 代目。2020 年に米の加工品を販売する「きーぽんライスワークス」を設立。3 人の子どもを育てながら、二人三脚で米作りと甘酒造りを行なっている。Instagram@keeponricework
▲工房に隣接する約 2.5ha の田んぼで、商品に使用している農薬化学肥料不使用の米を作っている。2 匹のヤギは家族でもあり、雑草を食べながら田んぼ周辺をきれいにしてくれる米作りの相棒でもあるそう
一部のアウトドアショップや山小屋で取り扱われ始め、山の行動食として愛用する人が続々と増えている甘酒がある。この甘酒を手がけているのは、立山連峰を望む富山県蜷川地区で農業を営む、「きーぽんライスワークス」の北野貴紘さんと紗絵子さん。ふたりは農薬や化学肥料を使わない米作りにこだわり、米とその米から作った米糀を材料に甘酒をはじめとする米の加工品を生み出している。
「登山は20年ほど前からハマっていて、立山周辺をよく登っています。山に登るときって、行動食を買うじゃないですか。農家として食べものを作っているからこそ、行動食を買って山に行くということに違和感があって。それで甘酒を作り始めました。甘酒という形なら、自分が作ったものを自分の好きなフィールドまで持っていけますからね」
▲炊きあがった米と米糀を混ぜているところ。米糀ももちろん北野家で作った米から作られたもの
甘酒なら、こだわって栽培した米を自分の好きなフィールドへ届けられる
ただの甘酒ではなく、山の行動食に最適な甘酒を作る。それを追究するために、地元のトレイルランナーやスノーボーダーに提供し、フィードバックを受けながら商品の改良を重ねてきた。
長距離を走るランナーからは「甘酒を行動食にすることで補給することが楽しみになった」といううれしい声もあったそう。「ライスポーション」というアスリート向けの商品も作り、今後も量や形状をどうするかなど試行錯誤し
ていきたいと貴紘さんは語る。「僕らはやっぱり生産者。農薬化学肥料を使っていない米で作っていて収量も限られるので、今後も大量生産は難しいと思います。人と人のつながりのなかで、少しずつ広げていきたいですね」
▲混ぜた米と米糀を釜に入れて、発酵させれば完成。甘酒造りの手順はこのようにシンプルだけど、気温や湿度などで発酵具合が変わるため、それを見極められる経験が必要となる
きーぽんライスワークスの商品ラインナップ
※写真右から紹介
■おやさい甘酒
自社栽培の米と米糀、季節の野菜や果物を使用した甘酒。春から夏にかけては、地元産のイチゴを 100%使用。イチゴミルクのような優しい味わい。470 円
■塩麹
ヒマラヤ岩塩と自社栽培の米から作った米糀を使用。持ち運びに便利な容器に入っているので、肉を漬け込むなど凝ったキャンプ料理に活用してみては。320 円
■こめるチョコ
農薬化学肥料不使用の雑穀たかきびと、玄米、有機カカオ、有機キャロブを発酵させたチョコソース。食物繊維が豊富で、行動食としてもおすすめ。540 円
■甘酒
水や砂糖を加えず米と米糀だけで作った“食べる”甘酒。糖度は50%と高く、のど越しや食べ応えもいいので行動時のエネルギーチャージにピッタリ。590 円
※写真右から紹介
■ライスポーション
1本で620kcalを摂取可能。看板商品の甘酒と、自社栽培の大豆をヒマラヤ岩塩で仕込んだ特製味噌、有機ココナッツオイルなどが入っている。1,250 円
■こめるチョコナッツ
農薬化学肥料不使用の雑穀たかきびと玄米、有機カカオなどを発酵させたチョコソースに数種類のナッツが入っている。ゴロゴロした食感が特徴。690 円
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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