キンメ&クロムツ ディープライナー東村真義の室戸沖戦略【前編】
SALT WORLD 編集部
- 2022年01月14日
やってみると意外に簡単、疲れない! そんな声が多いキンメ&クロムツゲーム。日本を代表するキンメ漁場でもある高知県室戸沖を舞台に、船長、そしてアングラーとして活躍するディープライナーの東村真義。アングラーとしては全国も飛び回る、先駆者ならではのキンメ&クロムツゲームを教えてくれた!
喰わず嫌いでは惜しい! キンメ&クロムツゲーム
「不確実性の高い青物ジギングに比べると、確実に釣れてくれる、という点は大きな魅力だと思います。タナを攻める釣りというところもいい。底から100mも浮く場合もあるし、底から50m、ボトムベタベタ、ということもあります。探りながらアプローチしていくのが基本ですが、ゲーム性は高く面白いですね。
通常のジギングでは手にすることが出来なかった魚に出会えるという点も魅力でしょう。美味しく、高級魚でもあるキンメやクロムツを、家族や友達と一緒に分かち合うことができる。嬉しいですよね」
今回、アングラー目線としてのキンメ、クロムツゲームの魅力を教えてくれた東村真義。かたや船長としての目線ではどうだろう?
「キンメ、クロムツは意外に足が速い、つまり移動が速い魚。群れの移動に合わせ、探しながらアプローチすることの難しさは、同時に面白さでもあります。狙い通りにジグを群れに入れ込むことができたら、全員ヒット! ということも多々ある魚です」
当てた! してやったりという感覚があるのだろう。これは同船アングラーとしても共有できる嬉しさではないだろうか? 水深自体は深くとも、以前の青物狙いのようなジギング、つまり激しくシャクって、速く巻くという釣り方ではない。
「キンメ、クロムツに限らず、深海魚は相手から近づいてくるエサを待つ、という習性の魚が多い。だから激しくシャクる必要はないんです。こうした習性がスローピッチジャーク(以下、SPJ)の釣りにマッチしています。柔らかいジャークにフォーリング、これがとても有効なんです」
掛けてからも根に走られるリスクはほぼない。自分のペースでゆっくり上げてくればよい。
「しんどいイメージを持つ方も多いようですが、意外に深海の釣りって楽ですね」という声も多い、と東村。しっかり釣り方の特徴を伝えれば比較的入門しやすい釣り、ということかもしれない。
ジグウエイト800gがタックルセレクトの基準線
深場ならではの、水の抵抗を背負ってジャークする必要があるのがキンメ&クロムツゲーム。抵抗に対してどのようなタックルバランスでアプローチしていくのかは、とても重要になる。
「感度、操作性に優れたロッド、止まったような動きを演出できるジグ、より力が不要なジグ、水の抵抗に対して切れのいいラインなど、ここ10年でタックル面は大きな進化がみられたので、始めやすい状況が整っていると思います」
室戸沖を前提にした東村のロッドセレクトは、使用ジグが800gを超えるか否かが分かれ目になる。
800gまでのジグを使う場合は、狙う水深が200~400mまでの時で、潮が緩いケースだ。この場合は、ロジカル#9、#10のような高番手のスローピッチジャーク用ロッドを使用する。
水深が400m以上の場合、水深が400mまでであっても、潮が速く、必然的にジグウエイトを上げなければ釣りづらい場合は、800g以上のジグを使う。ロッドは高弾性、高反発なショートロッド、マニアフェローズシリーズを中心に使用する。
「800g以上のジグを使うときとは、つまり、水の抵抗が大きく、ボトムコンタクトが分かりづらい状況です。こういう状況でロッドがジグウエイトや水の抵抗に負けてしまうと、感度が落ちてボトムコンタクトが分かりにくくなる。ジグにキンメが寄ってきたときなどのフィッシュコンタクト、もちろんアタリも同じで分かりにくくなってしまいます」
ワークエリアを幅広く取りたい、つまりジャーク&フォールの幅を大きく取りたいときは、長いロッドをセレクトするのが基本だ。
たとえばロジカルを使用する場合は70を選択する。上へ上へのアプローチが効果的な場合には短めのロッド、たとえばロジカル55、60やマニアフェローズをセレクトする。その日の魚のコンディションによって合わせ、ロッドレングスをチョイスしていくのが基本的な考え方となる。
トルクのあるリールと水切れ重視のライン選択
リールは大型のレバードラグタイプ、巻き上げ力が強いリールを使用する。ジグを回収する距離が長いので、巻き上げのトルクがないリールを使うと疲れやすい。自重が多少重く、大型であっても、トルクのあるレバードラグタイプのリールのほうが、楽に回収をサポートしてくれる。
「より楽に巻き上げたいという人はパワーギア、手返しを早くしたいという人ならハイギアを選ぶといいでしょう。女性などにはパワーギアがおすすめですが、一日で何回投入できるか、ということを考えると巻き上げの速いハイギアに分がある。自分はハイギアを多用しています」
数を狙うならハイギア、という答えに行き着くが、体力や自身のスタイルと相談して決定したい。東村使用はマーフィックスN4、S5、ブルーヘブンL-120 Hiだ。 ラインはスーパーファイヤーライン2号、2.5号を使用している。
「ラインの水切れがとてもいいので感度が抜群。魚の泳層を探りやすい、10mごとにマーキングされているカラードタイプがお勧めです。ボトムを取るときにも対応しやすいですよ」 ラインはリールに最低でも600m以上は巻いておきたい。巻けるだけ巻いておく、というのが東村の考え方だ。
リーダーはシーガー10号を約4.5m使用している。
「サメ対策、根掛かり対策として、リーダー部分で切れてほしいので10号を使用しています。ただ、大型のクロムツの可能性が高い状況では14号を使用します」
ノットは改良を施したPRノットで結節している。
キンメ&クロムツ ディープライナー東村真義の室戸沖戦略【後編】はこちら>>>
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まとめ/大川直
写真/ディープライナー、本誌編集部
写真提供/ディープライナー
https://www.deepliner.com/
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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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