BRAND

  • Lightning
  • 2nd(セカンド)
  • CLUTCH Magazine
  • EVEN
  • BiCYCLE CLUB
  • RUNNING style
  • NALU
  • BLADES(ブレード)
  • RIDERS CLUB
  • CLUB HARLEY
  • DUCATI Magazine
  • flick!
  • じゆけんTV
  • 湘南スタイルmagazine
  • ハワイスタイル
  • buono
  • eBikeLife
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • Kyoto in Tokyo

ワウトがモン・ヴァントゥを2回上る難コースで勝利、ポガチャルは首位守る|ツール・ド・フランス

中盤戦を進行中のツール・ド・フランス。現地77日は、第11ステージとして198.9kmのレースが行われた。難攻不落の山岳、モン・ヴァントゥを2回上るタフなコースで、ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が激走。ライバルを振り切って独走に持ち込み、逃げ切り勝利を飾った。個人総合争いでは、マイヨジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がモン・ヴァントゥで苦しんだが、最終盤をまとめてジャージをキープしている。

ファンアールトが大歓声のフィニッシュへ一番に飛び込む

前日の平坦コースから一転、第2週の2日目は今大会の中でも注目ステージの1つ。「プロヴァンスの巨人」との異名を持つ山岳、モン・ヴァントゥを2回のぼる本格山岳ステージ。序盤に2つの4級山岳を経て、中盤に入ると1級山岳コル・ド・ラ・リギエール(登坂距離9.3km、平均勾配6.7%)へ。これを越えると、いよいよモン・ヴァントゥ。登坂1回目は東側からの上りで、距離は22km、平均勾配5.1%で1級山岳にカテゴライズ。20kmの下りと平坦区間を経て迎える2回目は、これまで何度もツールで上ってきた西側からのルートで、登坂距離は15.7km、平均勾配は8.8%。前半部分の勾配が厳しく、後半は一面灰色の「魔の景色」。頂上を通過すると、フィニッシュ地マロセーヌに向かって22kmのダウンヒルが控える。

南仏に舞台を移して本格的な暑さを感じながらのレーススタート。早くからジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)が動くなど、逃げを狙って果敢に攻める選手が続出。なかなか全体がまとまらず出入りが続いたが、25km地点でアラフィリップとナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)が集団から抜け出すことに成功。その流れで1つ目の4級山岳を上り、アラフィリップが1位通過。キンタナが追随できず、しばらくはアラフィリップの独走状態となる。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

40.2km地点に置かれた中間スプリントポイントも1位で通過したアラフィリップだが、後ろを待ちながらの走りで、追ってきた5人とともに再び逃げの態勢を固める。この間、2つ目の4級山岳に到達し、再び1位通過に成功している。

メイン集団では引き続き追走狙いのアタックが繰り返されており、やがて複数のパックの飛び出しを容認。追走が13人となったところでようやく集団は沈静化。リーダーチームのUAEチームエミレーツがヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー)を前線に送り込んだこともあり、集団は個人総合2位のリチャル・カラパス(エクアドル)を擁するイネオス・グレナディアーズがコントロールを担った。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

1級山岳コル・ド・ラ・リギエールは先頭を走っていた中からダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネイション、アイルランド)が1位通過を果たすが、ほどなくして追走グループが合流。これで最大16人の先頭グループとして再編成され、結果的にこの中に入った選手たちがステージ優勝を争うこととなる。

プロトン全体の形勢が固まったところで、1回目のモン・ヴァントゥ登坂を迎える。大人数の先頭グループはやはり脚の差が顕著に出始めたことから、中腹でファンアールトやアラフィリップがペースを上げて絞り込み。7人とした後にバウケ・モレマ(トレック・セガフレード、オランダ)が遅れて合流。8人が先頭を走る。

かたやメイン集団では、個人総合10位でスタートしたダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)が遅れる。イネオス・グレナディアーズの作るペースに合わせられず、あっという間に後退。総合争いから完全に脱落となる。

©︎ A.S.O./Aurélien Vialatte

快調に上った先頭グループは、モン・ヴァントゥの頂上をアラフィリップを先頭に通過。メイン集団とは5分前後のタイム差で推移しながら、ダウンヒル区間もクリア。2回目の登坂に向かう平坦路では3人を前線に送り込んだトレック・セガフレードからジュリアン・ベルナール(フランス)が牽引。上りが始まってベルナールが引き終えると同時に、ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード、フランス)がアタックした。

一緒に逃げてきた選手たちは一瞬静観したが、1kmほど進んだところでファンアールトがアタック。アラフィリップとモレマが反応するが続けず、ファンアールトは労せずしてエリッソンドに追いついた。

そして残り33km、頂上まで11kmのタイミングでファンアールトが再度のアタック。これにはエリッソンドがついていけず、ファンアールトが独走態勢を固めた。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

メイン集団は変わらずイネオス勢が牽引。着々と人数を減らしていくと、個人総合上位陣では2位につけていたベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)が脱落。それでも急激なペースダウンには至らず、何とか粘りの走り。少しして集団から下がってきたリッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)が同国の後輩を引く場面も見られ、リズムを保ちながらの走り。

頂上まであと2kmとなったところでイネオスのアシスト陣が役目を終え、個人総合上位陣の争いが本格化。わずかに見合うムードがあった中、仕掛けたのは同4位につけるヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)。これで完全に集団が崩壊すると、対応できたのはマイヨジョーヌのポガチャルだけ。さらにヴィンゲゴーはペースを上げると、なんとポガチャルも遅れ始める。勢いづくヴィンゲゴーに対し、ポガチャルは失速気味となり、一度は遅れたカラパスとリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)が迫ってくる。

