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ゼライ、霊峰富士を制し、JCLチーム右京がワンツー|ツアー・オブ・ジャパン 富士山ステージ

5月23日(金)、静岡県駿東郡小山町を舞台に開催された「NTN presents ツアー・オブ・ジャパン2025」第6ステージ 富士山ステージは、今大会最大の難所であり、勝負の行方を大きく左右するクイーンステージ。富士スピードウェイ西ゲートをスタートし、日本を象徴する霊峰・富士山の五合目を目指す過酷な登坂レースは、ナホム・ゼライ(JCLチーム右京、エリトリア)が力強い登りを見せ、ステージ優勝の栄冠に輝いた。2位にはチームメイトで総合2位につけていたアレッサンドロ・ファンチェル(イタリア)が入り、JCLチーム右京がクイーンステージで圧巻のワンツーフィニッシュを達成。この結果、ファンチェルは個人総合時間賞リーダージャージをチームメイトのシモーネ・ラッカーニ(イタリア)から奪い返した。

富士スピードウェイから霊峰富士へ、序盤はポイント賞狙いの逃げ

大会6日目の富士山ステージは、富士スピードウェイ西ゲートをスタートし、東京オリンピック・パラリンピックのタイムトライアルコースとしても使用された1周11.5kmのアップダウンに富んだ周回コースを3周回(ニュートラル区間を含めると4周回)。その後、ふじあざみライン(距離11.4km、平均勾配10%、最大勾配22%)の急峻な登りを経て、標高約2000mの富士山須走口五合目にフィニッシュする、総距離66.6kmで争われた。スタート時の気温は17℃程と過ごしやすい気温だったが、フィニッシュ地点の富士山五合目須走口は曇りで気温10℃と、選手たちにとっては比較的走りやすい気温の中での戦いとなった。

前日の綿半 信州飯田ステージを制し、個人総合時間賞リーダージャージを着用するシモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア)がグリーンジャージを着用してスタート。ポイント賞は総合2位のアレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)が、山岳賞はニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京、イタリア)、新人賞はマクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー)がそれぞれジャージを身にまとい、パレード走行の後、レースはスタートした。

リアルスタートが切られると、ポイント賞ジャージ奪還を狙う岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が積極的に動き、メトケル・イヨブ(トレンガヌサイクリングチーム、エリトリア)、ヴァウター・トゥーサン(ワンティ・NIPPO・リユーズ、オランダ)、ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ、スペイン)、レオン・ピカール(チームブッファーズ・ジェスチョンドパトリモワンヌ、フランス)らと共に5名の逃げグループを形成した。

メイン集団は、ルージャイ・インシュアランスがコントロールし、この逃げを容認。タイム差は最大で2分以上にまで開いた。周回コース上に設定された2回の中間スプリントポイントは、いずれも岡が先頭で通過し、ポイント賞ジャージ奪還へ向けて着実にポイントを積み重ねた。このステージを終えた時点で、岡はポイントランキング1位のファンチェルに2ポイント差まで迫った。

あざみライン突入、総合勢の激しい戦い、そしてJCLチーム右京の組織力

3周回の周回コースを終え、いよいよ勝負の分水嶺となる富士あざみラインへ。逃げグループは1分以上のタイムアドバンテージを持って日本屈指の激坂へと突入するが、勾配がきつくなるにつれてメイン集団との差は急速に縮まっていく。あざみラインの序盤ではキナンレーシングチームがペースを上げ、残り9kmを切ったところで最後まで逃げ粘ったイヨブを吸収した。

メイン集団では、総合上位の選手たちによる激しいアタック合戦が勃発。残り6kmを切った旧馬返でヨハネス・アダミエツ(レンベ・ラド・ネット、ドイツ)がアタック。これをファンチェルとベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)が追い、先頭は3名になる。後続で総合リーダーのラッカーニをサポートしていたナホム・ゼライ(JCLチーム右京、エリトリア)が、残り4kmを切ったところで前を走るファンチェルのグループに単独で追いつく。

