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大学自転車競技部のレース「学連」が開幕! コロナ禍で初の全国規模の大会を開催

9月5日、日本学生自転車競技連盟(以下、学連)が群馬県みなかみ町にある群馬サイクルスポーツセンターで「2020 全日本学生個人ロードレース大会(以下、個人ロード)」を開催。
学連として2020シーズンの事実上の開幕戦であり、国内としても今シーズン初となる全日本を冠する大会を、男子は依田翔大選手(日本大学)が、女子はオープン参加の渡部春雅選手(駒澤大学高等学校)が制した。
今年は文部科学大臣杯を巡る学校対抗戦「全日本大学対抗選手権自転車競技大会」、いわゆるインカレは開催しない。ただ、今後それに相当する全国大会「全日本大学自転車競技大会」は開催するという。今回はその前哨戦ともいえる個人ロードの大会レポートとともに、レースがどのような経緯で開催に至ったのか、各大学がコロナ禍でどのようなどのように活動していたのかをお伝えする。

【学連のレースの仕組み】インカレこそ開催しないが、相当する全国大会は開催

今年は全日本大学対抗選手権自転車競技大会(いわゆるインカレ)がなくなってしまったが、ロードとトラック、それぞれの全国大会は開催するという。ここでは簡単に学連のレースの仕組みを説明しよう。学連の大会は大きく分けて2つの大会に分類できる。

1つ目はいわゆる選手権大会という大会

この選手権大会にはロードレースとトラックレースの合計8つの大会がある。
選手権大会の中でも特別なのが、ロードレースとトラックレースに共通する唯一の大会である「全日本大学対抗選手権自転車競技大会(以下、インカレ)」。今年は大学の事情により参加できない加盟校がいる可能性も考慮し、大会名から選手権を外した形である、「2020 全日本大学自転車競技大会」という大会名で、トラックレースを10月10日~11日に長野県の松本市美鈴湖自転車競技場で、ロードレースを10月17日に群馬県の群馬サイクルスポーツセンターで開催予定だ。
また、選手権名を大会名から外した関係で、インカレの通算開催回数にはカウントされず、種目数や出場人数も例年に比べて減らす形での開催を予定している。
それ以外にロードレースで「全日本学生選手権個人ロードレース大会」、「全日本学生選手権クリテリウム大会」、「全日本学生選手権 チーム・ロード・タイムトライアル大会」、「全日本学生個人ロードTT自転車競技大会」の4つ、トラックレースでは「全日本学生選手権トラック自転車競技大会」、東西での「全日本学生自転車競技トラック新人戦」の3つが選手権として扱われる。
上記のうち、「全日本学生選手権個人ロードレース大会」は今回取材した「2020 全日本学生個人ロードレース大会」として、「全日本学生選手権トラック自転車競技大会」は9月12日~13日に福島県の泉崎国際サイクルスタジアムで開催予定の「2020 全日本学生トラック自転車競技大会」として、東西の「全日本学生自転車競技トラック新人戦」は10月25日開催を予定している。
なお、「全日本学生選手権クリテリウム大会」および「全日本学生個人ロードTT自転車競技大会」については調整中、「全日本学生選手権 チーム・ロード・タイムトライアル大会」については中止が決定されている状況だ。

インカレとその他の選手権で一番異なる点は、インカレのみ大学対抗戦として開催されるということ。その他の選手権はあくまで個人(チーム・ロード・タイムトライアルについてはチーム)の順位を争うために開催されるが、インカレは各種目の順位をポイント化し、そのポイントの合計が一番高い大学が優勝という形で開催される。さらに優勝した大学には文部科学大臣杯が授与される。

また、「全日本学生選手権個人ロードレース大会」や「全日本学生選手権トラック自転車競技大会」はインカレの2か月前後前に開催されることが多く、インカレの前哨戦として注目を浴びている。

