FELT(フェルト)・AR FRD|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2020年07月27日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回は6年ぶりのフルモデルチェンジを果たした新世代エアロロード「ARシリーズ」のフラッグシップモデル、FELT・AR FRD(フェルト・AR FRD)にベテランライダー管洋介が試乗。果たしてその乗り心地は?
新世代エアロロード「ARシリーズ」の
フラッグシップモデル、AR FRD
2008年に初代がツール・ド・フランスでデビューして以来、パイオニアとしてエアロロードの世界を牽引してきたフェルトのARシリーズ。2014年に登場の2代めを経て、3代めが6年ぶりのフルモデルチェンジを果たした。
バイシクルクラブ4月号でARアドバンスドを紹介したが、AR FRDはさらにハイグレードのUHCアルティメイトカーボンを使用した旗艦モデルだ。
初代がデビューした12年前とはエアロロードに求められる要素は大きく変化している。当初は空力性能に特化したことこそがアドバンテージになったが、現在ではライダーの求める性能も多様化し、剛性や軽さ、快適性といった要素も重視される。
つまり、バイクの軽さ重視の超級山岳コース以外であれば、それ以外のほぼすべてのレースコースに対応できる一台が求められている。またディスクブレーキが標準となり、ケーブルのフレーム内装化も容易になったことで、空力性能において以前より向上しているのが現代エアロロードの特徴といえるだろう。
新型ARは性能のメインとなる空力面において、フレーム形状やケーブル類の内装により、前作比で9%もの抵抗を軽減。基本的なフレーム形状として翼断面の後端をカットしたトランケーテッド・エアフォイルシェイプを採用し、シートチューブをリアホイールに合わせて張り出させるフィッシュリップ・シェイプなど細部までエアロダイナミクスを追求する。
ペダリングに重要な剛性面においてもFEA解析とテストライドを重ね、必要部分の剛性のみを向上させた。さらにシートポストの固定用に設けられるスリットを下端まで延長することで、リーフスプリングのようにしならせる技術を投入。これまで以上の快適性も生み出している。
あらゆる面から妥協なく開発されたAR FRDが再びエアロロードの世界を席巻する。
空気抵抗を考慮してBB部分のボリュームを抑えて、チェーンステーを水平方向に張り出すスクエアードBBシェイプを採用。シートチューブも30Cのタイヤまで包み込む形状で空力を最適化。
空気抵抗を軽減するためにリアエンドおよびフォークエンドの段差を排除。スルーアクスルもフレームと面一になる専用品を使用する。
ケーブルを内装しながらも通常の31.8mm径のハンドルバーを使用することでポジション調整の自由度も高めたセミインテグレーテッドコクピットを採用した。
振動吸収性を生み出すためにシートポスト下端を分割し、リーフスプリングのようにしなる機構を採用。マウント部に設けたダンピングシートポストスリーブとの相乗効果で従来の2倍以上の柔軟性を獲得。
フェルト
AR FRD
158万円(完成車/税抜)、59万8000円(フレームセット/税抜)
■フレーム:UHCアルティメイト+テクストリームカーボン ■フォーク:UHCアルティメイト+テクストリームカーボンモノコック ■コンポーネント:シマノ・デュラエースDI2 ■ハンドル:プロ・バイブエアロ ■ステム:専用カーボン ■シートポスト:バリマウントエアロロードUHCアドバンスド+テクストリームカーボン ■サドル:プロロゴ・ディメンションナック ■ホイール:ヘッド・バンキッシュRC6プロシリーズカーボン ■タイヤ:コンチネンタル・グランプリ5000 チューブレス700×25C ■サイズ:48、51、54、56、58 ■カラー:マットテクストリーム ■試乗車重量:7.6kg(54 /ペダルレス)
軽量オールラウンダーにも負けない運動性能が魅力
管洋介がインプレッション
安定したハンドリングとピーキーになりすぎない剛性バランスのよさが際立ち、波に押されるような巡航力が魅力のバイクだ。初動負荷が伝わりやすいトルク伝達ながら、踏み込みに対してマイルドなトルクキャッチを両立している。これはチェーンステーにボリュームを出したスクエアードBBシェイプ技術による剛性バランスの最適化が反映されているからだろう。どこまでもトルクをかけていける感覚を得る走り心地だ。
トランケーテッド・エアフォイル形状を随所に施したエアロダイナミクスの効果により、たとえ向かい風でも流れるようにスピードが乗っていく感覚は絶品。低回転×ハイトルクの走行でも踏み疲れない性能はクライミングでも威力を発揮し、ツール・ド・おきなわのようなラインレースでの山岳シーンでもパワフルに走れて、軽量オールラウンダーにも対向できる。
いっぽう縦に比べると、横は高剛性ながら穏やかな印象を受ける。バイクを倒し込むようなコーナリングでは、ワンテンポおいてからバイクが狙ったラインをトレースしてくれる。また多少路面が荒いシチュエーションでも安定した接地感で冷静にコントロールできる。高次元で優れたトータルバランスにまとめられている一台だ。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴24年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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