ゼライの合流を見たファンチェルはアタックして先頭集団から飛び出す。ゼライにマークされたダイボールは動けず、さらに攻撃的な走りを見せたアダミエツはここで脱落した。ダイボールの走りを見極めたゼライは一気に加速し、前を行くファンチェルに合流。JCLチーム右京の2名対ダイボール選手という構図に持ち込んだ。

ゼライが富士山制覇、ファンチェルがリーダージャージ奪還、JCL盤石の体制

登坂で強力な走りを見せるゼライは、時折遅れかけるファンチェルをケアしながらペースメイク。追いすがるダイボールとの差を徐々に開いていく。

そして、残り250m。総合リーダーへの返り咲きを確信したファンチェルが、ここまでアシストに徹したゼライを先行させる。この日誰よりも強力な登坂を見せたゼライは、軽やかな加速であざみライン山頂のフィニッシュラインをトップで通過し、ステージ優勝の栄冠に輝いた。エリトリアでは標高2300mの高地に住む22歳のゼライ。チームクベカ(後のQ36.5コンチネンタル)に2022年に加入し、2023年にはジロ・ネクスト・ジェンで総合12位、昨年はツール・ド・ラヴニールで総合11位、ジロ・デッラッペンニーノではワールドツアーやプロチームの選手たちと渡り合い12位という結果を残している実力者だ。今シーズンこれがツール・ド・ルワンダの第6ステージに続く2勝目となった。

6秒差のステージ2位に入ったファンチェルは、総合リーダーに返り咲きを決め、ゼライと健闘を称え合った。JCL勢に唯一割って入ったダイボールは最終的に23秒遅れのステージ3位。「勝ちたかったがJCLチーム右京が強すぎた。今日できる限りの走りをしての3位だから満足するべきだろう」と、2022年のTOJ富士山ステージで優勝したベテランはこの日を振り返った。

ダイボールに続いたのは、総合リーダーのラッカーニ。36秒遅れのステージ4位に入り、総合2位に留まった。終わってみればこの日もJCLチーム右京の独壇場。今大会のステージ3勝は全て違う選手によるものであり、富士山ステージを終えた時点で個人総合時間賞、個人総合ポイント賞、個人総合山岳賞の主要3賞でもトップに立つという圧倒的な強さを見せつけている。

日本勢では、金子宗平(日本ナショナルチーム)が、世界の強豪クライマーたちを相手に健闘し、11位でフィニッシュ。日本人強豪ヒルクライマーとしての意地を見せた。

各賞ジャージの行方と選手コメント

ステージ優勝のゼライは、「チームとしては総合リーダージャージを守ることが目標でした。ファンチェルと2人になったときに、フィニッシュまで引っ張っていってほしい、その後でステージは勝ってくれと彼が言ってくれました。飯田では暑さもあり、総合で遅れてしまいましたが、今日の走りには満足しています」と、チームとしての勝利を喜んだ。

個人総合時間賞(グリーンジャージ)と個人総合ポイント賞(ブルージャージ)を獲得したファンチェルは、「富士山は短いがハードなステージでした。特にラストは標高の高さにだいぶ苦しめられました……。残り5-6kmで3人の選手が飛び出したときに追いかけました。ラッカーニが後ろのパックにいて苦しそうだったので、自分のペースを刻んで一人で走ったのです。そのあとナホムが追いついてくれて、前を引いてくれました。彼が今日最も強い選手でした。私たちが強いチームであることを示せて嬉しく思います」と、チームメイトへの感謝を述べた。

個人総合山岳賞(レッドジャージ)を堅守したガリッボは、「キツいステージでしたが、チームはステージ優勝とリーダージャージのキープを果たせたので、完璧な一日でした。今夜チームのミーティングで明日どう走るかを決めますが、可能性があれば明日逃げに入って山岳ポイントを加算したいですね」と、さらなる活躍を誓った。

新人賞(ホワイトジャージ)を着用するプラスは、「富士山を自転車で登るのは法律で禁止するべきですね(笑)今日の結果には少しがっかりしています。脚の調子は良かったですが、うまく走れませんでした。最終的にはステージTOP10だったので、まぁ良かったというところですが、狙っていたのはもっと上の順位です。でも新人賞ジャージを守りましたし、何かやるにはまだレースは2日残っています」と、ユーモアを交えながらも悔しさを滲ませた。

