茨城県・鹿島沖のスーパーライトジギング!【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年11月06日
長きに渡り関東のジギングエリアとして知られる鹿島沖。青物ジギングの入門の場所として最適なエリアであり、ヒラマサ、ブリクラスの回遊があると、一気に活気づく。だがそれとは別に、2019年から、様々な魚をターゲットにスーパーライトジギングの地として賑わいだしてきている。
今回はそんな、さらなる盛り上がりが期待される鹿島沖での実釣の様子を、前後編で紹介する。鹿島の特徴を生かしたジグセレクトは、ぜひ参考にしてほしい。
SLJを楽しむのに最適な豊かな海域
茨城県の鹿島は、ジギング創成期はイナダ釣りの場所として賑わい、その後、遊漁船の開拓、タックルの進化によってワラサ、ブリ、ヒラマサ、マダイ、さらにはシーズンによってマゴチなど、様々なルアーフィッシングが広がっていった場所だ。関東のアングラーにとって、タイミングさえ合わせれば、青物を高確率で狙える地として人気がある。南から黒潮が流れ、北から親潮が流れ、南からの魚の回遊、北からの回遊があり、それらが狙える海域というわけだ。
だが、それだけではない。青物の回遊があるだけでなく、温かい黒潮と冷たい親潮が混ざり合うことで、プランクトンが多く、フィッシュイーターたちのベイトとなる生き物も多いため、古くから豊かな海域が形成されているのだ。そんな地で、スーパーライトジギング(以下SLJ)が広まりつつある。様々な魚が豊かにいるのだから、SLJが楽しめるというのも、当然と言えば当然だ。そこで鹿島でのSLJとその魅力を、ダイワテスターの栗山佳尚氏、ダイワスタッフの戸出玄樹氏の両名に実釣とともに解説してもらった。(以下敬称略)
▲お手軽、そして楽しいSLJ。初心者でも、エキスパートでも楽しめるスタイルだ。
実はこの2019年の10月下旬の取材は、二度にわたり悪天候の影響で流れた。そしてなんとか時化が落ちついた日程で沖へと繰り出すことになった。まずは取材班の入る前日の午後、栗山、戸出の2人だけで実釣。マダイ、ヒラメと釣れ、まずまずの手応えを残したようだ。そして取材当日、この日も午前中は風が強いということで、船長判断で午後からの出船とした。
栗山にとって鹿島はホームグランド。以前、船長をしていたこともある。一方、戸出は伊勢湾、鳥羽、九州、日本海と、様々なエリアでSLJを楽しみ、そして誌面や動画などでその魅力を紹介している。鹿島でのSLJは数回目だが、面白いエリアだという。
船は鹿島港の植田丸。まだ若い植田竜也船長が舵を握り、自身もジギング好きだ。もちろんSLJにもすぐに興味を持ち、そしてハマりつつある。これからこの地のSLJを牽引してくれるに違いない。
▲鹿島港でいち早くSLJ 乗合を始めた植田丸。船長の植田竜也さんもSLJが大好きだ。出船日は植田丸ホームページのカレンダーで確認してほしい。また空いている日に予約し、人数が集まれば、SLJで出船可能だ。
探るエリアは、港からすぐのエリア。船を流し始めの位置に着け、パラシュートアンカーを投入。「水深30mです。やってみてください!」と船長から投入の合図が出た。
「鹿島沖は遠浅で、砂地、岩盤、魚礁、沈み根と様々なポイントがあり、スーパーライトでは水深30mほどの場所を探っていきます。起伏の激しい場所ではないので、根掛かりも少なく探りやすいですね。SLJはこの地でもやれると前々から思っていて、実際に試したところ、ばっちりハマりました。ちなみにマダイはほぼ周年狙えます。その他、ワカシ、イナダ、ワラサなどの青物、ヒラメ、ホウボウ、メバル、根魚など季節に応じて狙えるので、一年中SLJを楽しめますね」(栗山)
▲取材の前日の午後船で、栗山、戸出の両名はSLJで乗船。一般のお客さんと一緒に楽しんだ。濁りがきつい状況ながらも、青物はたくさん、マダイ、そしてヒラメはポツリポツリと当たったようだ。
基本の探り方とジグセレクト
実釣開始。二人はジグを軽くキャストし、サミングしながらジグを落とし込んでいく。そしてボトムに着底したことを感じたら、ただ巻きで探る。操作の基本は簡単、ただ巻くだけだ。
