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カヴェンディッシュ完璧スプリント、メルクスの最多勝記録まであと1に|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは現地76日に行われた第10ステージから大会第2週に。190.7kmの平坦ステージは予想どおりスプリント勝負となり、好調のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)がアシスト陣の好援護も受けて今大会3勝目。ツール通算では33勝とし、エディ・メルクスの持つ最多勝記録まであと1に迫っている。個人総合上位陣の順位変動はなく、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がマイヨジョーヌを守っている。

ラスト3.5kmはドゥクーニンク・クイックステップが先頭を譲らず

大会第1週はフランス北西部のブルターニュ地方を出発し、東に針路をとってアルプス山脈まで移動した。週の後半の山岳では強い雨もあり、選手たちは凍えながらのレースになったが、悪条件を乗り越えて第2週を迎えることとなった。

その初日、第10ステージは1992年の冬季五輪が開催されたアルベールビルをスタート。山や丘陵地帯を縫うようなコースセッティングで、全体的には平坦基調。前半に4級山岳が設けられるほか、後半には無印の上りも控えるが、それ以上にフランス南部特有の強風に注意が必要との見方が強かった。これまでにもプロトンをいくつにも分断した風が、この日のレースではどう作用するかがポイントだ。

スタートを前に、ヨナス・コッホ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ドイツ)が出走を断念。164人がレースに挑んだ。早い段階でユーゴ・ウル(アスタナ・プレミアテック、カナダ)とトッシュ・ファンデルサンド(ロット・スーダル、ベルギー)の逃げが決まり、落ち着いた流れで進行する。途中、シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)がアタックし、これにソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)らがジョインする状況が発生するが、すぐに集団が対応し前を行く2人以外の逃げは許さない。チームDSMがペーシングを担う形で、最大タイム差530秒程度で進んだ。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

この間、58.5km地点に置かれた4級山岳をウルが、82.3km地点の中間スプリントポイントはファンデルサンドがそれぞれ1位通過。中間スプリントはメイン集団も活発になり、150秒差でやってくるとコルブレッリが先頭を獲って全体の3位通過。15ポイントを獲得する。一方でマイヨヴェールのカヴェンディッシュは、ここでのポイント争いには加わらずやり過ごすこととなる。

フィニッシュまでの残り距離が50kmを切ると、メイン集団は本格的にスピードアップ。あっという間にその差は30秒を割り、逃げていた2人のうちファンデルサンドが集団へ戻ることを選択。しばらく粘っていたウルもほどなくしてキャッチされた。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

無印の上りを進む間、牽引したのはマイケル・マシューズ(オーストラリア)を擁するチーム バイクエクスチェンジ。他のスプリンターを消耗させるべく動くが、集団を崩すほどにはならない。その後の下り区間に入ると、代わってドゥクーニンク・クイックステップが主導権を確保。ジュリアン・アラフィリップ(フランス)が猛然とペースを上げて、風を使いながら集団を崩しにかかる。

ちょうどそのタイミングで、コルブレッリがメカトラブル。足止めを余儀なくされ前線から遅れをとるが、集団全体が止まったこともあり何とか復帰。

さらに、残り16kmからはボーラ・ハンスグローエのペースアップをきっかけに、チーム ユンボ・ヴィスマ、ドゥクーニンク・クイックステップも乗っての分断狙い。ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)や、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)といった個人総合上位の選手たちも同調し、一気に活性化。残り10kmを切った頃には、集団はいくつにも割れた。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

そこからは、100人ほどに絞られた集団でスプリント態勢に。数チームが代わる代わる先頭に立ったが、残り3.5kmで計ったようにドゥクーニンク・クイックステップのトレインが前に出ると、最後までその位置を譲ることはなかった。

人数をかけて牽引を続けたドゥクーニンク勢。ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)が長く引き続けると、残り250mからは発射台のミケル・モルコフ(デンマーク)が加速。あとは残り150mからカヴェンディッシュが飛び出して、レースを締める。パーフェクトともいえるスプリントスタイルで、カヴェンディッシュは今大会の3勝目を決めた。

