BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo
  • タビノリ

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

マリア・ローザ争いはログリッチとアユソの2強か 注目選手プレビュー|ジロ・デ・イタリア

5月9日に開幕する2025年最初のグランツール、ジロ・デ・イタリア。各チームの出場選手がそろいつつあるところで、今大会の注目すべき選手をピックアップしていきたい。最高栄誉「マリア・ローザ」に袖を通すのは誰か!? 他の賞にも触れながら、激戦必至の3週間をイメージしよう。

ログリッチの経験か、アユソの勢いか 2強と目されるマリア・ローザ争い

ジロの華、マリア・ローザ争いは今回、世代ごとの勢いや経験値が反映されるものとなりそうだ。ベテランが巧みに走り抜くか、次世代のロードレースシーンを担う若い選手が一気に突き進むのか。その結果次第では、プロトンの構図が劇的に変化することも考えられる。

今大会のマリア・ローザ争いは「2強」との見方が強い。2年ぶりの王座を目指すプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)と初の戴冠がかかるフアン・アユソ(UAEチームエミレーツ・XRG、スペイン)。この2人の総合力が抜けている印象だ。

2年ぶりのジロ制覇を目指すプリモシュ・ログリッチ © Volta Ciclista a Catalunya

さながら前哨戦の様相となったのが、3月のボルタ・ア・カタルーニャ。山岳でアユソが先勝すると、翌日にはログリッチも続く。大会終盤まで僅差で進んだ争いは、最終日で大きく動く。先制攻撃に出たログリッチに対し、アユソが幾分ブレーキ。結局、ログリッチが個人総合優勝。アユソは2位だった。その後は両者ともジロに向けた調整に入り、十二分な仕上げで本番を迎える。年の差13歳の2人が、どうジロを戦うか。ボーラはジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)、UAEはアダム・イェーツ(イギリス)と、エース級を山岳アシストに据え、選手層にも厚みを加えている。

22歳フアン・アユソのジロ制覇はあるか © LaPresse

ここに続くのが、ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ)とペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)のスペイン勢。経験・実績とも申し分のないスパニッシュクライマーが意地を見せるか。

グランツール復権を目指すイネオス・グレナディアーズは、4年ぶりの頂点を目指すエガン・ベルナル(コロンビア)とテイメン・アレンスマン(オランダ)の共闘態勢。アレンスマンの好調が伝えられており、どちらにプライオリティが置かれるかはレース展開次第といったところ。

地元イタリア勢では、リエージュ~バストーニュ~リエージュで2位となったジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)と、3月のティレーノ~アドリアティコを個人総合3位で終えたアントニオ・ティベーリ(バーレーン・ヴィクトリアス)に期待がかかる。

地元イタリア期待のジュリオ・チッコーネ © A.S.O./Billy Ceusters

このほか、直前のツアー・オブ・ジ・アルプスを制したマイケル・ストーラー(チューダー・プロサイクリングチーム、オーストラリア)や、経験豊富なダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)、ここまで慎重に調整を行ってきた元王者のリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)の走りも楽しみ。ヴィスマ・リースアバイクに今季加入のサイモン・イェーツ(イギリス)は早速、グランツールの総合エースを任される。

ワウトの発射台を活用したいコーイ グローブスやベネットらもスプリント狙う

今大会の平坦ステージは6つ。これらに限らず、レース展開次第では丘陵ステージでもスプリンターたちがそのスピードを生かせるかもしれない。彼らが目指すのは、ポイント賞のマリア・チクラミーノ。平坦だけでなく、タフな山岳も乗り越えながら、最終目的地ローマを目指していく。

一昨年、昨年とマリア・チクラミーノを獲得したジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)は今回欠場。新たなスプリントヒーローが生まれる大会となりそうだ。

