BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo
  • タビノリ

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

小さくても光るジャパンブランド「iruka」の起こりとこれから。創業者インタビュー

「一人の小さなブランドでも世界でやっていける」。そんな思いを胸に、13年の歳月をかけて誕生した折りたたみ自転車ブランド「iruka」。独創的なフレーム構造や機構、そしてグローバルな視野をもつブランド哲学はどのようにして生まれたのか。今回は創業者・小林正樹さんに、開発秘話から未来への展望まで、たっぷりとお話を伺った。

すべては「もっとこうしたい」から始まった

株式会社イルカ創業者/小林正樹:慶應大学卒業後、森ビル勤務を経て、インターネット広告会社オプトの創業メンバーとして参加。取締役CFOとして敏腕を振るうも、2008年に退社し、折りたたみ自転車ブランドを創業すべく、株式会社イルカを設立

編集部:まず、iruka開発はどういったきっかけから始まったのでしょうか?

小林:最初は2004年に赤坂のワイズロードに自転車を見に行ったのがきっかけとなりました。
このお店には妻の幼馴染が働いていたからだったのですが、当時はミニベロブームもあって、店内ワンフロアが全てフォールディングバイクが並ぶほどの盛況ぶりでした。ブロンプトン、BD-1、ダホンなどたくさんの種類があり、フォールディングだと駐輪場がなくても職場に持ち込めて便利だなと思ったのです。試乗してみると、小径といっても、けっこうしっかり走るし、折りたたみの機構もさまざまあって面白いなあと。実際にはダホンを購入しましたが、結構ハマって自転車通勤やポタリング、輪行などをしました。乗り続けていると「ここ、もうちょっとどうにかならないかな」と思うようになって。で、結局自分で作ることになったんです(笑)。

編集部:もう少しこうしたいとか、機能的アイデアが生まれるのは小林さんの中に工学的な一面があるということでしょうか?

小林:そのような素養はないです。全くの文系ですし、前の会社も財務担当でしたから。自転車マニアとかサイクリストとか、レーサーとかでもないし、輪界の経験も繋がりもほとんど無かったですね。
それで、当初自転車を作ろうと思った時に、タルタルーガの吉松尚孝さんとタイレルの廣瀬将人さんに会いに行って話を聞かせてもらうことにしました。

試行錯誤の連続が導いた“irukaらしさ”

編集部:試作の期間が長かったわけですが、そこまでの道のりを経てこそ、irukaの完成度の高さにつながったと思うのですが、いかがでしょうか。

小林:irukaのコンセプトは開発当時から変わっていないのですが、技術的な試行錯誤は難題続きでした。10年以上めげずに続けられたのは、SNSで発信し続けていたっていうのも大きい。じゃなかったら断念していたかも(笑)
irukaはスペック違いで2種類がラインナップしていますが、現在外装変速機モデルの発売を控えています。このモデルはチェーンとの干渉を避けるために、リアフレームの形状を若干変えています。小さな変化ですが、irukaにとっては大きな違いになります。

編集部:最初に内装変速機を採用したのはなぜだったんですか?

小林:ひとつは僕が内装変速が好き、というのがあります。
もう一つは、やっぱり折りたたみの機構によるチェーン落ちの問題ですよね。折りたたんだ時にBBと後輪の距離が縮まるので、チェーンの巻き取りをどうするか。既存の外装ディレイラーでは対応できるものが当時はなかったのです。数年前からブロンプトンが外装モデルを発売したことで、サードパーティでいろいろ巻き取り量の大きい外装ディレイラーが開発・発売され始め、信頼できるようになったので、iruka外装モデルに踏み出せました。
外装化で、重量も1kgも軽量化できました。irukaは転がせるので軽さをそれほど売りにはしていませんが、それでも重量というのは、みなさん気にするところですからね。加えてシリーズ最多の9段変速になります。また内装はペダルを踏み込んだ際にごくわずかながらタイムラグがありますが、外装はダイレクトなペダル感でより軽快にirukaに乗ってもらえると思います。

