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ツール・ド・フランス|限定された取材空間、プレスから見た徹底したコロナ感染対策

ツール・ド・フランス2020は第5ステージまでを終了した(現地時間9月2日執筆)。新型コロナウイルスの感染対策を施し、これまでにないイレギュラーな状況ながらレースそのものは着々と進行している。また、われわれプレス(取材陣)もレース同様順調に街から街へとめぐることができている。フランスでは新型コロナの感染者数が依然増加傾向にあるが、それでも大会の運営ができている要因はどこにあるのか。

現地フランスで取材するサイクルジャーナリスト、福光俊介さんがプレスの立場から、日々の取材が成立している理由と実情をお伝えする。

日本からフランスへ、取材活動決定までの経緯

プレスにも配布が始まった大会特製マスク

まず、筆者が今回のツール取材に至るまでの経緯を振り返ってみる。

ここ数年と変わりなくツール取材を行うことは決めていたが、具体的に動き出したのは昨年10月のコースプレゼンテーション以降。全21ステージの全容が明らかになった時点で、渡航の日程を確定させ、宿泊ホテルの予約、期間中のフランス国内移動に使う車両の確保を行った。実際のところは、ツール開幕まで時間が十分にある段階だったので、落ち着いて作業できるタイミングを見計らいながら、各種の準備を進めていった感じだ。そうして、昨年末には航空券手配を含めた取材の大枠が決まった。

しかし、2020年に入って雲行きが怪しくなる。中国・武漢に端を発した新型コロナは、やがて世界中に感染を拡大。2月に入るとロードレースシーンに影響を与え始め、同月のUAEツアーでは選手・関係者に感染者が発生。2ステージを残して大会が打ち切られた。3月にはイタリアで開催予定だったビッグレースが軒並み延期となり、フランスではパリ~ニースが開催されるも大会途中で離脱する選手・チームが相次ぎ、最終的に1ステージを残して大会は終幕に。3月19日にUCI(国際自転車競技連合)が当面の公認レース中止を決定した。

タイミングを同じくして、当初6月27日開幕を予定していたツールの開催そのものが危ぶまれているとの情報が広がった。フランスでは感染者増加にともなってロックダウン(都市封鎖)を断行。そして4月15日、今年のツール開催は8月29日に開幕するとの主催者発表がなされた。

この段階では、新日程での取材ができるかどうかは不透明だった。どの国も国外移動をともなう渡航や入国に多数の制限があり、日本からフランスへ渡ることができるかも分からない。ひとまず昨年末までに決めていたもともとの取材スケジュールは白紙に。そこからは、世界各国の新型コロナ感染拡大状況や日本・フランスの渡航制限の変化を見ながら、「取材することを前提」に再度宿泊ホテルや車両の手配を進めていった。

本当に取材ができるのか分からないまま進める準備ほど身が入らないものはない。必要な事柄に“なんとなく”着手していた日々だったが、その向きは7月に入って変わった。フランス政府の決定により、日本からの入国者を規制の適用対象から除外されることとなり、それまで設定されていた「入国後14日間の自主隔離」の必要がなくなったのだ。もちろん、感染しないこと・させないことは大前提ではあるが、これである程度取材活動ができる見通しが立った。

取材にはPCR検査陰性が絶対的条件に

プレス受付時にドクターの面接を受ける

開幕の延期が発表になりしばらく経った7月下旬、主催者A.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)からプレス向けの取材受付案内が送られてきた。例年であれば開幕の3カ月前ほど前には届くものだが、今年は開幕まで約1カ月というタイミングでの配信となった。

その内容としては、まず第一条件として大会にかかわるすべての人をいくつか設定される「バブル」に含め、その中でのルールのもと期間中の活動が求められるとのもの。さらには、「大会合流前5日以内のPCR検査結果の提出」が“絶対的条件”として課されたのだった。

そこで筆者は、出国前日の8月24日にPCR検査を受診。出国日25日の昼頃に陰性である旨が記された英文診断書を受け取り、取材できる状況を整えた。

ただそれ以上に不安だったのは、前述のメール配信をきっかけに始まったオンラインでの取材申請がなかなか受理されなかったことだ。筆者個人のプレス認定は開幕約1週間前に確認できたものの、同時に申請していた車両認定が結局日本出国当日までずれ込んだ。車両認定は大会期間中の移動にもかかわり、車両証が発行されないとレースコースにも、関係者駐車場にも入ることができない。結果的に、これらは主催者側の確認作業への取り掛かりが遅れていたことが原因であると他のジャーナリストから聞かされ胸をなでおろしたわけだが、このあたりにも“いつも”との違いを感じずにはいられなかった。

限定された取材空間

ツール・ド・フランスのサルドプレス(第5ステージ・プリバ)

すべてが整い、いざ大会へ。まず、日本で受け取ったPCR検査の英文診断書を手にプレス受付へと向かった。取材に必要なプレスIDの受け取りにあたっては、大会側が用意したドクターの面接を受ける。そこでPCR検査にて陰性であったことを示すとともに、健康状態に問題がないことを証明。その様子は、主催者A.S.O.関係者が見ているところで行われ、面接を受けずにプレスIDを受け取るような手違いが起きないよう工夫されていた。

前述の「バブル」関連では、選手・チーム関係者・大会運営スタッフを“レースバブル”とし、プレスが含まれる“第2バブル”が接触できるのはソーシャルディスタンスが確保されたミックスゾーンに限定。これまではスタート地点のパドック(チーム車両待機場)で選手へ声掛けすることもわずかながら可能だったが、今年はそこへの入場が禁止された。なお、ミックスゾーンで取材できるメディアやジャーナリストも大会側から指定されており、そこに含まれていないプレスについてはチームが配信するSNSやリリース、主催者配信の情報・データ・写真を活用するように指示されている。

また、プレスが各種作業を行うサルドプレス(プレスルーム)への入場は消毒が必須とされ、施設内至るところに消毒液が設置されている。室内では、もちろんマスク着用が義務付けられ、大会特製マスクの配布も行われている。このマスクは開幕当初、沿道の観衆のほか、屋外での業務をメインとする大会運営関係者にのみ配られていたのだが、第4ステージから本格的にプレスへも配布開始に。そのほか、施設の規模によっては入退場時の導線が確保されている場合や、今年からはサルドプレス入退場時にプレスIDを機械にかざす形での行動管理も導入されている。プレスIDをかざして行動管理が行われている

3484kmの壮大な旅は、ようやく800kmを超えたところ。最終目的地・パリへの到達なるか、スポーツ関係者のみならず全世界からの目が注がれている。大きなリスクの中でレースは続くが、107回に及ぶ大会開催がなす運営ノウハウの応用化を成功に導くべく、多くの人々がいまも奔走中だ。筆者としても、非常に限定された状況下での取材活動ではあるが、決定的瞬間を伝える使命を胸に「フランス一周の旅」への同行を続けていく決意を強めている次第である。

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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