2つ目はロードとトラックのカップシリーズ

選手権大会以外にはロードレースのシリーズ戦として全日本学生ロードレースカップシリーズ(以下、RCS)が、トラックレースのシリーズ戦として全日本学生トラックレースシリーズ(以下、TRS)がある。
選手権大会とRCS、TRSの大きな違いは参加資格にある。選手権大会関しては、ロードレースでは通常RCSでいうクラス2以上の選手が、トラックレースでは基準タイムを設け、選手が過去に記録したタイムが基準タイムをクリアしている選手が出場資格を持つ。
一方、RCSとTRSに関しては特に参加基準は設けられていない。

男子の優勝はJプロツアーでも走る依田翔大選手(日本大学)

序盤からアタックが何回も繰り返され、明星大学や日本大学、鹿屋体育大学、京都産業大学が積極的にレースを展開するが、なかなか逃げが決まらず、8周目に仮屋和駿選手(日本大学)と馬場慎也選手(鹿屋体育大学)がようやく集団から抜け出す。
このタイミングでコース近くまで雷を伴う雨が近づいてきたため、4周回短縮が審判団で決定され、単独となった仮屋選手を追うためにメイン集団もペースを上げる。
ラスト1周のタイミングで仮屋選手は30~40名程度の集団に吸収され、その後も集団内ではアタックが繰り返されるものの決定打とならず、最後は集団スプリントに。
ラスト50mを先頭で通過した依田選手がそのまま先頭でゴールラインを通過し、優勝。2位は棚瀬義大選手(朝日大学)、3位は重満丈選手(鹿屋体育大学)となった。

コメント 依田翔大選手(日本大学)

優勝した依田選手は「普段は少人数での練習を心がけていて、レースがない期間の積み重ねを発揮できてよかったです。レースとしては去年の個人ロードやインカレで実績のある小出樹選手(京都産業大学)をマークし、チームとして動くように意識していました。最終周回で集団が一つになった時にはスプリントなら自分に分があると思っていました。「2020全⽇本⼤学⾃転⾞競技⼤会」のロードレースが来月同じ会場で開催されるので、次も表彰台に上がれるよう頑張りたいです」とコメント。

女子の優勝はJBCFでも結果を残す渡部春雅選手(駒澤大学高等学校)

個人ロードの女子のレースについては学連未登録選手のオープン参加が認められており、今大会にはトラックのナショナルチームでも活動する古山稀絵選手(日本体育大学大学院)や渡部選手が参加。
2週間前に同コースで開催されたJBCFの「群馬CSC交流戦8月大会Day-1」でも優勝した渡部選手が今大会も制した。

序盤から渡部選手が積極的にレースを展開し、周回を重ねるごと先頭集団は人数を減らしていく。
最終周回前に単独となった渡部選手がそのまま最終周回も独走し、先頭でゴールラインを通過。2位は川口うらら選手(日本体育大学)、3位は太郎田水桜選手(法政大学)となった。

※1:今年度については各大会を選手権として扱わないことを決定している。

コメント 渡部春雅選手(駒澤大学高等学校)

全体で1位となった渡部選手は「4月以降なかなかレースに参加ができませんでしたが、今年はJBCFの大会にもオープン参加ができるということで積極的にJBCFのレースに出場していました。レース前は積極的な走りができればと考えていて、その通りに走ることができてよかったです。世界選手権といった大きなレースが軒並みなくなってしまったので、今後は出場できるレースで全力を尽くせればと考えています。」とコメント。

