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医師が教えるサイクリストのための対策【 #RideSolo】

日本では「緊急事態宣言」の対象地域が全国に拡大されてから、コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する各地での対応が変わってきた。自転車に乗る際の行動も大きく変わってきたが、都市部と地方、さらに個々の事情や考え方で受け止め方の違いが出てきている。

4月18-19日、週末に各地の観光地に多くの観光客が集まってしまい、各自治体が観光地への不要不急の訪問自粛を要請する事態になっている。東京近郊でも奥多摩町や神奈川県が観光地への訪問自粛を呼び掛けているなど事態が変わってきている。

すでに自転車関連の各団体がコロナウイルス感染症(COVID-19)への対策を提案している。もし、日常に必要なエクササイズとして屋外でサイクリングをする場合にはこれらをぜひ参考にしよう(ページ下にリンク先を掲載)。

ここでは強豪ホビーライダーとして知られる医師、メディカルサイクリストとして先日「新型コロナウイルス騒動におけるサイクリストの行動指針6選!」を発信した本田母映先生にQ&A形式で話を聞いた。「地域ごとにどう考えればいいのか?」 「マスク、そしてグローブはどうしたらいいのか?」 など具体的な内容を紹介する。

(取材は4月19日現在です。事態の変化により変わり可能性があります。行政からの最新の情報を確認ください

メディカルサイクリスト本田母映先生が教えるQ&A

まずはじめに、基本的な感染症対策について聞いてみよう。

母映先生によると飛沫予防策と接触予防策で感染を防ぐことになるという。①接触予防策感染源の存在 ②感染経路を伝わって体に入る ③感受性がある(体に入ったウイルスが増殖する) この3つのすべてがそろう場合にのみ感染が成立する。逆にいうとこの3つの条件の1つでもそろわなければ感染は成立しない。

つまり、感染対策は3つがそろわないように複合的な対策を行うことになる。

 具体的な対策の考え方

  • 感染源のある可能性の場所に行かない、人や物に触れない
  • 感染経路を断つ(手指衛生、咳エチケット、環境の除菌)
  • 免疫力を弱めない

Q 地域によってどう考えるべきか?

「そもそも外乗りに関しては、もちろんしないほうがリスクは低いですね。ただ、適度な運動による体力作り、免疫力向上、精神的安定の効果があり、特に今は自粛モードで気持ちが抑圧された状況下にある人も多いと思うので、感染対策を理解し実施した上でのサイクリングは許容されると考えています」と母映先生。

母映先生の住んでいる新潟県ではサイクルワークスFin’sの店長遠藤健太さんと母映さんの夫、本田竜介さんを中心にzwiftを利用したバーチャルライドでのグループライドを楽しむ取り組みを始めた。外乗りにこだわらなくてもスポーツは楽しむための工夫も行われている。

以下、母映先生の考える地域の違いによる対策の考え方をまとめてみた。

地域の違いによるコロナウイルス感染症防止対策の基本的な考え方

  • 一人での外乗り、どこにも立ち寄らない、適度な運動であることが揃えば許される範囲と考える。
  • グループライド、明らかな人混みへの立ち寄り、体調不良等の症状がある中での外乗り等は逸脱行為と考える。
  • グループライドはどの地域であっても自粛が妥当と考える。
  • 特定警戒都道府県で外乗りをする場合は、コンビニや飲食店等に立ち寄る事を強く自粛すべき。
  • 各地方の都市部も特定警戒都道府県と同様の警戒レベルと認識すべきであるが、ライドのルートによって郊外へ出る場合は対策をした上でコンビニ等に寄ることも可であると考える。
  • 人の少ない郡部にあっては、メディカルサイクリストブログ記事にあげた行動指針を守りつつ外乗りすることは可であると考える。

サイクリスト向けの基本的な対策

ここでは自転車に乗る際に、具体的に気を付けたいことをまとめてみた。基本的には一般的に言われていることだが、家族に高齢者がいる場合など、家族構成によってはより慎重に行動べきケースもあるので覚えておこう。

  • なるべく顔を触らない。
  • 顔を触った後の手で何か物やドアの取っ手などを触らない。触る場合は消毒をしておく。
  • 換気が悪く、人が集まって過ごすような空間、不特定多数の人が接触する可能性がある場所へは立ち寄らない。
  • 毎日体温を測る。発熱や咳などの症状がある場合は出歩かない。
  • 子ども、高齢者、妊婦、持病持ち(特に呼吸器系疾患)の方は感染した場合に重症化する可能性、また致死率が高いと考えられるため、そういった方と同居している家族は特に感染予防・感染拡大防止に努め、不要不急の外出は自粛すべき。

Q マスクは必要なのか?

