BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

FELT・AR ADVANCED ULTEGRA DI2【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】

スポーツバイクジャーナリスのハシケンが、今もっとも気になる最新モデルをピックアップ。
テクノロジーの詳細はもちろん、前モデルとの比較など徹底的に掘り下げて紹介。
100km走行から感じたライドフィールを明らかにする。

元祖エアロロードARが満を持して6年ぶりの刷新

フレームの魔術師こと、ジム・フェルト氏。フェルトブランド生みの親であり、2001年の創業以前より、みずからが理想とするバイク作りに精を出してきた。トライアスロンバイクの開発に始まり、イーストン社でのエンジニアとしての経験を積み、現在の礎を築いた。

アメリカ・カリフォルニアにも開発チームを置き、高い空力技術と独自のカーボン技術でピュアレーシングバイクを生み出している。

なかでも、同社のARシリーズは、近年のバイク作りのメインストリームとなるエアロロードの先駆者的存在だ。初代ARの初お目見えは2008年のツールドフランス。ガーミン・チポレが操った独創的なエアロフレームは、軽量からエアロへの時代の変化を感じさせるものだった。

2014年に第2世代へと進化。じっくりと開発期間を設けて着実にアップデートを果たすフェルト。第3世代もじつに6年ぶりのフルモデルチェンジとなった。

ボリュームのあるシートチューブエリアなど従来のARのDNAこそ継承するが、あらゆる構造が進化を遂げている新型AR。プロレーサーたちがレースシーンで操る最新鋭機は、精悍なシルエットへと生まれ変わった。今月は、そんなARアドバンスドアルテグラDI2(完成車)を徹底解剖する。

 

TECHNOLOGY 【テクノロジー詳細】

6年ぶりのフルモデルチェンジとなるフェルトのエアロロード新型ARは、
フェルトが誇る独自の空力機構をベースにしつつも、随所に進化を確認することができる。
第三世代へと突入した新型ARのテクノロジーに迫る。

6年ぶりのアップデートにふさわしいテクノロジーを満載

前作ARの登場から6年がたち、エアロロードの進化は著しい。今や、ディスクブレーキ、ケーブルインターナル化、カムテールチューブがエアロロード開発におけるスタンダードだ。

新型ARではヨー角の最適化から見直し、翼断面チューブからカムテールチューブへの形状変更を含め、エアロダイナミクス性能を再構築。最新の研究によりヨー角0度から10度まで全域にわたり空力抵抗を削減することに成功。また、専用のエアロステムを開発し、ケーブルのフル内装化を実現。

いっぽうで、ノーマルハンドルに対応させ、ステム長は90〜140mmまで6サイズを展開しユーザーフレンドリーなスタイルも貫く。

このほか、新たな機構として従来のスリット入りのシートポストを「リーフスプリングシートポスト」としてアップデート。シートのしなりとエラストマー入りのスリーブを挟むことで、シートポストの縦方向の柔軟性を向上。

フレーム素材には、前作同様に自転車ブランドでフェルトのみが使用可能なテキストリームカーボンを採用。原糸を平面に並べて密度を高めたシートを特徴とし、高密度なカーボンにより軽量なフレームを実現している。

最新設計トランケーテッド・エアフォイル・シェイプ採用

新型ARのメインチューブは新形状のトランケーテッド・エアフォイル・シェイプを採用する。CFD解析により100以上の試作を繰り返し、チューブの前面から中程にかけてややボリュームを出し、後端はカットしたカムテール形状を生み出した

ロードバイクのエアロダイナミクス理論は、これまでヨー角10〜20度ほどが定説とされてきたが、今回フェルトはヨー角10度以下、つまり0〜10度未満を想定して開発。結果的に、ヨー角0度(正面)で前作比9.6%の空力性能の向上を果たした

最新鋭のエアロスタイルを実現

最新鋭エアロロードのスタンダードであるディクスブレーキとケーブル内装化により、圧倒的にスマートなフォルムを実現。整流効果を追求し、専用フォークはオフセットさせ、ホイールラインをダウンチューブに極限まで沿わせたエアロスタイルを実現させている

ディスクブレーキ専用設計のフレームエンドはシームレス

エンド設計はエアロダイナミクスと剛性確保を追求したシームレス形状。ディスクブレーキキャリパーはフレームに一体化。ARのロゴがさりげなくあしらわれている

空力と実用性の絶妙なバランスを実現したセミインテグレーテッド・コックピット

コクピットエリアのシステムインテグレーションを高めるため専用エアロステムを開発。デヴォックスのエアロハンドルと組み合わせ、ハンドル角度の微調整が可能。フェイスプレートには、コンピューターマウントを直付けできる。ハンドル操縦角はおよそ60度まで切れる

FEA解析により理想の剛性バランスを追求各所の剛性レベルが向上

FEAコンピュータ技術により、フレーム各所の剛性を最適化。スクエアードBBシェイプ形状のBBは前作比で剛性を14%、ヘッドチューブ剛性は11%、それぞれ向上させている。この解析データをもとに、独自のインサイドアウトカーボン成型技術により、ARは生み出される

リーフスプリングシートポストとハイブリッドラバーが快適性を高める

前作の設計を継承するスリットが入った独自のシートチューブは、先端まで分割式の「リーフスプリングシートポスト」へと進化。さらに、フレームとシートポストの間にブラスチックとラバーを一体成形したハイブリットラバーを挟み込むことで、微細な振動を吸収する。これらにより、前作より2倍以上(+112%)の柔軟性を獲得している

