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またもクラッシュ多発で大混乱、危険回避したメルリールが勝利|ツール・ド・フランス

現地628日に行われたツール・ド・フランス第3ステージは、またしてもクラッシュの連続。今大会最初の平坦ステージでスピードレースが予想されていたが、同時に随所にリスクが潜んだ危険な1日になってしまった。そんな中、ステージ優勝は危険を回避し続けたティム・メルリール(アルペシン・フェニックス、ベルギー)。初のツール出場で初勝利を挙げた。

メルリールはジロに続くグランツール勝利、総合勢の多くが受難

開幕から2日間は丘陵地帯を走ったプロトン。ミュール=ド=ブルターニュを上った第2ステージでは、今大会注目のマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)がその力を発揮。ステージを獲るとともに、マイヨジョーヌに袖を通すこととなった。

迎える第3ステージは、今大会最初の平坦ステージ。ごく細かな上下はあるものの、スプリンターの脚を削るほどのものではない。セオリー通りいけばスプリント勝負になる。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

スタートアタックで決まった逃げは5人。山岳賞のマイヨアポワを着るイーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)が3日連続の逃げグループ合流となり、山岳ポイントの加算を狙う。

逃げが決まりプロトンが落ち着くかに見られた40km手前、メイン集団前方で激しいクラッシュが発生。イネオス・グレナディアーズやチーム ユンボ・ヴィスマといった力のあるチームの選手たちが巻き込まれる。とりわけ傷んだのがロベルト・ヘーシンク(チーム ユンボ・ヴィスマ、オランダ)とゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)。ヘーシンクは脳震盪と右鎖骨骨折の疑いでリタイアを余儀なくされ、トーマスは右肩を脱臼しながらバイクに再乗車。数人のアシストの力を使いながら、何とか集団復帰を果たす。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

一方、逃げグループではスヘリンフが狙いどおり、91.1km地点に設けられた4級山岳を1位通過。ミッションを果たしたスヘリンフはペースを落として集団へ戻る判断。先頭をゆくのは4人となる。その形勢で迎えた118.3km地点の中間スプリントポイントは、シリル・バルト(B&Bホテルズ KTM、フランス)が1位通過。それから125秒差でメイン集団が到達し、カレブ・ユアン(ロット・スーダル、オーストラリア)が先頭となって全体の5位通過。11ポイントを獲得している。

それからは逃げとメイン集団は2分以内のタイム差で推移。残り距離を減らしながら、メイン集団が徐々にその差を縮小させていく。残り20kmとなる頃にはその差は55秒となり、各チームが隊列を組んでポジション確保に勤しんだ。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

最終盤に向けて各チームが態勢を整えようというタイミングで、プロトンの情勢は一変する。残り12kmでヴァランタン・マデュアス(グルパマ・エフデジ、フランス)らが絡むクラッシュが発生。さらに2kmほど先で個人総合優勝候補のプリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)が、集団から突き飛ばされるようにして地面へと叩きつけられてしまった。これにはチーム ユンボ・ヴィスマのアシスト陣が足を止め、エースの再スタートを待つ。急いで集団復帰を目指すが、プロトン全体のペースが上がっていることもあり、なかなか前へ戻ることができない。

メイン集団は残り距離が少ないこともあり、さすがに落車した選手たちを待たずに先を急ぐ。粘っていた逃げの選手たちを残り5kmでキャッチし、さらに勢いを増そうかというところで、またしても大クラッシュが起きてしまった。

それは残り4km、下り基調の左コーナーでアウト側を走っていた選手たちがコースアウトするような形で落車。これに数人が巻き込まれたばかりか、周囲や後方を走っていた選手たちも足止め。これで完全にメイン集団は崩壊し、前線に残ったのは20人程度になる。

この状況下で人数を残していたのがアルペシン・フェニックス。残った面子で最終局面に突入するべく、マイヨジョーヌのファンデルプール自ら先頭に立って牽引。これで完全に流れをつかむと、他の選手たちがリードアウトを引き継ぎ、残り1kmに。前を固めて、スプリントの局面に達した。

緩やかな右コーナーを抜けて最後の直線へ。ここでアルペシン勢の番手へ上がろうとしていたユアンがバイクコントロールを失い落車。すぐ横を走っていたペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)も巻き込まれてしまう。これによって先頭に残ったのはアルペシンの発射台を務めるヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)とメルリールだけに。両者は予定通りの動きをこなして、メルリールがステージ優勝を確保。フィリプセンも2位に続き、この2人を最後に追い込んだナセル・ブアニ(チーム アルケア・サムシック、フランス)が3位となった。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

