青森県平舘海峡・マダイのスーパーライトジギング【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年08月24日
いまやメロン屋工房・永井真人のライフワークのひとつともいえるターゲットが、この「マダイ」だ。2021年5月。永井の姿はマダイゲームの聖地・青森県平舘海峡にあった。今回は永井が挑むマダイジギングの、前編をお送りする。
平舘海峡マダイジギング横方向で攻める理由
津軽半島と下北半島の間に位置し、津軽海峡と陸奥湾を繋ぐ青森県平舘海峡。メロン屋工房代表の永井真人は、今年もこの海にいた。
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響でこの地を訪れることはできなかったから、2年振りということになるだろうか。
▲船は初乗船の「オーツースナッパーズ」。永井の定宿「高栄丸」とは師弟的な関係だ。
ターゲットはマダイ。タイラバやテンヤではなく、スーパーライトジギングで狙う。
「平舘海峡のマダイジギングのおもしろさは、中層に浮いている反応をダイレクトに狙うところにあります。ジグをキャストして狙ったレンジまでカウントダウンし、横方向に引いてきます。いかにマダイがいる層を効率よく、かつ的確に攻めるか。ジグをボトムまで沈めてマダイの層を通過させてヒットさせるという方法ももちろん行いますが、中層の釣りは〝狙って釣る〞というところにおもしろさがあります。こんな釣り方を行うのは、他の海域ではなかなかありません」と永井は言う。
もう少し具体的に平舘での釣り方を解説してみよう。
永井が言う〝中層の横の釣り〞を行うのは下の魚探画像のように魚の反応が中層に映し出されているとき。この画像では水深は50mで、中層20~40mに帯状に魚の反応が出ている。これがマダイだ。
▲水深20~40mに出た帯状の反応。マダイだ。これをキャストして横引きで狙う。
ここは海峡ゆえ、潮はかなりの速さで流れることも多く、船もそれに流されて移動していく。つまり、この反応は同じ魚ばかりを捕らえて帯状になっているのではなく、イメージとしては30m前後にマダイの絨毯がある感じだろう。
そんな反応を攻略するのであるから、ジグを自分の真下に沈めて上げてくるという縦(バーチカル)の攻略では、ジグは“点”でしかアピールできない。マダイの絨毯を棒で突っつくイメージだろうか。
そこで、ジグをキャストして斜めに引いて来ることにより、より多くのマダイにジグを見せられる、というわけだ。しかも、マダイが中層にいるのだから、ジグをいったんボトムまで沈めるよりは、中層を直撃したほうがより効率的である(マダイがボトムにいるときはこの限りではない)。こちらは絨毯に“線”を引くイメージだろう。
▲中層に出た帯状の反応に効率よくジグをアピールするため、縦ではなく横方向の攻略がカギ。ジグをキャストし、中層へと送り届ける。
中層を直接狙う難しさとそれゆえのおもしろさ
ただ、である。この中層に浮かぶマダイの絨毯に線を引くという作業がなかなか難しい。
キャストして数十mラインが出ている状況で、船長が指示するレンジまでカウントダウンするのだが、たとえば1秒に1m沈むジグで海面から30mのレンジを狙うとすれば、カウント30して引いてくればよい、というほど単純なものではない。
カウント数はジグの重さや形状、素材、使用しているラインの太さによっても異なるだろうし、潮の流れや船の流れるスピードも計算してカウント数を変化させる必要もある。
ジグをどう引くか、も重要だ。反応の少し上からカーブフォール気味に引いて来るのか、下から斜めに上げて来るように引くのか、海面とできるだけ平行線
を辿るように引くのか…によっても、ロッド角度やリトリーブスピードを変化させなければならない。
同じスピードで引いても、浮き上がりやすいジグなのか、沈みやすいジグなのかでも引くスピードは変わるだろう。装着したフックによっても抵抗やジグの動きは変わる。
もっといえば、マダイの頭はどっちに向いていて、どこからジグを通してやるか、も重要だろう。もちろん、船は乗り合いなので、自分が引ける範囲(角度)は限られる。その限られた範囲で、どうジグを見せていくのか…。
そういったことを様々な角度から総合的に判断して、海の中を3Dで攻略していくのである。難易度が高く、非常にテクニカルな釣りだ。
「だからこそ、アタリを出し、フッキングが決まったときは本当に気持ちよく、“釣った感”が非常に強いです。この釣りの人気が高いのも納得です」
とはいえ、もちろん中層反応をボトムから狙ってもいいし、ボトムだけを狙うことも多々ある。実際に船長は、たとえば「水深は60m。反応はボトム付近と中層30~40mにあります」といったようにアナウンスすることは多く、「反応はボトム」ということもある。
「ボトムから引いているアングラーが中層だけを狙うアングラーよりもたくさん釣ることは珍しくありません。それでも、平舘海峡のマダイジギングのおもしろさは、やはり中層攻略にあると私は思っています。私はこの釣りをやりたくて、ここまで来るんです」
▲どのように中層の反応にジグを通すか。海の中を立体的にイメージし、ジグを操る。非常にゲーム性の高い釣りだ。
永井真人タックル
ロッド:メロン屋工房・MSJ70LS、70ULS(プロト)、65LS、69L
リール:シマノ・ステラ4000、4000H、オシアコンクエストCT200PG
ライン:Xブレイド・スーパージグマンX8 0.8号
リーダー:Xブレイド・FCアブソーバースリムアンドストロング4号
メタルジグ:メロン屋工房・トリッカー2 45~55g、トリッカースリム(プロト)50~60g、ウィークベイトMID50g、ウィークベイトショート40~60g
フック:メロン屋工房・LJアシストフックフッ素加工M~Lサイズ、同シングルM~Lサイズ、ジガーライトホールド別注フッ素加工1/0
スプリットリング:メロン屋工房・スプリットリングEX #3~4
▲一番左がニューモデルの「トリッカースリム」。次が「トリッカー2」。トリッカー2は平舘沖では定番だ。
▲ジグをキャストするのでスピニングタックルがメイン。70LSはこの海で生まれ、70ULSはそのライト仕様だ。
▲PEとリーダーはXブレイド製。PEは0.8号、リーダーは4号。スーパーライトジギング定番セッティング。
▲頑丈な歯を持つマダイ相手のゲームではフックやスプリットリングは非常に重要なアイテムのひとつ。
【この記事は2021年7月現在の情報です】
青森県平舘海峡・マダイのスーパーライトジギング【後編】はこちら>>>
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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