自転車トラック五輪代表候補、女子では梶原悠未が6冠達成!男子では橋本英也が5冠達成!トラック全日本最終日
Bicycle Club編集部
- 2020年11月10日
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11月5日(木)から8日(日)にトラック競技の日本のチャンピオンを決定する「第89回全日本自転車競技選手権大会トラック・レース」が開催された。最終日となる4日目にも東京オリンピック代表内定選手が登場。
東京オリンピック代表内定選手の梶原悠未が出場6種目すべてで優勝、さらに橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が出場した6種目のうち5つの種目で優勝。さらに1kmでは大会新記録となるタイムを4名の選手が出し、男女の個人追い抜きでは1-2決定戦で逆転が起きるなど、最終日も興奮する内容となった。
また、レース後にリオオリンピックの日本代表の山本さくら(CIEL BLEU KANOYA)が引退を発表した。
女子3kmIPおよびポイントレースは梶原悠未が制し、今大会6冠達成
女子個人パーシュート
女子個人パーシュートでは予選1位の古山稀絵(日本体育大学大学院)と2位の梶原悠未(筑波大学大学院)が1-2位決定戦に、3位の上野みなみ(CIEL BLEU KANOYA)と4位の石田唯(北桑田高校)が3-4位決定戦に進出。
3-4位決定戦では最初の1kmは石田の方が若干リードしたものの、2kmまでに上野が逆転し、そのまま上野がリードを保って3位を決めた。
1-2位決定戦では2kmまで予選1位の古山がリードするものの、3kmまでに2位の梶原が逆転し、そのまま梶原がリードを保って1位を決めた。
女子ポイントレース
女子ポイントレースでは10回中7回のポイント周回で梶原が1着を取り、さらに一緒に飛び出した古山をおいていく形でメイン集団を梶原がラップし、圧倒的な走りを見せた。
梶原はポイントレースも制したことで、出場6種目すべてで優勝という素晴らしい結果を残し、東京オリンピック代表内定選手としての力を存分に発揮した。
梶原は「(個人パーシュート4連覇およびポイントレース5連覇については)とてもうれしく思います。個人パーシュートの決勝では残り4周回からペースアップを図り、しっかり優勝を勝ち取れるレースを狙いに行きました。個人パーシュートの世界記録はクロエ・ダイガード選手が持っていて、自己ベストとその世界記録との差がクロエ選手との差だと思うので、そこをしっかり詰めていけるようにもっと力をつけたいです。(ポイントレースについては)序盤から終盤までポイント周回の度にペースアップがあり、そこでポイントを争うというすごくシンプルなレース展開だったと思います。その中でもさらに1ラップすることも目標としていたので、終盤自分でアタックし1ラップできたことはすごくよかったと思います。4日間で6種目10レース走ることから戦略を練って今大会に挑みましたが、その戦略以上の走りができたと思います。観客席からのたくさんの方々の声援が力になったレースでした。こんなにたくさんの方々に応援されているんだということを日々のトレーニングの中でもしっかり胸に刻み、よりいっそう過酷なトレーニングに打ち込みたいと思います。」とコメント。
男子ではポイントレースを制した橋本英也が今大会5冠達成
男子ポイントレースは序盤にポイント獲得を狙う形で何回かアタックがかかるものの、決定的な逃げにはならず、周回を重ねていく。
中盤、橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling)や近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、佐藤健(熊本県自転車競技連盟)、小出樹(京都産業大学)が先頭集団を形成。
残り18周回のポイント周回を終えたタイミングで4名の選手がメイン集団に追い付きラップポイントを獲得。
残り6周回およびゴール時のポイントで1着を獲得した橋本が優勝。近谷が2位に入り、オムニアムやマディソン同様TEAM BRIDGESTONE Cyclingが1-2を決めた。
橋本はこれで出場した6種目のうち5つの種目で優勝。マディソンで1点差の2位となったため、梶原の6冠には届かなかったものの、こちらも東京オリンピック代表内定選手としての力を存分に発揮した。
橋本は「最後のポイントレースを優勝して終わりたかったので、結果として優勝することができ、うれしいです。積極的に動けたことが勝因だと思います。メンバーの中では僕が一番力があると思っていたので、最初から動いてどんどん動かすレースができたんじゃないかと思います。(ラップについては)普段のレースではけん制が入って逃げが決まることが多いんですが、今回は力のある4人で逃げることができました。近谷選手とは一緒に逃げて、同じチームではあるんですが、良きライバルでもあるのでマッチレースしながら優勝できてよかったです。レースがよく見えていて、他のメンバーが辛そうだなという時にアクセルをかけて逃げを作ることができました。(今大会5冠達成については)ほぼ100%の出来だと思います。」とコメント。
男子個人パーシュートは逆転で近谷涼が優勝
男子個人パーシュートは日本記録を持つ窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling/JIK)が予選1位で、近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が予選2位で1-2決定戦へ進出。
予選3位には安達光伸(朝日大学)、予選4位には山本哲央(中央大学)が入り、それぞれ3-4位決定戦に進出。
3-4位決定戦では安達が山本に一度もリードを許さず3位を決めた。
1-2位決定戦では1kmまではほとんど差がなかったものの、1km過ぎから徐々に近谷がリードを広げていき、そのまま差を広げて1位を決めた。
