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豪快に、繊細に、マグロを追い求める~佐野ヒロム・ツナゲームスタイル徹底解説【第1回】

クロマグロ、キハダはもとより、ヒラマサ、GTなど、幅広いターゲットを日本国内のみならず、世界中へ求めて釣行するオフショアゲーム界の第一人者のひとり、佐野ヒロム。ご存じのように、彼のスタイルはかなり豪快なイメージだが、タックルセッティングも釣り方も、実はもの凄く繊細でシステマチックに組み立てられている。ここでは、そんな佐野のツナゲームのキャスティングを4回にわたり紹介していく。

※編集部注 2021年9月現在、日本国内におけるクロマグロの遊漁は禁止されています。本記事は来年以降の再開(詳細は未定)に向けた参考としてご活用いただければ幸いです。

タックルは可能な限りの本数を持参

クロマグロ、キハダ、ヒラマサ、GT、サクラマスなど、ビッグゲームから近海のライトゲームまで、キャスティングもジギングも、そして海から淡水まで、さらには日本国内から海外まで、まさに世界を股にかけて幅広く活躍するエキスパートアングラー・佐野ヒロム。いわずとしれた、日本を代表するトップアングラーだ。

▲豪快なスタイルのイメージが強い佐野ヒロム。そのイメージとは逆に、実際の釣りはかなり繊細でシステマチックだ。

そんな佐野がクロマグロ狙いで通うのは、青森県と北海道の間にまたがる津軽海峡エリア。ここへは北海道の松前や函館からと、青森県の小泊からも出船している。 キハダは佐野のホームグラウンドともいうべき相模湾、駿河湾、伊豆南沖、伊豆諸島、三重、そして沖縄県の久米島へも釣行する。

ここでは、そんな佐野のクロマグロとキハダのタックルセッティングやルアー、そしてキャスティングやアプローチ方法などを、文章と写真でご紹介していきたい。

まずはタックルだ。

佐野は、タックルは許される限りの本数を船に持ち込む。

「その最大の理由は、どうやって食わせるか、です。選択肢が多いほうが、そのときに最適なルアー、タックルでアプローチできます。ブラックバスのように、ルアーの特性に合わせたタックルをセッティングし、最適なルアーアクションを演出するためです。理想は、魚のサイズ、使うルアーに合わせたものをそれぞれ用意できること。ただ、それは現実的に不可能であり、船に持ち込める本数も限られます。もし、一人でチャーターできるのでしたら、使うルアーをすべてセットしたタックルを用意すると思います」

▲瞬時にその場の状況を判断し、最適なタックルをセレクトして撃ち込む。そのために、複数のタックルを持参する。
▲リールは佐野が絶対的な信頼を置く、20ソルティガ。耐久性やドラグ性能など、ソルティガ史上最強を誇る。

ふたつめの理由は、何かトラブル等があった際の予備的な意味合いだ。

「たとえば、PE12号で魚をキャッチしたとします。だけどランディングの際に船底にこすってラインに少し傷が付いてしまった。でも、ナブラはまだ湧いている。体力に余裕もあるので、もう一度ファイトも可能。その傷がついた12号でキャストするのか、サブの10号や8号でキャストするのか、ということになるかもしれません」

では、みなさんならどうするだろう? 傷ついた12号? それより細い10号……? 超大型のモンスターが跳ねていたら、”投げない”という選択肢もあるかもしれない。傷ついた12号や10号では、確実に獲れるとはいいきれないからだ。モンスターに挑む姿勢ではないのだ。

だから佐野の答えは「私は12号がもう一本あったほうがいいと考えます。常にモンスターがヒットする可能性があるわけですから。だから私は、クロマグロならPE12号のタックルは必ず2本持参します。複数タックルを持参するのは、そういうことです」

とはいえ、12号だけを持っていけばいいかといえば、そうではない。

「12号ではナブラに届かなかった、だけど10号や8号が使える魚で、それなら届いたかもしれない、ということもあるはずです。だから、タックルは複数用意できればそれに越したことはないんです」

