汗をかく季節、皮膚のケアは大丈夫? 医師が教えるサイクリストのための汗疹対策
Bicycle Club編集部
- 2020年06月13日
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暑くなり、汗をかく季節になると出やすい、かゆみなどの皮膚のトラブル。ライドのあとにすぐにシャワーを浴びれる環境ならベストですが、通勤や通学などで自転車を使う場合には汗疹になりやすいので注意したいところ。ここでは強豪ホビーライダーとして知られる医師、本田母映先生に聞いてみた。「汗疹ってなあに?」 「対処・予防法は>」 など具体的な内容を紹介します。
汗疹(かんしん・あせも)とは?
汗疹(かんしん)は聞きなれない方もいらっしゃるかもしれませんが、あせものことです。
一般的には皮膚にできる赤みのある小さなポツポツで、強いかゆみやちくちくした感じを伴うことがあります。その他にも、透明の小さなポツポツで、かゆみや赤みを伴わないものもありますが、このタイプは1日~数日で自然に治ります。
首のまわりや脇の下、肘の内側・膝の裏、ベルトや下着で締め付けのあるお腹まわりなど、汗をかいたときに蒸れやすく、皮膚がこすれて摩擦を受けやすい部位にできやすいです。
自転車の場合はヘルメット装着により頭に、マスク着用で頬や口まわりにもできることがあります。
【対処・予防法】 ウエア選びと汗をそのままにしない
さまざまな工夫で、汗疹は予防することができます。ますます暑くなる夏に向けて、汗疹ができないように心がけましょう。
通気性や吸湿性がよく、肌当たりの良い服を選ぶ
休日のサイクリングではサイクルジャージの着用が好ましいですが、通勤で自転車に乗るときにはサイクルジャージを着用できないこともあると思います。その場合でも、なるべく吸汗速乾素材の服を選ぶといいと思います。
汗をかいたら着替えるのがベストですが、すぐに着替えられない場合でも速乾素材の服は汗蒸れを軽減してくれます。
暑い時期にマスクを着用しての運動は熱中症のリスクもあるので、その場の状況に応じて使用するようにしましょう。人が多い場所や時間帯に自転車に乗るときはマスクの着用が必要な場合もあると思いますが、マスクを着用して自転車に乗る際も、肌触りの良いスポーツ用マスクを使用することで顔の汗疹を予防できます。
また、頭の汗疹はヘルメットの下にバンダナを巻いたり、ヘルメットキャップを被ることで防ぐことができるかもしれません。
自転車乗り御用達のレーシングパンツは、内部が蒸れやすく、ぴたっとしていて摩擦も起こりやすいので、履いたままで過ごさないように注意したいですね。
汗をかいたらすぐにふきとり、肌を清潔に保つ
汗をかいたらシャワーを浴びたり、タオルで拭きとるようにしましょう。汗を拭くときは水で濡らしたタオルの方がよく拭きとれます。
汗をかいた後、シャワーが使えない場合は着替えるのが望ましいです。
例えば、自転車通勤で職場にシャワーがない場合などは、サイクルジャージのような軽装で出勤し、職場で仕事着に着替えることができればいいですね。
シャワーも着替えも難しい場合は、汗ふきシートが役立ちます。
わたしも自転車通勤をしていますが、サイクルジャージで出勤し、汗拭きシートで汗を拭きとった後に仕事着に着替えています。汗拭きシートはBanの爽快さっぱりシャワーシートを使っています。ノンパウダータイプなので汗の出口である汗腺(かんせん)を塞いでしまう心配もありません。とってもいい匂いなので、朝からすごくリラックスできます。
さらにさっぱりしたい向けに、水を使わないでシャンプー効果のあるドライシャンプーというものもあるようです。
その他の注意点
- 髪の毛がかかる額や首元も汗疹ができやすいので、髪の毛が長い人は髪を結いましょう。
- 素肌につけるアクセサリー類は外しましょう。
- 乾燥している皮膚は炎症をおこしやすいので、夏でも保湿剤を使うと良いでしょう。
屋内での運動時は高温多湿の環境を避ける
エアコンや扇風機を適切に使って、涼しい環境で運動しましょう。
【治療法】かゆみがあるときは軟膏を塗る
前述した通り、透明のポツポツは放っておいても1日~数日で自然に治ります。
かゆみを伴う赤いポツポツは、掻きむしることで皮膚に傷ができて治りが遅くなってしまうことがあるため、痒みが強い場合は塗り薬で治療します。
汗疹用の軟膏も多く市販されていますが、痒みが強い場合はステロイド軟膏を使うといいでしょう。虫刺されや後述する汗かぶれにも使えるので、一つ手元にあると便利です。
私が使用しているのはリンデロン軟膏ですが、ドラッグストアでは処方箋が不要なステロイド外用薬も購入できます。
なかなか治らない場合は、皮膚科の受診するようにしましょう。
汗かぶれって知ってますか?
写真はイメージです。首回りなどに注意しましょう
汗疹と間違えやすいものに、「汗かぶれ」があります。汗をかいた後そのまま放置すると、汗の中の成分が刺激となって、かゆみや赤みをともなった炎症を引き起こします。いわゆるかぶれの一種で、掻きむしって悪化することもあります。
汗疹と同様に、皮膚や衣服との摩擦が起こりやすいところ(首まわりやお腹まわり)にできやすいです。こまめに汗を拭いて、汗かぶれにならないように気をつけましょう!
まとめ
梅雨が明けたらいよいよ夏本番!夏場に気を付けたい皮膚トラブル「汗疹」について、その予防や対処法をまとめました。気持ちよく汗をかいて、楽しいサイクルライフを送りましょう!
医師 本田母映
2015年に自転車漫画「弱虫ペダル」に影響を受けてロードバイクに乗り始め、2016年からはトラックレーサーにも乗る。現在は勤務医として働きながら、国体や実業団レースに参加する。日本初のインターナショナル女子チーム、High Ambition 2020 jpに所属。主な戦績:ツールド沖縄市民レース 優勝(2017年)、Mt. 富士ヒルクライム 3位入賞(2017年)、国民体育大会新潟県代表(2019, 2018, 2016年)、Zwift national championship 優勝(2018年)など。ブログメディカルサイクリストでは、救急救命士の夫と情報発信を行っている。
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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