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マチュー・ファンデルプールが2年ぶり優勝 ポガチャルの猛攻しのぐ|ミラノ~サンレモ

ロードレースシーンに春を告げる「ラ・プリマヴェーラ(春)」の愛称で親しまれる伝統レース、ミラノ~サンレモが3月22日に開催された。289kmで争われたレースはマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)が、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)とのスプリントを制し、2年ぶり2度目の優勝。勝負どころの上り「チプレッサ」から続いたポガチャルの猛攻をしのいでの劇的勝利となった。

ロードレース最長のワンデーレース

第116回目を迎えた大会は、その歴史もさることながら、ロードレース界最長のレースとしても知られる。ミラノ郊外を出発し、イタリアン・リヴィエラのリグーリア海岸に沿って走りながらサンレモの街に達すると、その距離は289km。近年は短縮傾向にあるレース距離ではあるが、リアルスタートまでのパレード走行も含めれば300km近く走ることになる。

© LaPresse

6時間を超える走行時間にあって、何より重要なのは最後の1時間強。フィニッシュ前51.6kmから始まる、「トレ・カーピ」と呼ばれる3つの岬(カーポ・メーレ、カーポ・チェルヴォ、カーポ・ベルタ)からプロトンは活性化する。

断続的に平坦区間を行きながら、残り27.35kmからはチプレッサ(登坂距離5.65km、平均勾配4.1%、最大勾配9%)、残り9.3kmからはポッジオ(3.7km、3.7%、8%)の2つの丘越え。この2カ所で集団のふるい落としがあり、最終局面に向けて優勝候補たちがアタックを仕掛ける。その年によって勝負は大きく変わり、集団スプリントになることもあれば、少人数での争い、独走での逃げ切りなど、決まり手はさまざま。

2025年大会は、雨の中をスタートし、8選手の逃げからドラマが始まった。

© LaPresse

ポガチャルのアタックに耐え、マチューが優勢に

ミラノ郊外のパヴィアをスタートする時点では冷雨で、選手たちはレインジャケットを着ながらの走り出し。パレード走行中にはポガチャルがメカトラでいったん止まる状況も生まれたが、その後のレースには大きな影響はなく、リアルスタートを迎えている。

しばし出入りのあった立ち上がりから、40kmを過ぎて8人の逃げで固まって、しばしこの状勢のまま進行。メイン集団は、アルペシン・ドゥクーニンクがシルヴァン・ディリエ(スイス)を送り出してペースメイク。先頭8人との差を4分程度にとどめ、その後200km近く操舵役を担い続けた。

© LaPresse

淡々と残り距離を減らしたメイン集団だが、トレ・カーピが近づくといよいよ動きは活発に。イネオス・グレナディアーズはゲラント・トーマスがガンナらを引き上げ前方へ。UAEチームエミレーツ・XRGもアシスト陣が隊列を組み、その後ろにポガチャルが控えて大事な局面に備える。前回覇者のヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)がパンクに見舞われたが、その後集団へと復帰。小規模な落車も見られたが、のちの展開に影響するほどのものとはならなかった。

トレ・カーピ3つ目の上りカーポ・ベルタで、逃げグループは崩壊。マルティン・マルチェルージ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)だけが逃げ残り、その後方ではメイン集団がペースを上げて迫ってくる。ひとり粘ったマルチェルージだったが、ついにやってきたチプレッサを上り始めると同時に集団に飲み込まれた。200kmを超える逃げが終わり、いよいよ優勝争いが本格化する。

© LaPresse

この上りで先頭に立ったのがUAEチームエミレーツ・XRG勢。ティム・ウェレンス(ベルギー)が牽引を始めると、集団中ほどで上り始めたポガチャルもポジションを上昇。ジョナタン・ナルバエス(エクアドル)がペースメイクを引き継ぐと、それを発射台にポガチャルがアタック。フィニッシュまで25kmを残したタイミングでの先制攻撃に対応できたのは、マチューとガンナ、ロマン・グレゴワール(グルパマ・FDJ、フランス)の3人。やがてグレゴワールが付き切れし、ポガチャル、マチュー、ガンナの三つ巴戦が始まった。