3つめの理由は、「ラインのダメージ(劣化)を減らすことができます。一本のタックルを使い続けるのではなく、何本かを回して使うことでダメージを分散できます」

4つめは、チャンスを逃さないため。「ナブラが湧き、その状況に合ったルアーがセットされていなかったら、ルアーをチェンジしている間にナブラが沈んでしまうかもしれません。しかも、その日はもうその後はナブラが湧かなかったとしたら、悔やむに悔やみきれません」

▲ここではキャスティングに的を絞って紹介しているが、佐野はクロマグロもキハダもジギングでも数々の実績を上げている。スタジオオーシャンマークのマグロチューンリールは要注目だ。

では具体的にみていこう。

クロマグロの場合は、ロッドは6ft後半から8ftまで。ラインは、50㎏クラスまでの場合は4~5号を使うこともあるが、基本的には6~12号となる。

12号の場合は、モンスターとのファイトを考慮して、ロッドは6ft後半から長くても7ft半までと短め。そのほうがファイトがラクだからだ。

「最もアツいのはシイラパターンなので、大型ルアーを投げられ、12号にも対応しているパワーを有したロッドが必要です。モンスタークラスを獲ることを考えると、ドラグが最終的に30㎏以上掛かっても耐えられるものですね」

船は基本はチャーターだが、小型船も多いので本数は3~5本。その内訳は、12号×2本、10号、8号、6号。魚のアベレージが小さく6号がメインとなるような状況でも、必ず12号は持参する。海では何が起きるか分からないからだ。

相模湾のキハダでは、タックルはPE3~6号クラスを用意。ロッドの長さは8~9ftである。

仕立船で多く持ち込めるような状況では、シンキングで3セット、フローティングで3セット。ルアーのサイズは、それぞれ大、中、小。フローティングの場合、大は20㎝程度、中は18㎝前後、小は13~14㎝。シンキングは、大で20㎝程度、中は11㎝前後、小は9㎝前後である。

「乗り合いで持ち込み本数が制限されるときは、その中から3本厳選します。具体的にどのラインクラスをセレクトするのかというのは、そのときの状況によります。大型がヒットしているようでは強め、それほど大きくないようであれば細め、といった具合です」

▲クロマグロ用タックル。狙うはモンスター。それゆえ、PE12号を軸に、6~10号をセッティング。PE12号タックルは必ず船に2本持ち込む。
▲キハダ用タックル。システマチックに攻略するために、船に持ち込める可能な限りの本数を持参する。乗合船では3本程度に厳選し、ラインはPE3~6号。

さてタックルに関して、佐野はひとこと言いたいことがあるという。それは、「時々船長や他のアングラーに佐野さんのタックルで投げさせてください、と言われることがあります。ボクは正直、それが凄く嫌なんです。とくにモンスター狙いなどで真剣勝負しようとシステマチックに完璧に、そして丁寧かつ繊細にタックルをセッティングしているのに、それを触られてもし何かあったら……と考えると、とても嫌な気持ちになります。もしそうなったら、お互いが嫌な気持ちになりますよね。だから、できれば釣りをしている最中は、私のタックルには触れないでいただければと思います。ただ、ボクから使ってみてください、というときは何の問題もありません」

マグロはサイズがサイズであり、チャンスも少ない。そういう魚を獲るために、佐野は道具やフィールドと常に真剣に向き合っている。

豪快に、繊細に、マグロを追い求める~佐野ヒロム・ツナゲームスタイル徹底解説【第2回】はこちら>>>

豪快に、繊細に、マグロを追い求める~佐野ヒロム・ツナゲームスタイル徹底解説【第2回】

豪快に、繊細に、マグロを追い求める~佐野ヒロム・ツナゲームスタイル徹底解説【第2回】

2021年09月19日

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SALT WORLD 編集部

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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。

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