コンパクトなリア設計とフィッシュリップ・シェイプ・シートチューブ

新型ARの細部形状の作り込みとして特徴的な「フィッシュリップ・シェイプ・シートチューブ」は、チューブを外側へわずかに張り出させることで整流効果を高める独自設計。そして、歴代ARを彷彿とさせるエアロシートチューブも健在だ

大胆かつ細部の作り込みもこだわったダウンチューブ

新形状のトランケーテッド・エアフォイル・シェイプを大胆に採用するダウンチューブ。いかにもエアロロードらしい前面投影が少なく、縦にボリュームのある形状を特徴とする。一方で、ヘッドチューブやBBエリアとの融合を高める細部の形状工夫も見逃せない

GEOMETRY

 

100km IMPRESSION 【100km徹底乗り込みインプレッション

新型ARはいよいよ第三世代へ。過去二世代の試乗経験を踏まえ、
エアロロードのトレンドセッターであるフェルトの
最新モデルを実走派ライター・ハシケンが100km乗り込むなかで感じたライドフィールをレポート

緩急の変化に強く、重量感のないストレスフリーの操縦性

新型ARはいよいよ第三世代へ。過去二世代の試乗経験を踏まえ、エアロロードのトレンドセッターであるフェルトの
最新モデルを実走派ライター・ハシケンが100km乗り込むなかで感じたライドフィールをレポート

けっして開発力が低下していたわけではない。他社が3〜4年の周期でモデルをアップデートするなか、フェルトはじっくりとブランドの旗艦モデルといえる次世代ARを開発してきた。その結果が、このエアロ然とした力強さを表現しつつも、極めて精悍なシルエットの最新鋭エアロロードだ。

本連載でもここ2年ほどは、ディスクブレーキエアロロードをテストをする機会が大半だ。その構造的な部分は正直似ていて、ひと昔前より個性が薄れている。

新型ARもディスクブレーキ化、エアロコクピットなど他社同様のトレンドバイクだが……、新型ARはどこか魅力的に映る。おそらくバイク全体に流れるような美しさを感じられる点が魅力なのだろう。見ためは好みも分かれるが、一人のエンドユーザーとしてビジュアルも大切な要素なのであえてここで触れておく。

さて本題のインプレッションに移る。前作のARからは全体の剛性感が高まっていることをヒシヒシと感じる。とくにフォークとヘッドチューブのフロントエリアだ。落差を取りやすいジオメトリーの恩恵もあり、エアロフォームがしっくりくる。

ちなみにテストバイクの専用ステムはトップチューブにベタヅキだ。直進性が高く、トルクを高めていくと路面を抑え込むように加速していく。フワッと浮き上がる要素が皆無で、地面を流れるように低重心で走り抜けていく。

もうひとつの驚きが、想定外の軽快さだ。レイノルズの58mmハイトのディープリムホイールながら51サイズのバイク実測重量は8kgジャスト。決して軽くない重量だが、軽くバイクを左右に振ってのダンシングは8kgという重量を一切感じない。

前述のすぐれたヘッド剛性に支えられた安定したコーナーリングからの立ち上がりで加速するシーンでは、ストレス皆無のダッシュ力を見せてくれた。

TTバイクに見られるような左右へ張り出したスタイリングのBBは、個性的な見ためとは異なり素直な踏み込みだ。

テストライド中、スプリントを織り交ぜて走らせると、BBエリアだけでなく、その先のチェーンステーまでも一体構造に感じてしまうほどの高いトラクションを発揮。過去にさまざまなエアロロードをテストしてきたが、新型ARの懐のなかでコントロールできる感覚はとても魅力的だ。

テストライドも100kmに迫る終盤に差しかかっていたが、足への疲れをさほど感じず、序盤と変わらずにアグレッシブな走りを継続できた。

新型ARで注目すべきはシートチューブの快適性が前作比で2倍という数値の効果。それに加え緩急への対応力が高く、多少の登坂シーンでオーバートルクになっても足へのダメージを残さない素直なフレーム剛性が、結果的に高い快適性を生み出していると感じた。

高速巡航性を約束するレイノルズのチューブレスホイールと、アルテグラD I2をアッセンブルして79万8000円(税抜)のプライスタグは見逃せない。

最上位モデルとなるFRDは今夏に国内入荷とのことで楽しみだが、このモデルは、100万円クラスのライバルメーカーのフラッグシップを食うだけのポテンシャルを持つ。6年の沈黙を貫き誕生した新型ARは、ふたたび世界のエアロロードの最前線に舞い降りてきた印象だ。

INFO

フェルト/AR アドバンスド アルテグラDI2
完成車価格:79万8000円(税抜)
■フレーム:UHCアドバンスド+テクストリームカーボン
■フォーク:UHCアドバンスド+テクストリームカーボンモノコック
■コンポーネント:シマノ・アルテグラDI2 R8070
■ブレーキ:シマノ・アルテグラDI2 油圧 R8070
■ハンドルバー:デヴォックス・カーボンエアロ
■ステム:ARインテグレーテッドカーボン
■ホイール:レイノルズ・AR58 DBカスタムカーボン(TLR)
■タイヤ:コンチネンタル・GP5000(25C)
■サイズ:48、51、54、56cm
■カラー:1)アクアフレッシュ/テクストリーム、2)ホワイト/テクストリーム
■完成車実測重量:8.08kg(51サイズ・ペダルレス)

問:ライトウェイプロダクツジャパン  www.riteway-jp.com

 

ハシケンのロードバイクエクスプローラーの記事はコチラから。

「ハシケンのロードバイクエクスプローラー」一覧

SHARE

PROFILE

ハシケン

Bicycle Club / スポーツジャーナリスト

ハシケン

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

ハシケンの記事一覧

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

ハシケンの記事一覧

No more pages to load