FACTOR・OSTRO VAM【ハシケンのロードバイクエクスプローラー】
ハシケン
- 2021年03月14日
このような期待感を持って、今シーズンからクリス・フルームも乗る注目のオストロを走らせる。ケイデンスを高めていくと、まずはボリュームのあるヘッドチューブにインテグレートされたエアロフォークが存在感を示しだす。
テストバイクの重量は7.1kg(54サイズ)と軽量ながら、よい意味でどっしりと構えた直進安定性を発揮してくれる。初めて乗るバイクとは思えない安心感に支えられてペダリングにも力がこもる。軽量バイクでありながらエアロロードらしくフロントサイドに剛性の高さを実感できる点が、まずオストロに感じた特性だ。
直進性が高いエアロロードは、その安心感と引き換えにペダリングの入力に対するレスポンスがイマイチなことが多い。低速から一気に加速するようなシーンでのバイクのもたつきだ。オストロにはこの感覚がない。
ヘッドチューブからBBにかけての、いわゆるパワーラインは推進力の向上の役割を果たしながら、その利点を相殺しないバイクの軽さとバランスのよさも持ち合わせている。エアロロードらしくもあり、軽やかでレスポンスのよさが魅力の軽量モデルとしての高性能ぶりを確認できた。
低速時のレスポンスに弱さを見せることがあるエアロロードだが、オストロはあらゆるスピード域でレベルの高い運動性能を発揮してくれる。
そもそもエアロロードとして、純粋な空力性能は実感できるほどにハイレベルだ。32mmタイヤを飲み込むワイド設計のフロントフォークは、実際かなりサイドへ張り出しており、32mm以上も装着できそうなスーパーワイドスタンスと言えよう。独自のリバーシング・フロー・エネルジャイジング・チャンネルの効果かどうかは断言できないが、巡航やダウンヒルシーンでペダリングを止めているときの空気の抜けのよさは感じられる。
オストロのエアロダイナミクス性能は本国の公式サイトにも開示されておらず数値では知ることができないが、ライダーは恩恵を受けられるだろう。とくに、ツール・ド・おきなわなど上り返しの多いコースでは、バイクの軽さも相まってライバルから大きなアドバンテージを得られるはずだ。
なお、登坂時に見せるバイクのキャラクターは、O2のようにクライマー好みの軽やかに舞い上がるような運動性能とは異なる。地面を力強く捉えながら駆け上がっていくため、シッティングでパワーをかけていくスタイルのほうがマッチしているが、重心が後ろに残るような印象はなく、坂道を駆け上がっているとポジティブな感情が湧き上がってくる。
ペダリングの足あたりは、ウィップを感じるほどソフトではないが、エッジの利いた見た目よりもマイルドな印象。登坂やスプリント時など大トルクでのペダリングにも脚へのダメージは残りにくく感じる。合わせて、シートチューブとシートステーの設計がうまく快適性を引き出していて、フレーム全体として高い推進力と快適性をうまく融合できている。
100km走行のなかで性能面の粗探しをしようにも欠点がなく、スーパーライトウェイトエアロレーサーの名に偽りなし。地中海に吹く風に由来するオストロが、性能進化が著しい軽量エアロロードの世界に新たな風を吹き込んだと言えるだろう。
SPECIFICATION
FACTOR/OSTRO VAM
フレームセット価格:59万円(税抜)、フレームセット(ブラックインクホイール付き)価格:69万円(税抜)
スラム・レッド完成車価格:98万円(税抜)、スラム・フォース完成車価格:81万円(税抜)
■フレームセット付属品
・フレーム+フォーク+シートポスト
・ブラックインク ステム一体型ハンドルバーステム
・セラミックスピード T47a BB
・セラミックスピードヘッドセットほか
■カラー:フリッカー、ソーホー・ミックス、シチリアン・ピーチ
■試乗車参考重量:7.19kg(54サイズ・ペダルなし)
GEOMETRY
問:トライスポーツ www.trisports.jp
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