この勝利でツール通算33勝目。メルクスの持つ最多勝記録まであと1つに迫っている。また、マイヨヴェール争いでも改めて独走態勢へ。追っているマシューズはステージ5位、コルブレッリに至ってはスプリントに絡めなかったこともあり、得点を伸ばしきれず。カヴェンディッシュ優勢が続いている。

©Tim De Waele / Getty Images

なお、ステージ2位にはカヴェンディッシュの番手からスプリントをしたワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)、3位には一気に追い込んだヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)が続き、77位までが同タイムフィニッシュ。個人総合上位陣もすべてこの中に含まれ、総合での順位変動はなし。ポガチャルが労せずマイヨジョーヌをキープしている。

7日に実施される第11ステージは、「プロヴァンスの巨人」モン・ヴァントゥへ。序盤に2つの4級山岳を越え、中間スプリントも通過し終えると本格的な上りへ。1級山岳コル・ド・ラ・リギエール(登坂距離9.3km、平均勾配6.7%)を越えた後に、2回のモン・ヴァントゥ登坂へ。1回目は登坂距離22km、平均勾配5.1%の1級山岳。下りと平坦を経ての2回目は、ツールおなじみのルートを採用。登坂距離は15.7km、平均勾配8.8%で超級山岳にカテゴライズされる。前半部分の傾斜が厳しく、後半は一面灰色の「魔の景色」。頂上通過後は22kmのダウンヒルをこなして、フィニッシュへ。レース距離は198.9kmに設定される。

ステージ優勝、マイヨヴェール マーク・カヴェンディッシュ コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「今日、私は何もしなかったようなもの。チームのみんながやり遂げてくれた。まさに教科書どおりのリードアウトだった。2015年にはここで負けていたので、今日こそ勝てるように何度もルートを研究し、エシェロンを組んで有利にレースを進めようと試みた。集団を分断するところまではいかなかったが、最高のトレインがあるので心配はしていなかった。このチームには、トラック競技のオリンピック選手、ロード世界王者、オムループ・ヘット・ニュースブラッドの優勝者、ロンド・ファン・フラーンデレンの優勝者がいるんだ。彼らが私のために仕事をしてくれるのは本当に光栄なこと。上りではチーム バイクエクスチェンジがペースを上げたが、私自身はまったく問題なかった。チームメートのサポートも最低限でよかったし、その分を最終局面に役立ててほしかった。実際にその通りになった。

基本的にステージ優勝が目標であることは変わらない。結果的にマイヨヴェールが獲れたら良いが、いまのところ優先順位が上にくることはない」

マイヨジョーヌ、マイヨブラン タデイ・ポガチャル コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「決して簡単な1日ではなかった。ステージを通して風が強かったし、最後の20kmは逆風が吹いていた。集団のペースが上がった時は落ち着いて対応できたし、リラックスしていた。まずはしっかりと休息をとりたい。

モン・ヴァントゥは過去に1度だけ行ったことがあるが、明日はどれだけの観客が集まるのか想像がつかない。その中でレースをするのが本当に楽しみだ。きっと長くて暑いレースになるだろうが、その条件が私にどんな影響を与えるのか試してみたい。そのためにトレーニングをしてきたつもりだし、準備は整っていると感じている」

ツール・ド・フランス2021 第10ステージ 結果

ステージ結果

1 マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)4:14’07”
2 ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)ST
3 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)ST
4 ナセル・ブアニ(チーム アルケア・サムシック、フランス)ST
5 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ、オーストラリア)ST
6 ミケル・モルコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ、デンマーク)ST
7 アンドレ・グライペル(イスラエル・スタートアップネイション、ドイツ)ST
8 ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)ST
9 アントニー・テュルジス(チーム トタルエナジーズ、フランス)ST
10 ケース・ボル(チームDSM、オランダ)ST

マイヨジョーヌ(個人総合成績)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 38:25’17”
2 ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)+2’01”
3 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)+5’18”
4 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+5’32”
5 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+5’33”
6 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+5’47”
7 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+5’58”
8 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック、カザフスタン)+6’12”
9 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+7’02”
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+7’22”

マイヨヴェール(ポイント賞)

マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)

マイヨアポワ(山岳賞)

ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)

マイヨブラン(ヤングライダー賞)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合成績

バーレーン・ヴィクトリアス

 

ツール・ド・フランス スタートリスト&コースプレビュー

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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