今大会の開催に至った経緯

学連として2020年シーズンの開催計画を検討していた当初段階では今大会を4月開催として予定していた。
しかし、その後、新型コロナウィルスの影響で開催予定が7月末にずれ、紆余曲折あって9月5日の開催となった。
この経緯を学連の松倉信裕理事長に話を聞いた。
「2020年度の当初の事業計画では今大会を4月に開催できるよう調整していました。例年は6月に開催している今大会ですが、今年は6月に世界大学選手権を予定しており、同大会を走る選手は個人ロードを走るだろうという意図から4月に今年は開催を早める形で調整をしていました。
しかし、2月~3月頃にかけて新型コロナウィルスの影響が出始め、2月の明治神宮外苑クリテリウムまでは何とか開催できたものの、4月以降は開催できないという状態になったため、当初予定の4月開催は断念せざるを得ませんでした。その後、夏頃には開催できるのではないかという予測をたて、オリンピックの延期も決まったため、当初オリンピックを予定していた時期であれば開催できるだろうと考えて7月末を次の開催予定として設定しました。
また、5月下旬頃から新型コロナウィルスを考慮した新しい生活様式の模索という話も政府を含めて出てきたため、学連に加盟している各大学に対して毎月アンケートを実施するようになりました。そのアンケートで大学のオンライン授業の状況や部活動の状況が見えてきたこと、また、日本自転車競技連盟(以下、JCF)としても7月、8月での大会の主催は見送るという話が出たため、9月5日に開催日を再延期するという決断に至りました。」

新型コロナウィルスへの学連としての対策

今大会では選手、スタッフ、MEDIA含めて、事前に学連へ申請を出した者のみが現地への入場を許可される体制となっていた。
また、入場者については開催当日含めて14日前から体温や健康状態、行動履歴をExcelのファイルに記録することを義務付け、体調に不安がある場合は自主的に来場しないといった選択ができるよう周知を実施していた。
「当初は8月2日に今大会と同じ会場でRCSの大会を開催しようと動いていましたが、JCFから8月の大会も主催は見送るという話が出たため、開催を断念しました。その一方で、予定していた8月2日の前週にはJBCFが同会場でレースを開催していたため、8月2日の開催に向けて同レースの視察を行っていました。

また、レースを再開するにあたっては4月当初からガイドラインの策定や各自治体との調整などを行い、開催予定の場所でレースが開催される場合は学連の関係者が持ち回りで視察するといった動きを取っていました。

ガイドラインおよび大会要項に記載した体調管理シートについては2つの目的を置いています。1つは自ら記入・チェックすることで、自分は行くべきではないという判断ができるようにすること。2つ目は万が一この会場で何かあった際に過去を振り返り、自分が原因となっていないか後追いできるようにすること。

こういった判断をできるようにするために、一つの判断基準となっている14日という期間を設定し、記録を残してもらうようにしました。」と先述の松倉理事長。

各大学における新型コロナウィルスへの対応とインカレに向けて

大学の授業がオンラインで行われたり、大学の構内に入れないなど、各大学で活動に制限が出ている中で、学連に登録する各大学がどのように活動を行っているのか、鹿屋体育大学の黒川剛監督、京都産業大学の秋田謙監督、明星大学の川口直己監督から話を聞いた。

質問1:新型コロナウィルスで活動が制限されるようになったと思いますが、4月以降どのような形で活動されていらっしゃいますでしょうか。

黒川監督

「大学の位置する地域では当初感染はなかったため、感染防止を徹底しながらではありますが、比較的自由に練習は実施できていました。鹿児島県から各大学に進学した選手たちの中には鹿児島に戻って練習を継続する選手もいたため、そういった選手たちからも刺激を受けながら練習ができていました。」

秋田監督

「新型コロナウィルスが国内で影響を与え始めた頃に大学としてかなりの影響を受けてしまったため、部活動しての活動が一切できなくなってしまいました。その中で、当初の見立てでは長くても夏までには活動再開できるだろうと考え、選手たちにもモチベーションを維持するよう話をしていました。しかし、夏になっても状況は変わらず、各自の判断で練習を行っていたため、4年間しかない中での貴重な1年を無駄にさせてしまったことに対して大きく反省をしています。」

川口監督

「影響が出る前である2~3月には鹿屋体育大学と一緒に合宿を行っていました。しかし、4月以降は大学の授業もオンラインになり、各選手も地元に戻ったたため、各自での練習という形になりました。その中で、いわゆるスマートトレーナーやZwift、Zoomを活用し、離れてはいるがオンラインで集まって練習ができるような工夫を取っていました。」

