カンパチのジギング ハイ&スローピッチで攻める沖縄県・与那国島【PART3】
SALT WORLD 編集部
- 2021年12月23日
ジギングを好むアングラーのなかには、カンパチに対して特別な思いを抱く人は少なくない。ヒットした後のスピード感とトルク。青物とは言うものの、まるで根魚のような根への執着。
まっしぐらに根へと向かい、アングラーをあざ笑うかのように翻弄する。そんなカンパチに魅せられたゼスタ代表、宇都宮基浩氏の釣行に同行した。
前回は最低でも20kgを狙うという宇都宮氏のタックルについて紹介した。序盤から天候に恵まれず難しい釣行となったが、今回はいよいよ最終日の様子を紹介する。(文中敬称略)
B‐48PPJのハイピッチで会心の20㎏クラス
早くも最終日である。この日は朝からなんとか出船できるが、風速はやはり10m前後は吹いていた。太郎丸は島の南側のカケアガリを中心に、転々とポイントを探っていく。
いったいいくつポイントを探っただろうか。ハイピッチ、スローピッチ、ジグも換え……と、ありとあらゆる手段を講じるが、本命のヒットはない。やはり島に近いポイントの魚は相当にスレているのだろう。
そこは水深290mから駆け上がっていく場所だった。潮は南西から北東へ流れている。風は北東から南西へ10m前後。潮風真逆。海面は激しく波立っている。ウネリもある。それでも船速は2ノット出ていた。
しばらく流しても誰にもアタらない。潮回りするため、船長から「上げてください」との合図が出た。
そのとき宇都宮にはなにか感ずるモノがあったのかもしれない。もう一回ジグを着底させたのだった。
船は横向きになり、ドテラ流しのようになりかけた。ラインが張り気味になる。
「気持ちよくロッドが振れました。これは来るな、そう直感しました」
そのときの状況を宇都宮は後にそう振り返った。ジグはフレアの600g。それをPPJの真っ白なブランクスが残像としてしか目に映らないほどの超高速でしゃくっていく。とても〝普通の人〞では真似できないパワフルなアクションだ。
海底から15〜20回ほどしゃくったときだった。PPJシリーズで最も強い#5(B‐48PPJ)が弧を描いたまま止まる。そして次の瞬間、いきなり凄い勢いでラインが引き出された。
「これはいいサイズですよ!」
この日は風がどんどん上がる予報。これをバラしたら次はないかもしれない。船は波とウネリで2mも3mも上下する。宇都宮は慎重に慎重を重ね、丁寧にファイトした。
カンパチ20㎏クラス。日本最西端の与那国島とはいえ、超がつくほどのタフコンディションでの貴重な一本。しかもこのサイズ。ハイピッチの威力の片鱗を見たような気がした。
この後、ハイピッチ使いの名手・榎本鉄平が強烈な一発を掛けるが、ウネリと潮と風による波の上下が激しすぎてバレてしまう。その後はさらに風が強くなり、早上がりとなってしまった。
宇都宮たちが行うハイピッチスタイルは、正直言って、誰もが使いこなせる道具ではないし、誰もができる釣り方ではない。かなりアングラーを選ぶ釣り方だ。相当な体力と筋力、そしてそれに耐えうる道具、さらには強靭な精神力も必要だ。
だがこの釣り方は、とくにカンパチに対してはひとつの釣り方として非常に有効である。実際、超タフコンディションの状況で宇都宮が20㎏級をキャッチしているのだから。この釣り方を実践できるだけの体力と気力、精神力、そして道具があれば、その先にはこれまでとは違った世界が広がるのは間違いない。
【この記事は2020年1月現在の情報です】
カンパチのジギング ハイ&スローピッチで攻める沖縄県・与那国島【PART1】>>>
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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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