熱海へロングライド! eロードで余裕のサイクリング|GIANT ROAD E+インプレVol.2
Bicycle Club編集部
- 2021年05月23日
自転車、登山、オフロードオートバイとアクティブにアウトドアを楽しむバイシクルクラブの元編集長、今坂純也がジャイアントから登場した新eロードをインプレッション。ヤビツ峠でのヒルクライムを楽しんだ今坂が次に向かったのは、熱海。“ミラノ~サンレモ”のような景色と絶品イタリアンを目指して、ロングライドを楽しんだ。
GIANT ROAD E+ インプレッション Vol.1 ヤビツ編はこちらから。
GIANT ROAD E+
インプレ・ヤビツ編
ROAD E+インプレッション Vol.2 -秦野~熱海 ロングライド編-
「ロードバイクの楽しさって何?」と考えたとき、私は100kmを超えるようなロングライドだと思っている。なので、自宅から往復で100km程度の熱海へROAD E+で行ってみることにした。
「なんで熱海?」って人にちょっとした情報を。
1973年ごろ、当時のイタリア・サンレモ市観光局次長が日本を訪れた際、「熱海の景色はサンレモによく似ている」と言われたそうで、日伊貿易協会の仲介のもとで1976年、姉妹都市提携につながったという。熱海海浜公園のお隣にあるサンレモ公園は、この姉妹都市提携を記念して作られたという。
そんな話もあり、ROAD E+で走るなら、プロロードレースのひとつ“ミラノ~サンレモ”のような景色を楽しみながら走るってのはどうか? と思ったのだ。しかも、かなり走りやすい道ばかりを走れる。こんなご時世だから、熱海サンビーチやサンレモ公園には水着ギャルもいないだろうから早々にUターンし、お昼は湯河原あたりでおいしいものを食べたい。ミラノ~サンレモの雰囲気ならイタリアンかな……そんなわけで一路、熱海へ!
ルートは簡単。「自宅→国道1号→国道135号→寄り道して県道740号→国道135号→熱海」で、往復して100km弱。途中に県道740号を入れるのは、車が少なく、少し上り+少し下りがあり、景色に変化があって飽きないからだ。
アシストモードはECO(205km)、TOUR(137km)、ACTIVE(100km)、そしてヤビツアタックで使い続けたSPORT(82km)の4モードをちょこちょこ使ってみて、すぐに「オレは“TOUR”が一番使いやすい」と感じ、ずっとTOURに固定。TOURモードは平地ではアシストされているかどうかわからないくらいの自然さで、上りで死にそうにならないくらいの「自尊心を傷つけられない適度なアシスト感」がグッドバランスと感じる。
TOURモードで国道1号を30~33km /hほどで巡航する。愛車TCRだと、私の巡航速度は27~30km /h 程度だし、ROAD E+は法規上24km /hまでしかアシストをしないはずなのに、なぜこのスピードで巡航できるのか?
ROAD E+は……というか認可の下りているeバイクは法規上、こぎ出しから24km /h(原付オートバイの8掛けらしいが、意味不明である)あたりまでしかアシストしてはいけないのだが、意外に何度もあって結構体力を奪う24 km /h あたりまでの“加速区間”できっちりアシストしてくれるから、24 km /hより上は普通にペダルを回しているだけで30km /hくらいまではすぐ出てしまう。しかもその速度の維持がラク。重めの車量やホイール、タイヤのせいもあるだろうが、スピードに乗ってさえすれば速度維持は愛車TCRより圧倒的にラクなのだ。そして向かい風にも強い。135号に入ったところと熱海の手前で強い向かい風が吹いていたが、ROAD E+は減速する感じがほとんどなかった。
国道135号を少し走るとすぐ県道740号に入る。自分にとっては、根府川駅あたりの上りが最初のつらいところだが、TOURモードであっても適度に汗をにじませながら軽く前に進んでくれる。740号の途中からは下り。そして真鶴を通過して国道135号で湯河原から熱海へ。「ここをプロトンが通過したりすると、ミラノ~サンレモみたいな画に見えるのかな?」なんて思いながら……もう着いちゃいましたよ、熱海に。いつもは自宅から熱海までは1度休憩を入れて2時間以上かかるが、途中休憩は不要だし脚もよく回るから2時間ちょうどくらい。びっくりです!
いつものロードバイクのように扱うと、最高に楽しい!
