REEBOK/ZIGPULSE(リーボック/ジグパルス)2010|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年12月20日
斬新なデザインが比類なき推進力を生んだ!
集中的なプロモーションの結果、高い知名度の獲得にも成功
リーボックというブランドは、足を包むようにフィットする薄くて柔軟なガーメントレザーの使用や、アッパーに空気を送り込むことによって究極のカスタムフィットを追求したポンプテクノロジーの印象もあって、フィッティングに強いスポーツシューズブランドの印象が強かった。もちろんERSやヘクサライトといった、クッショニングテクノロジーも発表していたが、それらはナイキのエアあたりと比較して体感しにくく、視覚的にも目立たなかった。
そんな状況が一変したのは、1997年に発表されたDMX RUNに搭載されたDMX10テクノロジー。元々はエナジェアという外部の企業が開発したテクノロジーをベースに、リーボックが改良を加えて開発したテクノロジーであり、ユニット内部を空気が移動することによって着地時の衝撃を吸収し、そのエネルギーを反発力へと変換した。この機能の登場により「クッショニングもリーボックの得意分野!」という認識が業界内に広まったが、2000年代に入ってしばらくすると、シーズンごとにエアを進化させたり、新たにSHOXを発表したナイキのクッショニング開発能力の後塵を拝することとなった。
スポーツシューズ業界に一石を投じる、革新的デザイン
そんな状況を打破すべく、2010年にリーボックがリリースしたのがZIGTECH(以下、ジグテック)であった。ジグテックはEVA素材をジグザグ状に成型することで着地時の衝撃を吸収し、その衝撃を跳躍力に変換するテクノロジー。ミッドソールをジグザグ形状にすることで、従来構造のシューズよりも高い屈曲性を確保したことも大きな特徴であった。このジグテックを初めて搭載したのがジグパルスであり、そのインパクトのあるデザインや、ブラックとイエローを大胆に組み合わせたカラーリングは、オリンピックとオリンピックの中間年にありがちな沈滞ムードのあったスポーツシューズ業界に一石を投じることとなった。2013年8月にアディダスがアメリカなどで先行発売したスプリングブレードや、同じくリーボックが全天候型スポーツシューズとしてリリースしたATV19もデザインにインパクトがあったが、このジグパルスはそういった、ユーザーに「何だ、このデザインは!?」と衝撃を与えるデザインの先鞭となった。
リーボックは1994年にファーストモデルが登場したインスタポンプフューリーでもデザインの革新性をアピールしていたが、ジグパルスはその伝統を見事に継承したといえよう。2011年にはあくまでプロモーションの一環であったが、その抜群の推進力のために「○○マラソンで禁止されたシューズ!」というキャッチフレーズでテレビCMが放映されて話題となったし、翌年には俳優の伊藤英明氏を起用したテレビCMも集中的に放映されたことから、ジグテックという名称、およびその独特なミッドソール形状の知名度は日本でもかなり高まった。現在のリーボックのランニングカテゴリーでキーとなるテクノロジーはフロートライドであり、そのクッショニング性能はコアなランナーからも高い評価を獲得しているが、その機能は素材に集約されており、視覚的なアピールは少ない。昔からのリーボックファンに言わせると、そこが物足りないという。
column
2010年2月にバルセロナで行われたグローバルローンチイベントには筆者も参加。サッカー元フランス代表のティエリ・アンリと一緒にその機能性の高さを体感した。
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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