近谷は「前回優勝した時は窪木選手が参加しておらず、昨年、一昨年は負けていたので、今年こそはと強く思って走りました。高校生の頃からこの種目を得意にし、成長度合いがタイムに表れるので毎年成長する自分の力を感じられていたこともあり、(個人パーシュートは)すごく思いれのある特別な種目です。今年5月に両手を骨折し、しばらく練習できない期間もあったので、今年の全日本は厳しいかなと思っていた時期もあったのですが、周囲のサポートにも助けられてここまで準備ができたので感謝の気持ちでいっぱいです。」とコメント。
男子1kmTTでは新田祐大が大会新記録を樹立
男子1kmタイムトライアルでは4名の選手が大会新記録を樹立し、8位までが1分3秒を切る好タイムが続出する中、最終出走の新田祐大(Dream Seeker Racing Team)が唯一の1分1秒台の大会新記録となるタイムを出して優勝を飾った。
新田は「コロナの影響がなければ全日本選手権に僕が出ることはないと思っていたので、自分の中ではプラス1になった大会になったかなと思います。これがおそらく僕の中では最後の全日本選手権になるのかなという思いで最終日の1kmタイムトライアルをスタートして優勝を勝ち取ることができ、本当に良かったです。タイム的にはベストタイムを1秒近く更新することができ、自分の成長を具体的に可視化できるような結果だったので、やってることは間違ってないということと、オリンピックに向けて成長できているなと感じることができました。今後の若手の選手たちはこの1kmタイムトライアルを基準にどういう戦いをしてくるかという風になっていくと思うので、今年以降非常に熱い戦いが続くと思います。自転車競技をやるからにはここでどういう成績を出すかという基準の種目に(1kmタイムトライアルは)なってくると思うので、そういう意味では若手を含めた中で今日優勝して、若手には刺激を与えることができたか思います。また、(1kmタイムトライアルでは)10年ぶりの全日本選手権優勝ということで、素直にうれしいです。700kg以上の重量を蹴り飛ばす力があるんですが、もともとあったわけではなく、5年間かけてつけてきた筋力が爆発したんじゃないかなと感じています。(オリンピックでは)金メダルしか目指していなくて、そのために5年間費やしてきていますし、応援してくださっている皆さんはメダルを取って笑顔になっている姿を期待していると思うので、応援してくださる人たちとともに喜びを分かち合えるような結果を出せるようにしっかりと頑張っていきたいと思います。」とコメント。
女子500mTTでは山本さくらが有終の美を飾る
女子500mmタイムトライアルではリオオリンピックで女子オムニアムに出場した山本さくら(CIEL BLEU KANOYA)が36秒141のタイムで優勝。
そして、表彰式終了後、山本から今大会を最後に引退することが発表された。リオオリンピック出場で一度燃え尽きてしまったこと、鹿児島国体を目標に練習を続けていたが、鹿児島国体が2023年に延期となってしまい、モチベーションが保てなくなったことが理由と語ってくれた。
山本は「率直にうれしいです。ベストタイムよりは全然遅かったですが、最後の大会ということで優勝で飾れてよかったと思います。鹿児島県登録で鹿児島国体を予定していたのでそれに向けてやっていましたが3年後に延期となり、女子のルールがまだはっきりしていないということもあり、自分にとって目指すところがないため、モチベーションを保つことが大変なので、今回で終わりだなと。リオオリンピック後はバーンアウトというか、ちょっとやりたくないなと気持ちもあって一回やめようと思ったんですが、子供を授かり、休む間に色々考えることができて、チームの方からもまた頑張ってくれと言ってくれたので、ここまで戻ってくることができたと思っています。(ファンの皆様に対しては)ここまで応援してくださって本当にありがとうございました。」とコメント。
リザルト
女子500mタイムトライアル
1位:山本さくら(CIEL BLEU KANOYA) 36秒141
2位:佐藤水菜(JPCA) 36秒401
3位:松井優佳(同志社大学) 37秒243
男子1kmタイムトライアル
1位:新田祐大(Dream Seeker Racing Team) 1分1秒551※大会新記録
2位:中野慎詞 (Dream Seeker Racing Team) 1分2秒011※大会新記録
3位:小原佑太(JPCA) 1分2秒260※大会新記録
女子3km個人パーシュート
1位:梶原悠未(筑波大学大学院) 3分41秒327
2位:古山稀絵(日本体育大学大学院) 3分44秒282
3位:上野みなみ(CIEL BLEU KANOYA ) 3分48秒053
※タイムは順位決定戦時のもの
男子4km個人パーシュート
1位:近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 4分28秒222
2位:窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling/JIK) 4分35秒704
3位:安達光伸(朝日大学) 4分33秒923
※タイムは順位決定戦時のもの
女子ポイントレース
1位:梶原悠未(筑波大学大学院) 58ポイント
2位:古山稀絵(日本体育大学大学院) 27ポイント
3位:内野艶和(ライブガーデンBiciStelle/JIK) 19ポイント
男子ポイントレース
1位:橋本英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 59ポイント
2位:近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 42ポイント
3位:佐藤健(熊本県自転車競技連盟) 33ポイント
【基礎知識】大会最終日のトラック種目を見ていこう
最終日は主に個人のタイムトライアル種目について説明する。
4km/3km個人パーシュート
男子は4km、女子は3kmのタイムを競う種目。順位決定に限っては、種目名に追い抜きとある通り、男子は4km/女子は3kmまでに相手選手に追い付けばその時点で勝利が確定し、それぞれの距離で追いつかなかった場合はタイムで順位が決まる。
1km/500mタイムトライアル
男子は1km、女子は500mのタイムを競う種目。
日本自転車競技連盟
https://jcf.or.jp/
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