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コスタ降着でクロンが繰り上げステージ優勝、総合は変わらず|ツール・ド・スイス

UCIワールドツアー、ツール・ド・スイスは現地611日に第6ステージを実施。レース半ばにメイン集団から飛び出した選手たちによるステージ優勝争いになり、アンドレアス・クロン(ロット・スーダル、デンマーク)が勝利。プロ3勝目を挙げた。フィニッシュではルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)が一番だったが、スプリント時にクロンの走行ラインを侵害したとして2位に降着となった。個人総合上位陣はメイン集団でレースを完了。順位に大きな変動は起こっていない。

23歳クロンが今季2勝目となる逃げ切り勝利

前日行われた第5ステージから山岳が本格化し、総合でも大きな変動が発生。この第6ステージは、130.1kmと短いながら1級山岳が前後半に1つずつ控え、選手たちの力を図る。終盤は3級山岳を経て、緩斜面を上りながらフィニッシュ地点へと到達する。アンダーマットをスタートし、ディゼンティスにフィニッシュラインが設けられる。

スタートを前に、今大会2勝を挙げているマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)ら6選手の未出走が発表に。ファンデルプールは第4ステージでの雨が影響したものとみられる風邪症状があるとし、この先に控えるツール・ド・フランスに向けて回復と調整に専念。また、4選手が大会を去ることになったチーム バイクエクスチェンジでは胃腸炎が蔓延。個人総合6位につけていたルーカス・ハミルトン(オーストラリア)も出走を取りやめている。

©︎ TdS

こうして迎えたレースは、リアルスタートから早々に20人が先行を開始。メンバーの入れ替わりも激しく、慌ただしい状態が続く。前半の動きには、個人総合4位のジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)が加わる場面が見られた。

この日1つ目の1級山岳を越え、下りと平坦区間で先頭グループは大シャッフル。アラフィリップはメイン集団へと戻り、総合に関係しない選手たちが次々と前線へ。フィニッシュまで残り50kmになろうかというタイミングで最大39人がレースをリードすることになった。

©︎ TdS

イネオス・グレナディアーズがコントロールするメイン集団は、大人数の逃げを容認。意識的にタイム差を広げ、やがて逃げメンバーからこの日の勝者が出ることが決定的になった。

2つ目の1級山岳の上りに入り、フィニッシュまで44kmとなったところでセーアン・クラーウアナスン(チームDSM、デンマーク)がアタック。1kmほど進んだところで今度はダヴィ・デラクルス(UAEチームエミレーツ、スペイン)がカウンターで飛び出し、クラーウアナスンに追いつくとそのままパス。独走態勢に入り、後続に対して1分近いタイム差を得る。

©︎ TdS

しばし1人で逃げ続けるデラクルスに対して、追いかけたい選手たちは、最後のカテゴリー山岳である3級の上りを経て残り10kmとなったところで動き出す。アントワン・トールク(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)のアタックをきっかけに、コスタやクロンら数人が追随。さらにこの中からハーマン・ペーンシュタイナー(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストリア)が抜け出すと、これをチェックするコスタを引き連れながらデラクルスに迫る。残り6kmで追いつくと、1kmほど進んだところでクロンも後方から合流。少し置いてデラクルスが後ろへと下がったこともあり、先頭の3人がステージ優勝争いへと移っていった。

残り2.4kmでペーンシュタイナーがアタックを試みるも決まらず。3人のまま最終局面へと突入する。そして残り200mでスプリントが始まると、ライバルをマークしていたコスタが満を持して先頭へ。これにクロンがすかさず反応するが、コスタが前を譲らずそのまま一番にフィニッシュラインを駆け抜けた。

©︎ TdS

しかし、フィニッシュ前の緩やかなコーナーと最後の直線で連続してコスタがクロンの走行ラインをふさぐような形になったことで、審議の対象に。最終的にコスタの1位は認められず降着と決定。繰り上がってクロンがステージ優勝となった。

