PINARELLO(ピナレロ)・クロシスタ|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2019年05月27日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回はピナレロが新たに送り出した新型シクロクロス、PINARELLO・CROSSISTA(ピナレロ・クロシスタ)に、ベテランライダーの管洋介が乗ってみた!
完全に新設計されたシクロクロスバイク「クロシスタ」
ロードレースの世界においてツール・ド・フランスで直近の4年間を制するなど絶対的な地位を確立しているピナレロ。2019年はメインのロードバイクで充実した展開を誇ると同時に、多様なジャンルへの挑戦にも積極的な姿勢を見せている。
数カ月前にグラベルロードのグレヴィルシリーズを誕生させたのに加えて、シクロクロスモデルにおいても、新たにクロシスタをデビューさせた。
ピナレロのシクロクロスバイクといえば、これまで長らくFCXが展開されていたが、クロシスタはまったく新しいシクロクロスバイクとして開発されたモデルだ。
シクロクロスは、路面こそオフロードだが、ロード選手が冬場のトレーニングで積極的にとり入れてきた歴史があるなど、ヨーロッパではロードバイクと親和性の高い競技だ。また近年高速化しているシクロクロスレースにおいては、ピナレロの培ったエアロダイナミクスへの経験が生きる分野でもある。
クロシスタは、これまでにシクロクロスバイクを作ってきた経験やドグマK 10などロードバイクからのフィードバック、さらに人間工学的な視点を開発に盛り込んで、スピード、反応性、快適性をシクロクロスに最適化。扱いやすさも考慮して生まれたまったく新しいモデルとして、すべてのシクロクロスライダーに向けて誕生した。
フォークはクロシスタ専用のオンダフォークが採用される。シクロクロス向けに最適化されたもので、ディスクブレーキ対応でスルーアクスル仕様となる。
フレックスチェーンステーにより振動吸収性と路面追従性を高め、ハンガー部のボリュームを確保してペダリング効率を最適化した。
32㎜幅のタイヤに対応し泥詰まりも防げるクリアランスを確保。
左右非対称フレームはシクロクロスバイクにおいても健在だ。
ピナレロ
クロシスタ
38万円(フレームセット/税抜)、53万円(アルテグラ完成車/税抜)
■フレーム:T700 UDカーボン ■フォーク:T700 UDカーボン ■コンポーネント:スラム・フォース1 ■ハンドル:モスト・ザイロン ■ステム:モスト・タイガー ■シートポスト:専用カーボン ■サドル:モスト・リンクス ■ホイール:フルクラム・レーシング5 DB ■タイヤ:チャレンジ・シケイン ■サイズ:49、50.5、52、54、56、58 ■カラー:ホワイト×カーボン、カーボンマット、カーボン×レッド ■編集部実測重量:8.1kg(49サイズ/ペダルレス)※試乗車はフレームセットがベース
高速でオフロードを走れる優れた安定性が光る
管洋介がインプレッション
シクロクロスに最適化されたバイクとして新たにピナレロブランドに加わったクロシスタ。前作FCXは非常に優れた専用モデルだったが、今作クロシスタはドグマK10から多くのフレーム形状を受け継いでシクロクロスに最適化することで、正常進化を果たしたモデルといえるだろう。
乗り出してまず感じられるのが、驚くほど高い直進安定性能だ。上位のクロシスタプラスは、ドグマと同様のT1100 UDカーボンだが、こちらはT700 UDカーボンが採用される。グレードを落としたととらえられそうだが、逆にそれがいい方向に働いていて硬すぎず、ほどよいBBウイップと連動してペダリングがきれいにまとまっていく印象だ。安定した巡航性能を生かして、フラットな部分で足を残しておけるために、アップダウンに対してもフィジカル的にもいい状態で挑めるのが魅力だ。
またフレックスステーの採用でバックからの突き上げがマイルドになっていて、シクロクロスバイクとしてオフロードの走行はもちろんのこと、オンロードでも路面に噛み合った、安定したペダリングができる。50mmのフォークオフセットで66mmのトレイル量を確保、ディスクブレーキの制動を支える高剛性のフォークとのマッチングもよく、安定と機敏性を高次元で両立したハンドリングが印象的だ。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴22年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
ニューモデルインプレッション
一覧はこちらから
管洋介のその他の記事は
こちらから
問:ピナレロジャパン www.pinarello.jp
SHARE