ツール初出場で初勝利のメルリールだが、状況が状況ゆえに派手に喜ぶことは控えた。シクロクロス出身で、近年はスプリンターとしての躍進が目覚ましい28歳。今年はジロ・デ・イタリア第2ステージで鮮烈な勝利を挙げたが、それに続くグランツールでの白星を挙げた。

終盤にかけて連続したクラッシュによって、メイン集団は完全に散り散りに。結局、メルリールと同タイムでフィニッシュできたのは17人だけ。スプリントに絡んだ選手のほか、マイヨジョーヌを着るファンデルプール、個人総合2位につけるジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)がここに残ったほか、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)が総合系ライダーでは実質ただひとりとなる先頭グループフィニッシュとなっている。

後続は第2集団が14秒差で終え、ここにエンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)、ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)やウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)が。第3集団が26秒差でのフィニッシュとなり、ここにタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)やバウケ・モレマ(トレック・セガフレード、オランダ)、ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)、エスデバン・チャベス(チーム バイクエクスチェンジ、コロンビア)、トーマスが含まれた。そして、ログリッチは121秒遅れでレースを完了。落車のダメージは大きいようで、左半身の複数箇所に擦過傷を負うとともに尾骨を強打していたことが後に判明している。

個人総合順位でもシャッフルが起きており、ファンデルプールの1位、アラフィリップの2位は変わらないものの、31秒差の3位にカラパスが浮上。ポガチャルは順位を3つ落とし6位。ログリッチは20位まで後退している。

なお、ヘーシンクのほか、残り4kmでのクラッシュに巻き込まれたジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)が脳震盪と右鎖骨骨折の疑いでリタイア。ユアンも救急搬送され、右鎖骨の骨折と大腿部の打撲と診断。次のステージの出走は断念し、30日にモナコで鎖骨の手術をする運びであることをチームが発表している。

29日に行われる第4ステージも平坦。カテゴリー山岳がなく、スプリンターが主役となると予想されているが、風が強い地域を走行するとありレース展開に影響を及ぼす可能性も。そう簡単には終わらないレースとなるかもしれない。

ステージ優勝 ティム・メルリール コメント

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

「間違いなくキャリア最大の勝利だ。夢がかなった。ジロ・デ・イタリアで勝った時点で十分満足はしていたが、今度は世界最大のレースでステージ優勝。マチュー(ファンデルプール)のリードアウトをみんな見てくれただろうか? あれこそが彼の強さだ。ヤスパー(フィリプセン)は残り700mから強さを発揮してくれたおかげで、私は最後の150mに集中するだけでよかった。後ろから誰も来ていないことに驚いたが、何度もクラッシュがあったと聞いて今はショックを受けている。

それでも、ツールはここまでアルペシン・フェニックスにとって大成功。チームみんな大満足している。チームとしてステージ2勝を挙げ、マチューがマイヨジョーヌを着ている。あとは、パリまで走り続けてシャンゼリゼで勝つことを目標にしたい」

マイヨジョーヌ マチュー・ファンデルプール コメント

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

「今日も調子が良かったので、チームメートをサポートするとともにマイヨジョーヌのキープに注力した。最後の数キロはクラッシュもあってとても慌ただしかったが、自分の仕事に集中した。やるべきことが果たされて満足しているし、いつも私のために走ってくれるチームメートにお返しができてうれしい。

最後の1kmまで集団を牽引して、その後は総合タイムを失わないようにアラフィリップのチェックを心掛けた。マイヨジョーヌは特別で、これを守ったことは何よりも素晴らしい。ツールはすでに大成功だと思っていて、この先に待つ出来事はすべてボーナスだと考えている」

ツール・ド・フランス2021 第3ステージ 結果

ステージ結果

1 ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス、ベルギー)4:01’28”
2 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)ST
3 ナセル・ブアニ(チーム アルケア・サムシック、フランス)ST
4 ダヴィデ・バッレリーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イタリア)ST
5 ソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)ST
6 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)ST
7 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)ST
8 ケース・ボル(チームDSM、オランダ)ST
9 アントニー・テュルジス(チーム トタルエナジーズ、フランス)ST
10 マキシミリアン・ヴァルシャイド(チーム クベカ・ネクストハッシュ、ドイツ)ST

マイヨジョーヌ(個人総合成績)

1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ) 12:58’53”
2 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’08”
3 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+0’31”
4 ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)ST
5 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+0’38”
6 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’39”
7 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+0’40”
8 ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)ST
9 ピエール・ラトゥール(チーム トタルエナジーズ、フランス)+0’45”
10 セルヒオ・イギータ(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)+0’52”

マイヨヴェール(ポイント賞)

ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)

マイヨアポワ(山岳賞)

イーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)

マイヨブラン(ヤングライダー賞)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合成績

バーレーン・ヴィクトリアス

 

ツール・ド・フランス スタートリスト&コースプレビュー

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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