BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

岡山が生んだ生粋のスピードマン 原田裕成【El PROTAGONISTA】

PAGE
2 / 2

ナショナルチームとの両立に苦しんだプロデビュー

学生時代からトラック中距離種目のスペシャリストとして知られ、2018年全日本選手権4km団体追い抜き優勝、4km個人追い抜き3位、2020年東日本トラック4km個人追い抜き新記録樹立など、日本屈指のスピードマンとして知られる原田。

ロードレースへの本格的な参戦は2016年。大学卒業後にそのスピードを買われ愛三工業に入団したのがきっかけだった。「高校生で一度は夢見たプロロードレーサー。鹿屋体育大学時代にはツール・ド・北海道などのロードレースにも出場しましたが、あくまでメインはトラック競技。自分がプロロードレーサーになるとは思いませんでした……」

東京五輪も視野に入れていた4kmのスペシャリストが、ナショナルチームのトラック競技と並行してプロのロードレースを戦うという、特殊な環境に順応していく過程には葛藤もあった。「愛三工業で経験したアジアツアー転戦。落車も多いハイレベルなレースのなかで、仲間に補給を運んだり、走りながら用をたしたりなど、ロードレース特有の経験をゼロから学びました。一方で、東京五輪出場がかかったトラックでは、コンマ1秒のシビアな戦いに向け体調を調整する。僕にはこれが難しかった……」

団体追い抜きのメンバーとして同じラインを走る窪木一成がロードとトラックを両立して活躍していくのを横目に、原田はしだいに苦しむようになっていく。「トラックでもロードスプリンターとしても勝利を重ねる窪木さんは天才。一方僕は……」

悩んでいた矢先に、学生時代トラックで活躍し、日本のロード界のトップで活躍する入部正太朗(現弱虫ペダルレーシングチーム)から声がかかる。「ロードは3年で走れる。とにかくがんばってみろ」と喝を入れられ歯を食いしばった。2017年はトラック日本代表から外れるも、2018年は東京五輪をテーマにメンバーを再編したチームブリヂストンサイクリングに入団。「2017年からナショナルチームにイアン・メルビン(トラック中距離ヘッドコーチ)が就任すると、より一層出力を重視する代表選考が強まりました。僕もトライアウトに挑むも力及ばず、トラック日本代表がそろうチーム内では、ロードレースに抜擢されることも増えました」

しかしこのとき感じた仲間への強いジェラシーは、逆に原田を強くした。

2018年5月20日ツアー・オブ・ジャパン堺国際クリテリウム。多くの観衆が見守るスピードレースで原田の走りが爆発した。「TOJで僕に期待している人なんていない。思いっきりぶつかってやる」と序盤から飛び出した原田は、8人のエスケープを牽引し、最終周回にまでもつれ込んだ。「トラックで磨いたスプリントには自信がある。これまでロードレースで最終展開に残れなかった自分に訪れた、人生最大のチャンス!」

最終コーナーを番手につけて400mを粘り、200mで先行選手を一気にまくってゴールに飛び込んだ。

この日を境に原田を見るまわりの目が明らかに変わった。

勢いに乗った原田は全日本選手権トラック4km団体追い抜きで4分5秒270の日本記録(当時)を樹立(窪木一茂/近谷涼/原田裕成/沢田桂太郎)。プロロードレーサーになって3年め、確かに原田の走りは変貌した。しかしトラックナショナルチームに復帰することはできなかった。

心機一転、第二の故郷鹿児島でのプロ活動

2019年、原田は2年後の鹿児島国体をターゲットに、母校鹿屋体育大学のOBを主軸に構成されたシエルブルー鹿屋に入団。これまでの企業型の実業団チームから、地域の支援を受けて活動するプロチームに身を転じたことで、原田の心境に変化が起きた。「これまで世界へ、日本代表へと己を磨くことに没頭してきた自分が、支援者によりプロ活動ができるありがたみを知りました」

地域貢献活動、メディア発信でファンを広めていく活動は、むしろプロ選手である自分の価値を高めていくのだということを実感した。そして、ファンのためにレースに勝つことがどれだけ重要かということも……。

2020年は鹿屋に先駆けて地域密着型のプロチームを運営していたヴィクトワール広島に出向しノウハウを学んだ。2021年は原田に加え、石橋学、冨尾大地、白川幸希らJプロツアーを戦えるロード選手をそろえ、シエルブルー鹿屋が本格的にスタート。冒頭に記した東日本ロードクラシックの戦い、そこでの原田のエスケープはチームの勝利を賭けたドラマを生み出した。

苦しみに耐えてリードし続ける姿に、さまざまな苦境を乗り越えて来た男の生き様を垣間見た。

原田の強力なスピードを武器にリードを続けたエスケープグループ

 

REPORTER

管洋介

海外レースで戦績を積み、現在はJエリートツアーチーム、アヴェントゥーラサイクリングを主宰する、プロライダー&フォトグラファー。本誌インプレライダーとしても活躍
AVENTURA Cycling

 

El PROTAGONISTAの記事はコチラから。

「El PROTAGONISTA」一覧

出典

SHARE

PROFILE

管洋介

Bicycle Club / 輪界屈指のナイスガイ

管洋介

アジア、アフリカ、スペインなど多くのレースを走ってきたベテランレーサー。アヴェントゥーラサイクリングの選手兼監督を務める傍ら、インプレやカメラマン、スクールコーチなどもこなす。

管洋介の記事一覧

アジア、アフリカ、スペインなど多くのレースを走ってきたベテランレーサー。アヴェントゥーラサイクリングの選手兼監督を務める傍ら、インプレやカメラマン、スクールコーチなどもこなす。

管洋介の記事一覧

No more pages to load