熱海をウロウロした後は、復路について真鶴の山側にあるイタリア料理店で食事。その後しばらく走るとなぜかお尻が痛い。往路ではなんともなく、サドル
また、同じく感じたのが「マメにシフトチェンジしたほうが疲れないし、楽しい」ってこと。先のほうにある信号で車が停車し、自分も停車……となると思ったら発進! というシチュエーションはよくある。このとき、重いギヤのままペダルを踏んでも加速はするが、加速感はまったりした感じ。なので、いつものように止まるまでにきちんとシフトダウンし、再加速時に軽めのギヤにしておくとアシストが軽く効いてスッと加速する。このほうが早く巡航速度に戻れて気持ちがいいのだ。サドルのことといい、シフトのことといい、ROAD E+は電気の力に頼りっきりの乗り方ではなく、いつものロードバイクのように乗ったほうが圧倒的に気持ちいいと思う。
そして自宅前の激坂でも軽いペダリングを維持したまま無事帰還!
ROAD E+なら熱海よりもっと遠くまでチャレンジしてみたいと思えた
じつを言うとTCRでは、自宅から熱海の手前にある湯河原までしか行ったことがない。今回が初めての熱海だったのだ。かつて、熱海手前の強い海風を受け、緩く上って緩く下る道を前方に見たとき、なんだか疲れ切ってしまいそうで楽しく帰宅できる自信がなくてUターン。ロングライドに行くなら、自宅からの方向を変えて国道246号で沼津などに行っていたのだ。でも、今回乗ったROAD E+なら熱海よりもっと遠くまでチャレンジしてみたいと思えた。
ちょっとした着替えと充電器を背負って(元山岳誌編集長でもあるので荷物を背負うことに迷いはないし、ROAD E+はルックスがいいから、自分の好みだとキャリアを付けるのはイヤ)、熱海経由で三島にうなぎを食いに行ったり、うまい魚を食いに焼津とかまで、はたまた伊豆半島をグルリとか……とワクワクさせてくれる。こんなのオレのスーパー貧脚+TCRでは思いもしなかった案だ。
また、我が家で運用するなら妻にROAD E+、私はTCRというのもアリかも。なぜなら妻はオレに輪をかけて貧脚だから。ちなみにもう一つの趣味である登山では、オレは20kg、妻は10kgと、背負う荷物の重さを分けることで「同じようにキツくて、同じようなスピードで歩ける」ように登山を一緒に楽しんでいる。だからROAD E+を使ってこんな趣味の共有法もありだと思う。いずれにせよ、ROAD E+があると我が家の共通の趣味がまたしても増えそうだし、休日の過ごし方も大きく変わりそうだ。
ジャイアントの創業者キング・リューは自転車を生涯の友と敬愛し、単なるスポーツ機材ではなく、もっと広く大きく、人の暮らしそのものをより良くしてくれるパートナーであると提唱している。ROAD E+の登場によって、ジャイアントはその理念「RIDE LIFE」、つまり「健康的で環境にも配慮した、自転車と共にあるライフスタイル」をまた一歩前に進めたと言えるのかもしれないな。
……ごめんTCR、次のロングライドもまたROAD E+に乗ってみたいぜ!
GIANT ROAD E+
(ジャイアント・ロード Eプラス)
価格:46万2000円
サイズ:425(S)、450(M)mm
重量:19.3kg(450mm、キックスタンド未装着)
フレーム:アドバンスドグレードコンポジット、フルコンポジットオーバードライブコラム12mmアクスル
変速パーツ:シマノ/GRX
ブレーキセット:シマノ/GRX 160mmローター
タイヤ:マキシス/リフューズ 700×32C
シフト段数:11速
500Whの大容量バッテリーと、最大ケイデンスを高めたヤマハと共同開発のシンクドライブスポーツモーターを搭載するeロード、ROAD E+。アシストモードは最も長距離を走れるものからECO モード(205km)、TOURモード(137km)、ACTIVEモード(100km)、SPORTモード(82km)の全4モードを用意。前後方向に楕円断面となるカーボンフォークや“しなり”を利用したDフューズポスト、上位モデルの技術を踏襲しつつ厚みのあるインフォームを採用したコンタクトニュートラルサドルなども長距離ライドを後押しする。
付属品・仕様等
モーター:ジャイアント/シンクドライブスポーツ, 70Nm 最大ケイデンス140rpm
バッテリー:ジャイアント/エナジーパックスマートコンパクト500 , 36V-13.8Ah
コントローラー:ジャイアント/ライドコントロールエルゴ2
ディスプレイ:ジャイアント/ライドダッシュエボ
GIANT ROAD E+ 機材編はこちらから。
GIANT ROAD E+
機材編
取材協力:ジャイアント
https://www.giant.co.jp
今坂純也(いまさかじゅんや)プロフィール
1967年生まれの54歳。2007~2013年までバイシクルクラブ編集長。その後、ランニング専門誌や山岳誌、女性向けアウトドア誌、エリア情報紙の編集長を務め、現在はフリーの編集者&ライター。趣味は自転車、登山、オフロードオートバイ、クルマいじりやYouTube鑑賞など。バイシクルクラブ時代はダウンヒルレースにのめり込んで骨折しまくり、ロードはその貧脚ぶりもあって平地ばかりを好む。
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PROFILE
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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