▲誘い方の基本は、ただ巻くだけ。スピード変化で当たりパターンを探していく。もちろん時には軽くしゃくるのが効果的なこともある。
「SLJでは、しゃくったり、潮の流れを読んだりといったこともありますが、基本はただ巻きで良いと思います。それで様々な魚が釣れる。難しく考える必要はないです。タックルは軽く扱いやすく、そしてリーズナブルなものも多い。誰でもすぐに挑戦できる。そして仲間とおしゃべりしながら、楽しくやれるのがいいですね」(戸出)
▲キャストして着水後のサミングは必要不可欠。特に風が強い場合は、きちんとサミングしながら糸を送り出したい。そして根掛かりしないようにしっかりと着底を確認したい。
全国をSLJで釣り歩く戸出に鹿島の特徴を聞いたところ、船の流し方だという。通常はドテラ流し、またはスパンカー流しだが、植田丸ではパラシュートアンカーを入れて潮と同調させて流す。そこでジグをキャストしてより広く探り、船下にジグが来たら、回収して再びキャストして探っていくという。
▲植田丸は状況に応じてだが、基本はパラシュートアンカーで潮に乗せて流す。ジグは軽くキャストして、広く探っていくのがいいという。
「エンジンを切り流していきます。その中で、魚が溜まっている場所にジグが入ると、船中でバタバタとアタリが出る感じですね。誰かにアタリが出たら、チャンスです」(栗山)
こんな話を聞いていると、幸先よく、戸出から「ヒット~!」の声が出た。その引き方からして青物の様子。楽しそうにファイトを続け、船べりに寄せたのはイナダであった。
▲幸先よくヒットさせた戸出。正体はイナダ。ライトなロッドだからイナダサイズでも、その引きとドキドキを味わえる。
「このサイズでも、SLJならスリリングです。中層で当たりました。ジグを動かす範囲は、基本はボトムから中層です。ボトム付近でマダイや底物を探り、中層で青物や浮いているマダイを探る。その中で、巻きスピードを変えて当たりパターンを探ったりもします。青物の回遊があるようなら速巻きにするなどです。あとはジグ交換でシルエットや動きの変化を出したり、フォールのスピードを変えたりしますね」(戸出)
▲ワカシ、イナダは、回遊と船の流しがリンクすると、パタパタとヒットしてくる。時には2匹ヒットすることも。
ちなみに基本の巻きスピードは、意外と速い。1秒間にハンドル2回転ほどといったところだ。ちなみにこの時の戸出のジグは、TGベイトSLJの45g。スタート時は、紅牙ベイメタル真鯛の40gを装着していたが、フォールの動きに変化を与えたという。戸出は、アタリが無ければあれこれ交換していくスタイルだ。一方、栗山はスタート時から紅牙ベイメタル真鯛の40gのままだ。
を発揮するソルティガFKジグSLJ。
「逆に僕は、あまりジグを頻繁に変えません。1つのジグをある程度の時間は使い続けます。あれこれ使い迷いが出ると、何が良いのか分からなくなるからです。周りの人を見て、当たっているカラーなど、はっきりしている時は変えます。また当たりが遠いときは、色だけなど、少しだけ変えます。仲間で釣行するなら、あえて皆で色や種類を変えて、当たりジグを見つけていくのもいいですね。またジグは水深+10gというのが基本です。今回は水深30mなので40g。そこから潮の速さで底取りが難しかったり、フォールスピードを上げるためなどで重くすることもあります。最も重くても80gでしょう。」(栗山)
▲イナダの釣果を見て、ジグを速めに巻きヒットさせた栗山。こちらはワカシサイズに変わってしまった。
【この記事は2020年2月現在の情報です】
茨城県・鹿島沖のスーパーライトジギング!【後編】はこちら>>>
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SALT WORLD 編集部
近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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