質問2:7月末と発表されたスケジュールから9月5日に予定が変更になりましたが、どのように調整を実施されたのでしょうか。

黒川監督

「練習自体はできていたのでいつでもレースに臨めるようにとは思っておりましたが、一方で高いモチベーションを維持するのがとても難しかったです。特にトラック班を含めると4年生が半数近く引退という状態になってしまい、残った4年生や3年生以下の選手のモチベーションをいかに維持するかという点を最重要視していました。また、今年は鹿児島で雨がかなり降った影響で約1か月間外での練習がほとんどできず、梅雨が明けてからはいきなりの猛暑ということもあり、体調面を気にしながら練習を行っていました。一方で、新型コロナウィルスの影響でこれまでの練習方法とは違う練習方法を採用せざるを得なかったのですが、この練習方法が想定外に選手からも好評で、今後も継続していこうと考えています。」

秋田監督

「予定通り7月末にレースが開催されていた場合は間違いなく不参加だったため、9月5日に延期という判断に対して感謝をしています。選手たちのモチベーションを維持するためには、通常、このレースを目標に頑張ろうという指示を出しています。しかし、レースの開催時期も未定で、大学側からの活動の許可も出ないため、むやみにモチベーションを維持させるような指示は出さず、自転車に乗ることから離れないようにとだけ指示を出していました。それでもこの状況下で自転車から離れるという選択をした選手もいますが、
そこは致し方ないことだ考えています。また、今大会の参加については京都産業大学としては任意とし、今大会に参加するにあたっては感染症対策を実施するよう選手に同意書を書くよう求めていました。監督としては今回参加した選手たちを誇りに思っています。」

川口監督

「開催時期がずれることで、モチベーションを維持し続けるというのがとても難しかったです。一方、JBCFのJプロツアーが7月末に開幕し、Jプロツアーでは那須ブラーゼンに所属する佐藤兄弟が結果を出してくれたことで、チーム全体のモチベーションを
上げることができました。例年は8月に2~3週間程度の合宿を実施しているのですが、今年は1週間のみと短縮し、短い期間ではありますが、チーム全体の士気を上げられるように活動していました。」

質問3:来月に予定されているに「2020全⽇本⼤学⾃転⾞競技⼤会」に向けてのコメントをお願いいたします。

黒川監督

「2020全⽇本⼤学⾃転⾞競技⼤会の開催を決定していただいた関係者の皆様に感謝を申し上げます。大会名は異なりますが、事実上のインカレであることには変わりなく、大学生にとってインカレはシンボルとなる大会であるため、時期・内容を変更してでも開催に向けて調整を行っていただいたことに対して感謝しかありません。種目数や参加枠が減ったことで1つ1つの種目のレベルは例年以上に高くなるだろうと予想しており、とても楽しみにしています。また、その中でより高い位置に立てるようにしっかりと調整し、チャレンジしていきたいと考えています。」

秋田監督

「通常インカレの1か月前であれば、おおよそのメンバーは決まっています。しかし、今年は3月の合宿以降、チームで集まって練習したことは一度もなく、各選手がどういう状態にあるのかというのも把握できていない状況にあります。そのため、監督としては準備が全くできていない状況ですが、逆に短期間でチームをまとめ上げるというのは間違いなく経験になると思っています。」

川口監督

「今年は3年生以下の選手しかいないチームのため、来年に向けてチャレンジするという意味では運がいいのかなと思っています。2年間かけてチームを作っていくという観点から、今年の大会はその足掛かりにできればと考えています。」

以上。

各大学監督の話を総合すると、大学の設置している地域により練習、学習環境がかなり異なることがわかる。特に影響の少なかった鹿児島と、影響の大きかった京都や東京ではコンディションはかなり違っているのは事実だ。この環境の差による有利、不利を除くために今年は「インカレ」という冠をなくしている。ただ、インカレという冠はないが、相当する「2020全⽇本⼤学⾃転⾞競技⼤会」が開催されることが、選手たちのモチベーションにつながっていくことは間違いない。

レースに関する問い合わせ:日本学生自転車競技連盟
https://jicf.info/

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