編集部:メカのギミック好きとしては、irukaはオリジナルパーツが多いというのも魅力の一つと思います。

小林:オリジナルパーツにこだわったわけではないのですが、理想を追求していたら結果的にそうなってしまいました。まずフレーム構造からして特殊ですからね。
試作をしてみると見えてくることがいっぱいあって。フレームの設計とデザイン自体は、発売する3年前にはほぼ固まっていました。そのあとケーブル類の取りまわしだったりとか折りたたみ機構の固定・解除の方法などを詰めていくのに3年近くかかりました。

編集部:初めてミニベロを作ろうと思った時から、発売までにかかった期間はどのくらいでしょう

小林:2006年に決めて、2019年に発売なので13年ですね。
メインフレームの間に後輪が入って、前輪は途中で向きが変わったんですが、片持ちで前後輪が平行で転がせるというのは最初からのコンセプトです。ただこのメインフレームに穴をあける技術的な問題は、工業デザイナーとして角南健夫さんが入ってクリアました。
折りたたみの機構的なアイデアはソムリエナイフから着想を得たのですが、特徴的なフレームは作れる工場がなかなか無くて苦労しました。角南さんが詳しかったアルミの成形技術と繋がることとなり、高強度で軽量なフレームが可能になりました。量産を開始したのは2018年になります。

世界へ羽ばたく「スモーバル」ブランドを目指して

編集部:開発から発売という山を越えて、これからirukaをどんなブランドにしていきたいですか?

小林:小さいままでいいから、グローバルにしていきたいという思いが強いです。理屈抜きに、言葉も文化も違う海外の人に自分の商品を認められるというのは、ものすごく嬉しい。
日本の社会は少子高齢化で、衰退を避けるためには若い会社がどんどん外に出なきゃいけない。ところが日本の会社って、古い会社の方が海外で戦っていて、新しい会社、例えばYahooとかサイバーエージェントとかありますが、みんな国内志向なんです。若い人たちが起業したら世界に行くのが当たり前、という世界観になって欲しいなと思っています。
ただirukaをでかいブランドにしたいとは思っていない。一人が大好きなので。ただ一人の小さいブランドでも世界でやっていけるんだ、っていうロールモデルになりたいですね。現在出荷した国の数で言うと17カ国。出荷台数の半数近くが海外に出ています。それを短期的には30ヶ国、7割を海外というブランドにしたい。「スモーバル」僕の造語なのですが、スモールだけどグローバルに展開している。そういうブランドにしたいですね。

編集部:irukaは海外でも販売されていますが、どんな評価でしょうか

小林:日本発、という評価がすごく高い。メイドイン台湾というのはあんまり気にしていなくて、デザインバイジャパン、トーキョー、というのが響くみたいです。僕は思ってもいなかったのですが、「これはまさに日本刀だよ」などと、日本を感じ取ってくれています。(笑)
あとはクリーンで削ぎ落とされた美しさというか。これは2代目のデザイナー角南さんの功績が大きいです。ゴテゴテしておらずシンプルで、それがある意味侘び寂びを感じるようなまとまりになっているのだと思います。

編集部:今後のirukaはどういう展開を見せてくれるのでしょうか

小林:まずは外装モデルの発売が控えています。あとはアクセサリー類の充実ですね。
海外からirukaを入れるハードケースの要望が大きくあります。折りたたみできて、走行時にも牽引して持ち運ぶことができるようにしたい。iruCartの大きい箱版で、商品名はiruCargoになります。今、製造に向けての打ち合わせ中です。ブランドだけでなく、iruka自体もグローバルに世界を旅できるようにしていきたいと思っています。

 

▼「iruka」の人気モデルを紹介!おすすめ記事はこちらから

東京発のシティ派フォールディング小径「iruka(イルカ)」

東京発のシティ派フォールディング小径「iruka(イルカ)」

2025年03月19日

iruka公式サイト

SHARE

PROFILE

Bicycle Club編集部

Bicycle Club編集部

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

No more pages to load