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ツール・ド・フランス開幕! 厳重なコロナ対策で異例ずくめのチームプレゼン|ニース

第107回目となるツール・ド・フランスのチームプレゼンテーションが現地時間8月27日、フランス南部の街・ニースにて行われた。世界最大のロードレースに出場する全22チーム・176選手がステージへと上がり、3週間の活躍を誓った。未曽有のパンデミックによって約2カ月遅れで開かれる今大会。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、あらゆる策を講じながら2020年大会は幕を開ける。
現地からの様子をサイクルジャーナリスト福光俊介さんがお伝えする。

会場は厳重なセキュリティ
会場と外とを隔てる壁も

会場と外とを隔てる壁。壁が高く、外からは会場内を見ることができないつくりになっていた

今年の開幕地・ニースは、コート・ダジュールに面する世界的に有名な観光都市。例年3月に開催されるUCIワールドツアー「パリ~ニース」の終着地でもある。

筆者がこの地に到着して感じたのは、街の中にツール開幕ムードがほとんど漂っていないことだった。高速道路の電光掲示板や街の案内看板にはツール開催を知らせる言葉が並ぶものの、人々の生活には直接的な影響は与えていないように思われる。それは、チームプレゼンテーションを終えた現在も同様だ。

サルドプレス(プレスルーム)から、プレゼンテーションの会場であるプラス・マセナまでは歩いて約2km。街の中心部にあたり、ここまで来てようやくツールらしい雰囲気が感じられるようになってきた。会場周辺の道路は封鎖され、その近くでは大会スポンサーによるノベルティグッズの配布が盛んに行われていた。

チームプレゼンテーション会場近くで行われていた大会スポンサーのノベルティ配布

ただ、そうした盛り上がりも新型コロナ感染予防の観点から見ると不安が大きい。ソーシャルディスタンスはまったく守られておらず、人と人とが密着した状況が各所で発生している。マスクをせずに歩いている人も多く見受けられるあたりも気になる。

招待客用の入口は大混乱。ソーシャルディスタンスが完全に無視されている

そして、会場へとやってきて、例年のプレゼンテーションとの決定的な違いを実感する。いつもであれば大勢の観衆がステージ周辺を埋め尽くすツールのチームプレゼンテーションだが、今年は会場と外とを隔てる壁が設けられ、プラス・マセナを中心に四方を完全に仕切っていた。入場が許されるのは、メディアを含む大会関係者と招待客のみ。それ以外は会場内に入れないばかりか、壁が高いこともあり内部を目視することすらできないつくりになっていた。

手荷物検査や身体検査も行われていた

入場は1カ所に限定され、ゲート付近は厳重なセキュリティが敷かれる。大会関係者を示すパスを持っていれば問題なく通してもらえるが、入ってからも手荷物検査や身体検査、消毒、マスク着用の確認が行われた。もっとも、マスク着用に関しては非常に厳しく、鼻と口が覆われていないと見回りのセキュリティ要員に注意されるほどだ。また、入場する際も数人ずつに区切られる。招待客用の入口では、順番を無視した者が多数現れたらしく、入場指示の統率が取れない事態が発生していた。

ツール・ド・フランス2020チームプレゼンテーション。観客席は空席が目立った

そして、プレゼンテーションが始まってみると、用意されていた観客席の半分以上が空席という、ツール・ド・フランスとは思えない光景を目の当たりにすることとなる。会場への入場制限を施したことが最大の要因と思われるが、パンデミックの影響はこうしたところにまで及んでいたのだった。

2チームずつの登壇 選手たちもマスク着用で

ステージへは2チームずつ登壇

そんな中でのチームプレゼンテーション。過去のレース映像を用いた派手なモニター演出は、さすがツールといったところ。そんなところに、世界最大のロードレースらしさを見せてくれる。

ただ、プレゼンテーションの進行に関しても、例年とは異なる点が多かった。ステージへの登壇時に大多数のチームがマスクを着用したまま臨み、これもコロナ対策の一環か、2チームずつステージへと呼ばれる形がとられ、簡単な選手紹介程度で終始した。

無機質にも感じられる選手・チームの紹介の中で例外もあった。前回大会の表彰選手に限ってはチーム本隊とは別に、昨年の活躍を振り返る映像とともに単独でステージへと招かれる粋な演出。3組目に登場したボーラ・ハンスグローエの登壇時にはポイント賞のマイヨヴェールを獲得したペテル・サガン(スロバキア)が、7組目で登場のアージェードゥーゼール ラモンディアルの時には山岳賞のマイヨアポワを獲得したロマン・バルデ(フランス)が、11組目で登場のドゥクーニンク・クイックステップの時にはスーパー敢闘賞を獲得したジュリアン・アラフィリップ(フランス)が、そして同組のイネオス・グレナディアーズの時には、マイヨジョーヌと新人賞のマイヨブランの2冠に輝いたエガン・ベルナル(コロンビア)が鮮やかに登場。前回覇者のベルナルは、全体の大トリも務めた。

前回のポイント賞、ペテル・サガンが歓声にこたえる

手を振りながら会場を後にするジュリアン・アラフィリップ

ステージ登壇の大トリを務めたエガン・ベルナル

いつもよりはるかに少ない観客動員ではあったが、人気選手の登場時には黄色い声援が飛んだ。前日のアラフィリップやベルナルはもとより、フランス自転車界の貴公子であるティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ)はその人気を示す盛り上がりがあり、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)とトム・デュムラン(オランダ)の双頭体制で臨むユンボ・ヴィスマの登場時にも大きな拍手。このあたりは、さすがに目の肥えたフランスのファンらしさが垣間見えた。

ひときわ大きな歓声を受けたティボー・ピノ。マイヨジョーヌ獲得に期待がかかる

マイヨジョーヌ候補のプリモシュ・ログリッチ。大きな拍手を受ける様子に注目度の高さがうかがえた

大きな緊張感の中でレーススタート
パンデミックに立ち向かう象徴となるか

ニース市内至るところに置かれているマスク着用を呼び掛ける案内板

8月29日からはいよいよレースがスタート。開幕地・ニースは、第1・第2ステージの発着地となるほか、第3ステージのスタートまで過ごすこととなり、大会序盤戦の拠点都市になる。

過去に類を見ない状況下でのツール開催。パンデミックに立ち向かう強い姿勢を象徴するビッグイベントとなるのか、考えたくはないがその逆の結果になってしまうのか。その行方は、この先の3週間で分かることだろう。

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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