23歳のクロンにとっては、3月のボルタ・ア・カタルーニャ第1ステージに続く今季2勝目。今大会では一時個人総合トップ10圏内を走っていたが、順位を落としてステージ優勝狙いに切り替えた矢先での好成績となった。

逃げていた選手たちがステージ19位までを占め、メイン集団はクロンから249秒差でフィニッシュラインを通過。個人総合上位陣はすべてこの中でレースを終えており、総合順位の大きな変動はなし。リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)が引き続きリーダージャージを着用する。

12日に行われる第7ステージは、今大会2回目の個人タイムトライアル。ただ、第1ステージとは大きく異なり、1級山岳の登坂が待ち受ける山岳タイムトライアルだ。23.2kmに設定されるコースは、スタートして2kmあたりから上りが始まり、おおよそ中間地点で1級山岳の頂上へ到達。そこからはフィニッシュへめがけてダウンヒル。下りはテクニカルとあって、登坂力と合わせてダウンヒル能力も問われる1日に。有力選手たちがTTバイクで臨むのか、あるいはノーマルバイクで出走するのかも含めて、このステージへの対応が見ものとなってくる。

ステージ優勝 アンドレアス・クロン コメント

©︎ Photo News

「ジュリー(審判団)は正しい判断を下したと思う。コース右側からスプリントを開始し、左へとポジションを変えたが、彼(コスタ)も同じように動いてきた。公正なスプリントであれば勝負ははっきりしていたと思う。ジュリーを信頼していたし、その決定に満足している。

ステージ優勝ができて本当にうれしい。夢のようで、シーズン初めにこれだけ勝てると言われていたならまったく信じなかったと思う。同い年のタデイ・ポガチャルやマルク・ヒルシのような選手になりたい。大会前半はチームメートが総合上位につけていた私のために全力で働いてくれていた。昨日順位を落としてしまい申し訳なく思っていたが、この勝利でみんなに恩返しができそうだ」

個人総合首位 リチャル・カラパス コメント

©︎ TdS

「総合トップを失わないことを重視していたので、今日の結果には満足している。チームメートの働きに感謝している。レース前半のアラフィリップの攻撃は最後まで続かないと思っていたし、チームとしても状況がコントロールできていたので心配していなかった。注意すべき選手たちの動きはしっかり見ていたし、逃げた選手たちがステージ優勝することはまったく問題なかった。

明日のタイムトライアルは難しい。トリッキーなセッティングだが、できる限りの走りをして、良い結果を得たい。コース自体は私にあったものだと思うので、ステージ優勝を狙っていきたい」

ツール・ド・スイス2021 第6ステージ結果

ステージ結果

1 アンドレアス・クロン(ロット・スーダル、デンマーク)3:14’52”
2 ルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)ST
3 ハーマン・ペーンシュタイナー(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストリア)+0’01”
4 ゴンサロ・セラーノ(モビスター チーム、スペイン)+0’03”
5 ピエール・ラトゥール(チーム トタル・ディレクトエネルジー、フランス)ST
6 ユーゴ・ウル(アスタナ・プレミアテック、カナダ)ST
7 ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・NIPPO、アメリカ)ST
8 アントワン・トールク(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)ST
9 マッテオ・ファッブロ(ボーラ・ハンスグローエ、イタリア)+0’50”
10 アンドレアス・レックネスン(チームDSM、ノルウェー)+1’00”

個人総合成績

1 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)20:00’31”
2 ヤコブ・フルサン(アスタナ・プレミアテック、デンマーク)+0’26”
3 マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+0’38”
4 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’53”
5 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)+1’11”
6 マイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネイション、カナダ)+1’32”
7 サム・オーメン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)+2’19”
8 エステバン・チャベス(チーム バイクエクスチェンジ、コロンビア)+2’22”
9 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(チーム クベカ・アソス、イタリア)+3’10”
10 ルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+3’37”

ポイント賞

シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・NIPPO、スイス)

山岳賞

アントニオ・ニバリ(トレック・セガフレード、イタリア)

ヤングライダー賞

アンドレアス・レックネスン(チームDSM、ノルウェー)

チーム総合成績

ドゥクーニンク・クイックステップ

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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