RTA賞(将来有望なU23日本人選手に贈られる賞)は、森田叶夢(日本ナショナルチーム)が今大会2度目の受賞。「本日の富士山ステージは最難関のクイーンステージで、登坂が始まってからは一気にレースが激化。その中で奮闘し、全U23選手中で3位、日本のU23選手ではトップ、更に全日本選手中でも2位でゴールした森田選手の奮闘を評価したのがRTA賞授与理由です」と、プレゼンターの浅田顕氏は選考理由を説明した。

2023年の富士山ステージの覇者で、この日18位だったネイサン・アール(キナンレーシングチーム、オーストラリア)は、「チーム一丸となって上りのペースを上げていくつもりでレースに臨んだ。プラン通りに上りを始めたけど、他選手のアタックがかかったときに対応できなかった。今日は僕にとってバッドデイで、こんな形で終わることは考えていなかった。十分に準備はできていたし、トレーニングも順調だった。ただ、この結果は受け入れなければいけない。みんなには本当に感謝している。もちろん最後まであきらめずに走る。総合成績は厳しくなったけど、ステージ優勝を狙うことはできるので、明日はもう一度攻めるつもりでいる。昨日から今日にかけて急激に気温が変化したけど、走りには影響ない。相模原(第7ステージ)も涼しい中を走れると思うので、その点で自分には有利だと思う」と、悔しさを胸に前を向いた。

この日、チームのために集団コントロールやエースのアシストに徹し、5分35秒遅れの23位でフィニッシュした新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)は、「チームは良い働きだったが、結果に繋がらなかった。僕たちとしては集団が消耗した状態で富士山の登りに突入したかったが、アタック合戦も激しくなくあまりキツイ展開にならなかった。僕自身の調子も良く、可能な限り集団に留まったが、登り始めのペースは僕には少し早くて、自分のペースに切り替えて頂上を目指した。集団がその後ペースがどうなったかは分からないが、その中でもマーク(・スチュワート)のステージ6位は健闘したと思う。しかし、マークの総合順位も落としてしまい、総合4位。だが総合3位までは7秒しかないので、明日か明後日で挽回したい」と、チームの状況と今後の展望を語った。

熱戦は最終決戦の相模原、そして東京へ

クイーンステージ富士山を終え、JCLチーム右京勢が総合上位を固め、盤石の体制を築いた。翌24日には第7ステージ相模原(神奈川県相模原市)、そして最終日の25日には第8ステージ東京(東京都大井埠頭)が行われ、8日間にわたる熱戦もいよいよクライマックスを迎える。総合優勝の行方、そして各賞ジャージの最終的な持ち主は誰になるのか、最後まで目が離せない戦いが続く。

第6ステージ リザルト

1位 ナホム・ゼライ(JCLチーム右京、エリトリア) 2h09m48s
2位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア) +06s
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)+23s
4位 シモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア) +36s
5位 レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島、ベネズエラ) +1m25s
6位 マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス) +1m39s
7位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌサイクリングチーム、デンマーク) +1m44s
8位 ヨハネス・アダミエツ(レンベ・ラド・ネット、ドイツ) +1m55s
9位 アドネ・ファンエンヘレン(トレンガヌサイクリングチーム、オランダ)+2m01s
10位 マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー)+2m23s

個人総合成績(第6ステージ)

1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア) 14h07m42s
2位 シモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア) +21s
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア) +1m13s
4位 マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス) +1m26s
5位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌサイクリングチーム、デンマーク) +1m54s
6位 レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島、ベネズエラ) +2m07s
7位 ヨハネス・アダミエツ(レンベ・ラド・ネット、ドイツ) +2m46s
8位 アドネ・ファンエンヘレン(トレンガヌサイクリングチーム、オランダ) +2m51s
9位 マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー) +3m04s
10位 金子宗平(日本ナショナルチーム) +3m25s

ポイント賞(ブルージャージ)

アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)

山岳賞(レッドジャージ)

ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京、イタリア)

新人賞(ホワイトジャージ)

マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー)

RTA賞

森田叶夢(日本ナショナルチーム)

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せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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