ビッグレースでの活躍度からすると、一番手となるのがオラフ・コーイ(チーム ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)。今年はティレーノ~アドリアティコでもステージ勝利を挙げ、イタリアンレースにも適応している。昨年は第9ステージ優勝後に大会を離脱。今年は強力な援軍としてワウト・ファンアールト(ベルギー)がつき、発射台を務める見通し。ユンボ勢がスプリント戦線で一気に主導権を握る可能性が出てきた。

今大会ナンバーワンスプリンターの呼び声も高いオラフ・コーイ © LaPresse

一昨年と昨年はブエルタ・ア・エスパーニャでポイント賞を獲ったカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)も、グランツールのスプリントには強いひとり。今シーズンは未勝利だが、ジロにはしっかりと合わせてくることだろう。勝てば、ジロでは2年ぶり。そのときは途中で大会から離脱したが、今度はポイント賞争いに加わるだろうか。

アウトサイダーとして注目度が上がっているのが、24歳のミラン・フレティン(コフィディス、ベルギー)。大舞台での勝利経験こそないものの、小~中規模のレースでは表彰台に上ること多数。今季も2月に2勝、4月に1勝しており、勢いは十分。初のグランツール出場で大飛躍を遂げるだろうか。

今季4勝を挙げているサム・ベネット(デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム、アイルランド)は、今大会で勝てば実に7年ぶり。ハマれば複数勝利も大いにあり得る。マックス・カンター(ドイツ)は、今シーズン終了時に決まる次期UCIワールドチームへの残留をかけるXDS・アスタナ チームの一翼を担う。

地元勝利を狙うイタリアンスプリンターでは、2月のアルウラー・ツアーで1勝しているマッテオ・モスケッティ(Q36.5プロサイクリングチーム)やジョヴァンニ・ロナルディ(チーム ポルティ・コメタ)にチャンスあり。

そして、経験と実績では他のスプリンターを凌駕するのが、マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)。前述したチッコーネを押し上げるチームオーダーもあることから、どこまでそのスピードが生かせるかは分からないが、スプリントを狙うとなれば順当に上位入りするだろう。ちょっとした上りなら問題なくこなせるから、中間スプリントも含めてポイント加算の機会は多くありそうだ。今季はパリ~ニースや北のクラシックで大活躍し、好調のままジロに乗り込む。グランツールはツールを回避し、ジロとブエルタにフォーカスする意向もあり、今大会への意欲は高い。

この春絶好調だったマッズ・ピーダスンはスプリント戦線に加わるか © A.S.O./Pauline Ballet

ターリングのTT、ピドコックの走りも期待

今大会2回ある個人タイムトライアルステージでは、総合系ライダーたちの走りもさることながら、TTスペシャリストたちの競演にも期待が膨らむ。若きクロノマン、21歳のジョシュア・ターリング(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)に、昨年のヨーロッパ王者エドアルド・アッフィニ(チーム ヴィスマ・リースアバイク、イタリア)と、水準を上げるであろう存在がそろう。

初のジロ出場となるトーマス・ピドコック(Q36.5プロサイクリングチーム、イギリス)は、総合成績を見据えるか、ステージ狙いに振るか、その判断が見もの。ティレーノでは個人総合6位で終えており、オールラウンドに力を発揮できることは確か。グランツールでの総合に高い意欲を示してきたこともあるだけに、今大会で上位戦線に加わっても不思議ではない。

ジロ初出場のトーマス・ピドコックは総合かステージ、どちらにフォーカスするか © A.S.O./Billy Ceusters

ビッグチームからの熱視線を集めるダヴィデ・ピガンゾーリ(チーム ポルティ・コメタ、イタリア)の戦いぶりにも注視したい。22歳のクライマーには、ジロでの上位進出を期待する声も多い。前回は尻上がりに順位を上げて、最終的に個人総合13位。今回は状況次第でトップ10、さらにその上もありそう。

まだまだ、ここで挙げきれていない選手からもあっと驚く走りが見られるかも。第108回のジロ、3週間をかけてローマにたどり着くまでに、大きな出来事が待っているはずだ。

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load