© LaPresse

たびたびのポガチャルの仕掛けにガンナが苦しむが、そのたびに再合流して何とか踏みとどまる。チプレッサ頂上からの下りを終えた時点で3人とメイン集団との差は約40秒。集団は後続選手が戻ってきて人数を増やすが、完全に勢いづいた大物3選手を引き戻すのは難しい状況。ポッジオを前にしてその差は1分を超え、前を行く3人から優勝者が出るのは濃厚となった。

© LaPresse

ポッジオでもやはりポガチャルが踏み込むが、いずれもマチューがしのいで決定打を許さない。頂上を目前にマチューがカウンターアタックを繰り出すと、ポガチャルの反応が一瞬遅れたが、ここは耐えて2人で下りへ移る。両者の掛け合いにガンナが後れを取ったが、数秒差にとどめて最後の数キロで挽回を目指す。テクニカルなダウンヒルを経て、最後の平坦区間に入ってもマチューとポガチャルの均衡が保たれたまま。懸命に追ったガンナが残り1kmで追いつくと、勝負は3人のスプリントにゆだねられた。

© LaPresse

最終局面は、このレースではおなじみのローマ通りのストレート。ポガチャルがマチューを先頭に押し出し、さらにはガンナの後ろに潜り込むが、車間を切って仕掛けどころを探る間にマチューが加速。フィニッシュ前250mでスプリントを開始すると、ガンナもポガチャルもキックは残っておらず。ライバルの猛攻をしのいで勝ちパターンに持ち込んだマチューが、2年ぶり2度目のミラノ~サンレモ制覇を決めた。

© LaPresse

絶好調のまま北のクラシックへ

敵なしだった冬場のシクロクロスシーズンを終え、3月に入ってからロードでのシーズンインを果たしていたマチュー。今大会の直前にはティレーノ~アドリアティコを走り、ステージ優勝こそ成らなかったものの順調な仕上がりをアピールしていた。

この勝利でアルペシン・ドゥクーニンク勢はミラノ~サンレモ3連覇。2年前のマチュー、昨年はフィリプセン、そして今年再びマチューと、大一番で無類の強さを発揮。

勢いそのままに、北のクラシックへとシフトする。マチューの次戦は3月28日のE3サクソクラシックが予定され、その後は4月6日のロンド・ファン・フラーンデレン、同13日のパリ~ルーベへと続いていく見通しだ。

© LaPresse

なお、今大会の表彰台は快勝のマチューに次いで、2位にガンナ、3位にポガチャル。今季もあらゆるレースで主役を担うであろう“プロトンの顔”が激闘。最終的なレース平均時速は45.288kmだった。

ミラノ~サンレモ優勝 マチュー・ファンデルプール コメント

© LaPresse

「いまが人生で一番のコンディションにある。ティレーノ~アドリアティコの段階でかなり調子が良くて、その後1週間休めばベストな状態になることは確信していた。ポッジオではポガチャルについていける自信があって、それよりもチプレッサでのティム・ウェレンスのペースアップに対応する方が大変だった。上りではタデイ(ポガチャル)が一番強いことは分かっていたけど、彼についていく脚があることは確信していた。

レース中に天気が回復し、日が差し始めると気分が晴れていった。チプレッサで先頭が3人になったことには驚いたけど、ポガチャルに勝てたことがとにかくスペシャル。彼の今日の走りはすさまじかった。僕としてはフィニッシュ前300mでスプリントすることをシーズンオフには決めていて、それが今日の勝利のポイントにもなった。

どのモニュメントも勝つことは特別だけど、今日は何よりも誇らしいレースになった。本当に感動している」

ミラノ~サンレモ2025 結果

1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)6:22:53
2 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)ST
3 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)ST
4 マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)+0’43”
5 カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)ST
6 マグナス・コルト(ウノエックス・モビリティ、デンマーク)ST
7 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)ST
8 オラフ・コーイ(チーム ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)ST
9 マッテオ・トレンティン(チューダー・プロサイクリングチーム、イタリア)ST
10 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)ST

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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