マスクについては各種議論の分かれるところで、その詳細についての科学的考察はのちに検証されることになるだろう。ただ、今現在(4月19日時点)、自らの感染を防ぐという観点から、外出時や、自転車に乗る際にマスクは用意しておくべきだろう。さらにマスクを使用することで、社会的に感染症のことを理解しているというアピールにもなる。

  • 一人で走る時、ライド中も着用することが推奨される。ロードバイクのsocial distancing(社会的距離)は時速30㎞で走行する場合20mとう報告もあるため、一人で走っていても通行人等に飛沫拡散する恐れがある。
  • マスクはフィルター部分を触らない事が原則であるが、サイクリングの場面では現実的に難しい。(例;サングラスが曇ったためマスクを触って位置を調整する。鼻水が垂れてきたためぬぐうなど。)そのため、触った後に消毒するという対応が大切と思われる。具体的には手洗い、アルコールティッシュで手を拭くなど。
  • 着脱方法は、フィルター部分を触らず紐部分のみ掴んで着脱すること。

Q グローブの適切な使い方は?

サイクリンググローブの場合、顔をなるべく触らないことを前提に、触った場合はその後に消毒する。また、長指グローブを使用していて出先の食事や買い物等をする場合は、グローブを外して消毒してからにしよう。

また使い捨てのディスポーザブルグローブを持参する場合、装着前に手指消毒を実施する。装着して作業後、外した後に再度手指消毒をする。一度使ったグローブは原則再利用しない。

Q 医療従事者の立場からサイクリストに協力して欲しいこと

「医療機関も手袋・マスク・ゴーグル等の感染防護資器材が足りなく、また患者対応に関してもパンクしています。私のいる新潟県では4月16日時点でコロナウイルス感染症感染者数が53名です。首都圏など感染拡大地域と比較すると少ないですが、第一線で対応する現場の呼吸器内科医は疲弊し始めています。病院では新型コロナウイルス感染症患者専用の病棟を確保するために、入院や不要不急の検査や手術を中止または延期したり、感染拡大防止のために外来患者の人数を50%以下に削減しているのが現状です。

感染拡大防止に努めていただくのはもちろん、怪我をして医療機関にかからないように安全には気を付けて走行していただけると幸いです。

サイクリストとして以前に、一般社会的な常識を持った行動をお願いします」

医師 本田母映

2015年に自転車漫画「弱虫ペダル」に影響を受けてロードバイクに乗り始め、2016年からはトラックレーサーにも乗る。現在は勤務医として働きながら、国体や実業団レースに参加する。日本初のインターナショナル女子チーム、High Ambition 2020 jpに所属。主な戦績:ツールド沖縄市民レース 優勝(2017年)、Mt. 富士ヒルクライム 3位入賞(2017年)、国民体育大会新潟県代表(2019, 2018, 2016年)、Zwift national championship 優勝(2018年)など。ブログメディカルサイクリストでは、救急救命士の夫と情報発信を行っている。

メディカルサイクリスト_新型コロナウイルス騒動におけるサイクリストの行動指針6選!

自転車乗りの行動に関する参考リンク

日本自転車競技連盟「自転車を愛するみなさまへ」

新型コロナウイルス感染対策における日本サイクルスポーツ振興会からの提言

eelsサイクリングを楽しむ際のガイドライン

ツール・ド・ニッポンからの提言 〜COVID-19禍におけるサイクリングとの向き合い方〜

JBCF「新型コロナウィルス感染拡大状況下における自転車活動について」

編集部では“RideSolo”(ライドソロ)をお薦めします

世界中で「ロックアウト(都市封鎖)していない自転車に乗れる国や地域」では、社会的距離をとるために「一人で走る“#RideSolo”(ライドソロ)」が、感染拡大を防ぎつつ健康的に欠かせない運動として自転車に乗る上でキーワードとなる。

もはやいまの日本のように表を走れることは奇跡的な状況といえる。海外ではサイクリングすらも許されない厳しい事態にまで追い込まれているが、もちろんこうした強制は望ましい状況ではないし、避けないといけない。

この先、各国、地域ごとの事情。そして刻一刻と変化すると状況は変化する。さらにそれぞれ置かれた立場が異なるのでこの“ライドソロ”がいつまでベターな方法かはわからない。今現在(4月22日)、編集部では感染が広がりつつつある地域でできることは、集団ではなく、一人で安全に自転車に乗ることだと考えている。

ただし、これは自主的なもので、決して他人に強要したり非難するものではない。あくまでも安全で、健康的に自分たちが走り続けられる環境を維持するために、自分たちができる行動をしようというものだ。

いままでクルマ、自転車、そして歩行者の間は安全のため距離1.5mが求められてきた。そしてCOVID-19の感染拡大対策として、さらに人と人と社会的距離(SOCIAL DISTANCE)も求められる。そのキーワードが”#RideSolo”だ。

最後に、基本は健康で安全であること。住んでいる国や地域の自治体からの要請、指示に従うことが前提であることをあらかじめ付け加えさせていただきたい。編集部でもひきつづき#RideSoloをキーワードにヒントとなる情報をアップデートしていく。

※新型コロナウイルス(COVID-19)に関する最新情報は 厚生労働省 や 首相官邸、お住まいの各自治体など公的機関の情報でお確かめください。

参照
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

 

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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