自転車用ビンディングペダルの以前の話「トークリップリターンズ」【西山自転車商会】
ニシヤマ
- 2021年02月24日
「自転車はスポーツではなくホビーと言い張る」いじってなんぼのレストア編集者の手記。今回は自転車用にビンディングペダルが登場する前に主流だった、「トークリップ」のお話だ。「トークリップ」とは、いまでも競輪選手が使っているアレのことだ。
今回はフラットペダルのおはなし。
ウィズコロナで近場サイクリングが多かった2020年。ふだん履きの靴で乗ることがほとんどで、フラットペダルを多用した。
フラぺは自由だ。ビンディングのタイプによって、対応するクリートの専用靴を選ばなくてもいい。しかし、そのうちふだん履きでも足を固定したくなって、トークリップの存在を思い出した。ビンディングペダルのキャッチ&リリースの優秀さに、もう使うまいと思っていたトークリップ。
ストラップでペダルと足をくくり付けるアレ。ピストの人などは好んで使っているが、最近のロードではまず使わないアイテムだ。
思えば、スポーツ車を手に入れて人生で最初に買ったサイクルアイテムはハーフクリップだった。やがてトークリップに昇進して、高校2年くらいで自転車から離れた。戻ってきたらもう時代はビンディングペダルになっていたから、採用はかれこれ30年ぶりということになる。
ひさしぶりに使ってみて、最初はクリップの中に足を入れられず、情けないありさま。ペダルの裏側に足を乗せてこいでしまうと、おろしたてのクリップがガリガリと地面と接触して削れる。ああ、トークリップってのは、こういう悲しみがあったなと懐かしい。
やがて、足を入れてストラップを締めて走って、降りる前にゆるめるという一連の動作が舞い戻ってきた。カラダが憶えている記憶というのはすごい。
それにしても、ダブルレバーやトークリップなど、昔のスタイルはハンドルから手を離す動作が多い。手元シフト&ビンディングがあたりまえの現代では考えられないほど不安定だ。
逆に、こういうムリな動作を重ねることで、バランス感覚が鍛えられた気もする。今となっては不便を楽しむしかないというところだが。
トークリップだが、先が細めの靴でないと具合が悪いことを思い出した。厚みのあるアウトドアシューズだとつま先が入らない。いまトークリップ向きのシューズを探している。しかし専用シューズが必要となるとは、ビンディングと同じでは?と堂々めぐりになっているのに気づいた。
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