【スーパーライトジギング】船の流し方と釣り方の基本|前編
SALT WORLD 編集部
- 2021年08月26日
イサキをジグで狙って釣る。スーパーライトジギングの出現により、これまでは考えられなかったことが可能となった。だが、無闇矢鱈に攻めたところでは釣れない。条件があるのだ!
浅いポイントでイサキを狙う場合の船の流し方
スーパーライトジギングは、タックルやラインがライトでジグが軽いため、とくにイサキ狙いでは基本的には水深が15〜20m程度とかなり浅い場所を攻めることが多い。
そのような場所をどう攻めるか、ということなのだが、まずは一般的に船の流し方から。それには大きく2つある。
ひとつは、ドテラ。横流しとも呼ばれ、船の横から風を受けて流していくスタイルだ。
▲水深が浅いポイントのイサキ狙いでは、ドテラ流しが有効。アングラーは船が進んで行く方の舷で釣る。ナチュラルなジグのフォールが可能だ。
もうひとつが、スパンカーを揚げて潮で流していく、縦釣り、潮流しなどと呼ばれるスタイルだ。スパンカーを揚げることで風上に船首が向き、潮の流れで船は流れていく。
▲水深が深いポイントや、乗合船などで釣り人が多く乗船する状況では、スパンカーを揚げた流し方がのほうが立って釣りやすい。
では、水深の浅いポイントでのイサキをメインターゲットとしたスーパーライトジギングでは、どちらが適しているかといえば、前者のドテラ流しである。
ドテラ流しでジギングを行う場合、一般的には船が進む方向とは逆の舷、つまり潮が払い出していく方の舷で行う。ラインが沖へ沖へと斜めに出ていくので、ジグをしゃくりやすいのだ。
ところがイサキ狙いの場合はしゃくりではなくフォールを多用する。しかもジグは軽い。払い出しの舷でジギングを行うと、ラインが張られて軽いジグは浮き上がってしまいやすいのである。
それが船が進んでいく方の舷、つまり潮が向かって来る方の舷であれば、ジグをキャストして攻めれば船はどんどんそのジグに近づいていくので、よりナチュラルにジグをフォールさせることが可能。そして後述するが、ジグにヒットしてくるイサキは中層に浮いていることが多い。つまり、狙った中層の一定レンジをできるだけ長く誘いたいので、ラインを張られることがないのでこれも可能となるのだ。
また、15〜20mといったように浅いポイントであるので、払い潮の舷では船が通った後をジグが通過することとなる。根の上を船が通過すればそこに大きな影が落ち、エンジンを切っていたとしても船の揺れによる波の音が海中に響いてしまう。これがプレッシャーとなるのだ。そのような場合、下にいる魚はいったん船の影から逃げ、通過したらまた同じ場所に戻るという行動を取る。
深場ならまだしも、浅場でこれで魚を釣るというのは、なかなかに難しいのは想像に難くない。
したがって、水深が浅いポイントでのイサキ狙いのスーパーライトジギングでは、船が進んでいく方にキャストして攻める、ということが重要なキーワードとなる。
では逆に、どんな状況でスパンカーを揚げた流しが有効なのかといえば、水深が深いポイント、風が強くドテラでは船の流れるスピードが速すぎる場合、多くの釣り人が乗船して両舷で釣りをする、といった状況となる。このようなときは、スパンカーを揚げて流したほうがラインが立つので快適に釣りができる。
▲水深が浅いポイントでは、船の存在そのものが魚にプレッシャーを与える。そのため、それを考慮した攻略が重要だ。ドテラ流しの迎え潮舷で釣りをすることにより、様々なメリットの恩恵を受けるられる。
イサキがジグで釣れる条件とは?
スーパーライトジギングのターゲットは、南北に長い日本列島ゆえエリアによって大きく異なり、前述のようにタックルをスーパーライトにしたことで、これまでルアーではなかなか釣れなかった魚種もターゲットとなった。
そんななかで、関東以南の太平洋側や北部九州などでいま最も注目を集めているのが、イサキだ。
そもそもイサキはフィッシュイーターという認識がないため、ルアーで狙って釣れるのか、という疑問を持つ方も多いだろう。全国のほとんどのイサキ釣り場ではコマセ釣りで狙っているからだ。
だが、実際はルアーで狙って釣れる。だからこそ、たまたま釣れたではなく〝釣った〞ときは、経験豊富なベテランアングラーでさえ大声で叫んでしまうほどに本当に嬉しい。この釣りの第一人者であり、これまで相当数のイサキを釣ってきた中村さんでさえも、いまだにイサキがジグで釣れれば大騒ぎだ。
ただ、イサキはいつでもどこでも狙って釣れるのかとえいば、そうではない。
「ベイトが絡んでいることがキーワードになります。たとえば、ベイトのところでヒラマサやワラサなどの青物がボイルしていれば、その〝周辺〞や〝ボイルが終わった後〞がイサキのポイントになります。ボイルがあると船長さんたちはその進行方向へ先回りして狙わせてくれようとするのですが、イサキに関してはその逆なんです。フィッシュイーターがベイトを痛めつけて、イサキはそのオコボレを狙っているんです。したがって、イサキを釣りたいのであれば、ボコボコに湧いているナブラを攻めてはダメです。青物が先に食ってしまいます」
▲ジグをキャストする際は必ず後方確認を行うようにしよう。ロッドが軟かく、ジグにはフックが前後に付いている。十分に注意したい。
かつては夏場だけしかイサキはジグで釣れないと考えられていたが、最近はベイトさえ絡めばシーズンを問わずジグでイサキが釣れるということが分かってきた、と中村さんは言う。実際、日本海の隠岐の島や静岡県の御前崎などでは、冬場でもイサキを釣ることができる。
さて、関東周辺ではイサキはコマセ釣りで狙う。そんな関東ではイサキはジグで釣れないかといえば、決してそんなことはないだろうと中村さんは言う。「実際に釣りをしたわけではないので、これは想像の範囲ですが、コマセ釣りのポイントを狙うのではなくて、イサキが回遊している根周りで、ベイトが絡んでいるようなエリアを探してみるとよいかもしれません。そんな場所があれば、関東でもイサキがジグで釣れる可能性は十分にあると思います。もしくは、コマセ釣りで狙っている瀬であっても、ベイトが入って来るタイミングを狙ってみるというのもよいかもしれません」
関東エリアでもイサキがジグで狙って釣れる日は、そう遠くないかもしれない。
▲コンとボトムコンタクトした瞬間に、手でリールを押さえてロッドをしゃくり、ジグを跳ね上げさせる。慣れなければベイルは返さなくてもいい。
【この記事は2020年2月の情報です】
【スーパーライトジギング】船の流し方と釣り方の基本|後編はこちら>>>
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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