総合を争う選手たちの駆け引きを尻目に、ファンアールトは頂上通過後の長いダウンヒルも安定した走り。懸命に追うエリッソンドとモレマとは1分以上の差を得て、あとはトラブルなく最後まで走り切るのみ。残り2kmで勝利を確信すると、テレビカメラに向かってガッツポーズする余裕も。フィニッシュ地に集まった大応援団の声援を受けながら、最後は高らかに両手を挙げて勝利の瞬間を迎えた。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

ファンアールトは、これでツール通算5勝目。これまでの4つの勝利はいずれもスプリント。前日の第10ステージでもスプリントで2位に入っており、今回はこれまでとは違った形で白星をつかんだ。

歓喜のファンアールトから114秒後、エリッソンドとモレマがフィニッシュし、2位と3位を確保。さらに24秒後にポガチャル、ウラン、カラパス、ヴィンゲゴーがやってきた。上りで先行したヴィンゲゴーだったが、最後の下りでポガチャルらが猛追。最終局面を前に1つのパックとなった。その後も個人総合上位陣を中心に、断続的に選手たちがレースを完了させた。

これらを受けて、個人総合順位は幾分の変動。ポガチャルの首位は変わらずも、同グループでフィニッシュしたウランが518秒差の2位に浮上。好走のヴィンゲゴーは、その14秒差で3位へ。1秒続きでカラパスが4位となっている。オコーナーはステージ15位で踏みとどまり、総合タイム558秒差の5位。

他の個人賞も首位は変わっていないが、山岳賞ではトップのキンタナから7点差でファンアールトがつけるなど、マイヨアポワ争いはまだまだ変化がありそうだ。

なお、このステージではトニー・マルティン(チーム ユンボ・ヴィスマ、ドイツ)、マイルズ・スコットソン(グルパマ・エフデジ、オーストラリア)、ダニエル・マクレー(チーム アルケア・サムシック、イギリス)、クレモン・ルッソ(チーム アルケア・サムシック、フランス)、ティシュ・ベノート(チームDSM、ベルギー)、トッシュ・ファンデルサンド(ロット・スーダル、ベルギー)、ヴィクトール・カンペナールツ(チーム クベカ・ネクストハッシュ、ベルギー)の7人が途中リタイア。マルティンは激しいクラッシュに見舞われ、救急搬送されている。また、ルーク・ロウ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)が制限時間内にフィニッシュできず、タイムオーバーとなっている。

タフな山岳を越えたプロトンは、しばしの平坦走行へ。翌8日に行われる第12ステージは、サン=ポール=トロワ=シャトーからニームまでの159.4km。中盤の3級山岳以外は大きな変化はないものの、風が強い区間とあり、集団を割るような動きが見られる可能性も。とはいえ、セオリー的にはスプリントフィニッシュ。エーススプリンターを抱えるチームがどうレースをコントロールするかもポイントとなる。

ステージ優勝 ワウト・ファンアールト コメント

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

「このステージで勝てるとはもともと思っていなかったが、昨日からもしかしたら…と思い始めていた。逃げに入れば勝つチャンスがあるかもしれないと感じていた。モン・ヴァントゥはツールの中でも権威ある山岳。ここで勝ったことは、キャリア最高の勝利といえるかもしれない。

山岳に入るまで、逃げに入るための多大なエネルギーを要した。アラフィリップはかなりの労力を割いたのではないかと思う。

とにかく、勝てると信じていればどんなことだってできるということ。ツールに入るまで、調整が本当に困難だった。第1週では自分も、チームも苦しんだ。今日もトニー(マルティン)がリタイアしてしまった。それでも、私は集中力とモチベーションを保ち続けた。ここで成し遂げたことはとても誇らしい」

マイヨジョーヌ、マイヨブラン タデイ・ポガチャル コメント

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

「モン・ヴァントゥ2回目の上りはとても苦しかった。頂上まで1kmのタイミングでヴィンゲゴーがアタックしたときは、彼を追うことができなかった。その対応で少し無理をしてしまったので、下りではウランとカラパスと力を合わせることにした。ヴィンゲゴーがアタックした時は、慌てずに自分のペースを刻む必要があると言い聞かせた。下りで何とかなると思っていたし、結果的には満足できるものになった。

ヴィンゲゴーは今大会最高のクライマーの1人。彼の実力は知っているし、今日の走りもまったく驚いていない。彼はスーパーなんだ」

ツール・ド・フランス2021 第11ステージ 結果

ステージ結果

1 ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)5:17’43”
2 ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード、フランス)+1’14”
3 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード、オランダ)ST
4 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+1’38”
5 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)ST
6 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)ST
7 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)ST
8 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック、カザフスタン)+1’56”
9 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)ST
10 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+3’02”

マイヨジョーヌ(個人総合成績)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 43:44’38”
2 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)+5’18”
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+5’32”
4 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+5’33”
5 ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)+5’58”
6 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+6’16”
7 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック、カザフスタン)+6’30”
8 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+7’11”
9 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+9’29”
10 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+10’28”

マイヨヴェール(ポイント賞)

マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)

マイヨアポワ(山岳賞)

ナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)

マイヨブラン(ヤングライダー賞)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合成績

バーレーン・ヴィクトリアス

 

ツール・ド・フランス スタートリスト&コースプレビュー

ダイジェスト動画はこちら

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load