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年に1度のお祭りレース、クラシカ・マリーノ・レハレッタ

スペインには一般のサイクリストが、現役のプロ選手や元プロ選手と一緒に、自転車で走ることができるレースが数多くあります。今回は、10月上旬にスペインのバスク地方で開催された、少し変わったレースの様子をレポートします。

主役は元プロサイクリストとアマチュアサイクリスト

スタート前。マルケル・イリザール氏(写真右)のチームが作戦会議中

スペイン・バスク地方の美食の街として有名なサンセバスチャンの近くに、オルディジアという村あります。この村では、毎年7月25日にプルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカというプロの自転車レースが開催されます。バスク地方の登りが舞台となるこのプロのレースでサイクリストたちは、1周約30kmのコースを5周します。今年は石上優大選手が第7位になったスペインのUCIレースとして、ご記憶の方もいるのではないでしょうか。

そして、同じ村で10月第1日曜日にクラシカ・マリーノ・レハレッタという自転車レースが開催されます。この日の主役は、かつてのプロサイクリストたちとアマチュアのサイクリストたちです。

実力派の人気者、マリーノ・レハレッタ氏

レース前日の前夜祭にて。写真右からホセバ・ベローキ氏、マリーノ・レハレッタ氏、エドゥアルド・チョサス氏

この10月のイベントには、この村出身の元プロサイクリストであるマリーノ・レハレッタ氏の名前が冠されています。
レハレッタ氏1980年代から1990年代の初めにかけてプロの自転車選手として活動し、1982年のブエルタ・エスパーニャでは総合優勝。また、ジロ・デ・イタリアでも何度も上位に入賞経験のある名サイクリストでした。

また、彼は当時のスペイン人プロスポーツ選手の中でも、特に人気の高かった選手でした。レハレッタ氏はしばしば次のように語ります。「僕の人生の中で一番うれしかったことは、自転車選手としてだけでなく、一人の人間としてたくさんの人に愛されたことだよ。」

そんな彼が、このイベントを開催しようと思った理由は、「昔の仲間と一緒に自転車で走って、その後おいしいビールでも飲みたいなぁ」と思ったからとのこと。

そんな思いつきではじまったこのイベントも今年で5回目。今回は470人のサイクリストがオルディジアに集まりました。その中には、レハレッタ氏をはじめとして、往年の名選手の名前がずらりと並びます。一例を挙げますと、ホセバ・ベローキ氏(2000 年から2002年まで3年連続でツール・ド・フランスの表彰台)、エドゥアルド・チョサス氏(ジロで3回、ツールで4回のステージ優勝)、パベル・トンコフ氏(1996年のジロ総合優勝者)、ダビッド・ロペス氏(2018年までTEAM SKY所属)、イゴール・アスタルロサ氏(2003年の世界選手権優勝者)、エスケル・モスケラ氏(2010年のブエルタでビンセンソ・ニバリに次いて総合第2位)、イゴール・アントン氏(2018年までディメンション・データー所属)、ハイマー・ツベルディア氏(2017年までトレック・セガフレード所属)、マルケル・イリザール氏(トレック・セガフレード所属。今年8月のクラシカ・サンセバスチャンが彼の現役最後のレース)、ドリー・ルアノ氏(1998年にトラックで世界チャンピオン) 等々。豪華なメンバーがこの日のレースに勢ぞろいするのです。

時には現役プロサイクリストも助っ人として参加

レース後のダビッド・ロペス氏(写真右)と現役のオマール・フレイレ選手(写真右から2番目)

クラシカ・マリーノ・レハレッタは、サイクリングイベントですが、立派な自転車レースです。種目は5人1組のタイムトライアル。7月25日に現役のプロサイクリストが走るサーキットコースの一部分が、この日のレースのコースとなります。その距離は30km。しかし、バスク特有の道幅が狭く、連続する上り下りのある、決してやさしいとはいえないコースです。

今年は、このレースに94チームが参加しました。その中には女子のサイクリストによるチーム(13チーム)や男女サイクリストの混合チーム(7チーム)も参加もありました。

このレースの楽しみ方はそれぞれのチームに一任されています。楽しみながらのんびりペースで走るチームもたくさんいる一方で、本気で優勝を狙うチームはヘルメットやタイヤはタイムトライアル用のものを準備します。

中には「勝つためには手段を選ばず!」と、現役のプロサイクリストを投入するチームもあります。今年は、アスタナのオマール・フライレ選手、エウスカディ・バスク・カントリー・ムーリアスのエンリケ・サンス選手、ポルトガルチームのW52-FCポルトに所属するグスターボ・ベロッソ選手、そして萩原真由子選手のチームメイトで、エネイカット・ペカフェル・サイクリング・チームのジロッサ・イサシ選手が助っ人として参戦しました。

ツール・ド・フランスやブエルタ・エスパーニャのステージ優勝経験もあるフライレ選手は「自分のレースのときより緊張するなぁ」と言いながら、笑顔でレースをスタートしていました。

たくさんの笑顔と真剣勝負

女子の部の優勝チーム。全員エアロスーツ着用

今年のこのレースの優勝タイムは44分11秒。イゴール・アントン選手率いる元プロサイクリストのチームが、94チームの頂点に立ちました。

レース後にはどのサイクリストの顔にも笑顔が見られます。かつてのプロサイクリストの中には、現役時代には絶対に見ることができなかったような笑顔で、ゴールする選手も少なくありません。

このレースの主催者によると、日本人サイクリストのチームの参加も大歓迎とのこと。スペインで、チームタイムトライアルを走ってみたい日本人サイクリストの方々は、来年のこのレースに参加してみてはいかがでしょうか。今ならもれなく、私が通訳としてチームにつきますので、どうぞご安心を。

著者紹介
對馬由佳理
スペイン在住。当地で10年以上ファンとして自転車レースを追いかけた後、ジャーナリストへ転向。スペインで開催される男子のレースはもちろん、女子のレースやパラサイクリングも取材経験あり。
Twitter: @TsushimaYukari
Instagram:yukaritsushima1

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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