ホセが先行4人の争いを制する、総合は増田がトップを守る|ツアー・オブ・ジャパン
Bicycle Club編集部
- 2021年05月29日
現在開催中のツアー・オブ・ジャパンは5月29日に第2ステージを実施。相模原の周回コースで行われたレースは、最大16人に膨らんだ逃げから最後は4人の争いに。スプリント勝負でホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が制してステージ優勝を挙げた。個人総合では増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が守って、残る1ステージに臨む。
横並びのスプリント、わずかな差でトリビオが勝つ
前日の富士山では、増田がトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)との一騎打ちを制して、ステージ優勝とともに個人総合首位に立った。ルバが11秒差、3位フィニッシュの山本大喜(キナンサイクリングチーム)が44秒差につけ、増田を追う立場となる。
続く第2ステージは、今年から始めてTOJに組み込まれる神奈川県相模原市が舞台。橋本公園をスタート後、この夏開催予定の東京2020五輪ロードレースのコースを一部走行し、宮ケ瀬湖のほとりを基点とする周回コースへ。1周13.8kmのコースはワインディングが続き、細かな高低もある変化に富むセッティング。これをおおよそ8周回する108.5kmで争われるが、ハイスピードレースが予想された。
迎えたレースは、逃げ狙いのアタックが頻発する中から16人が先行を開始。大多数のチームが選手を送り込むことに成功。なかでも、個人総合7位でスタートした谷順成を擁する那須ブラーゼンが、谷を含む3人を入れて流れを引き寄せる。メイン集団はリーダーチームの宇都宮ブリッツェンがコントロールする。
メイン集団に異変が生じたのは2周目。周回後半に連続するトンネルで、前方を走っていた選手たちを中心に落車が発生。個人総合上位の選手たちも絡む形になり、いったんペースを緩めて情勢を整える。この間に、先頭グループとの差は5分以上の開きに。落車した選手たちが戻ったところで、有力チームからアシストが数人ずつ前に出て、交代で集団牽引を担う。
俄然優位になった先頭グループは、5周目で入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)がアタック。平井光介(日本ナショナルチーム)も合流し、2人逃げを試みる。この動きは次の周回までに捕まるものの、代わって安原大貴(マトリックスパワータグ)が飛び出しを図るなど、逃げメンバー全体が活性化。脚が残っている選手たちに絞られていき、逃げ切りをかけた争いへと移っていく。
最終周回を前に先頭グループから飛び出したのは、小石祐馬(チーム右京相模原)。数秒のリードを持って、そのまま最後の1周へ。しばし独走状態が続いたが、残り5kmを合図に追走メンバーから山本元喜(キナンサイクリングチーム)がアタック。ここにトリビオ、仮屋和駿(日本大学)、小出樹(京都産業大学)が食らいつき、4人で小石をキャッチ。最後の上りで小出が引っ張ると、小石が遅れて4選手で最後の直線を迎えた。
そしてステージ優勝をかけたスプリント。下り基調を利用して山本が残り150mで加速。その右サイドからはトリビオが、左サイドからは仮屋が上がって、3人が並ぶようにしてフィニッシュへ。わずかな差でトリビオが前に出ており、ステージ優勝が決まった。着順では山本が2番手だったが、スプリント時にトリビオの進路をふさいだとして同グループの最下位との裁定。2位は仮屋、3位が山本となった。
かたや、一時は大きなリードを許したメイン集団は、周回を重ねるごとに着実にタイム差を縮小させ、最終的にはトリビオから1分35秒差でフィニッシュ。最後の1周で人数が一気に絞られたものの、個人総合上位陣の大多数がこの中で終えた。
その結果、個人総合トップ4までは前日終了時と変わらず。終盤に見せ場を作った小石が3つ順位を上げて5位としたほか、ステージ優勝のトリビオも11位から7位に浮上している。
大会は残すところ、あと1日。最後を飾るのは東京・大井埠頭での平坦ステージ。もちろん主役はスピードマンたちだ。そして、このステージを走り終えると、今大会の王者が確定する。
ステージ優勝 ホセビセンテ・トリビオ コメント
「第1ステージでは遅れてしまったが、その分今日は自由に動けた。パコ(フランシスコ・マンセボ)や小林海を総合上位に置きながら、自分でも勝てたことはとてもうれしい」
個人総合時間賞 増田成幸 コメント
「リーダージャージを何とか守り切ったという感じ。先頭グループとの差が大きく開いた時には正直厳しいと思ったが、何とかレースをコントロールしたいと粘っているうちに利害が一致するチームと協力ができた。明日の東京はスプリンターがメインのステージになると思うが、チームにはスプリンターもいるので勝利をさらに1つ増やしたい」
ツアー・オブ・ジャパン2021 第2ステージ・相模原 結果
ステージ結果
1 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ、スペイン)2:38’44”
2 仮屋和駿(日本大学)ST
3 山本元喜(キナンサイクリングチーム)ST
4 小出樹(京都産業大学)+0’02”
5 小石祐馬(チーム右京相模原)+0’09”
6 畑中勇介(キナンサイクリングチーム)+1’04”
7 沢田時(チームブリヂストンサイクリング)+1’06”
8 谷順成(那須ブラーゼン)ST
9 川野碧己(弱虫ペダルサイクリングチーム)+1’31”
10 門田祐輔(リオモ・ベルマーレ・レーシングチーム)ST
個人総合成績
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)5:16’11”
2 トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム、フランス)+0’11”
3 山本大喜(キナンサイクリングチーム)+0’44”
4 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ、スペイン)+1’24”
5 小石祐馬(チーム右京相模原)+1’31”
6 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+2’02”
7 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ、スペイン) +2’14”
8 谷順成(那須ブラーゼン)+2’22”
9 小林海(マトリックスパワータグ)+2’38”
10 留目夕陽(日本ナショナルチーム)+3’05”
ポイント賞
ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ、スペイン)
山岳賞
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
新人賞
留目夕陽(日本ナショナルチーム)
チーム総合成績
マトリックスパワータグ
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