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ツール・ド・フランスでスタート前の着替えタイム設定、選手組合と主催者の話し合い

3週に入り、マイヨジョーヌ争いを筆頭に戦いが佳境を迎えているツール・ド・フランス。この週の初日、ピレネー山脈を駆けた第16ステージ(現地713日)は、冷たい雨の中でのレースとなった。スタート時から強く降り、レース展開に影響を及ぼすとの見方もあった中、プロトンはリアルスタート前に少しばかりのブレイクタイムを実行した。その後、レースは予定通りにスタートするのだが、そこで実際に起きていたことは何だったのかを解説しよう。

16ステージのリアルスタート前に5分間の小休止

アンドラ領内のパス・ダ・ラ・カザをスタートして、フランスへと戻ってサン=ゴーダンスへフィニッシュした第16ステージ。プロトンは第15ステージで隣国アンドラへと入国しており、2回目の休息日を同地で過ごしたのち、今大会の第3週の幕開けを迎えていた。

スタート地パス・ダ・ラ・カザはアンドラ国内といっても、数百メートル行けばそこはフランスとの国境。このステージもスタートして150mほどでフランス入りとなり、そこから19kmほど下ってリアルスタートをすることになっていた。

この日は早朝から雨が降り、レーススタートの時間には強さが増していた。それも関係して気温は15度に達するかどうかで、とても夏のレースとは思えないほどに寒さを感じるものだった。当然選手たちは防寒を施し、レインウエアを装着するなどしてレースに備えた。

降り続く雨の中をスタートしたプロトンは、リアルスタートが切られる0km地点を目指して下り坂を進んだ。長いダウンヒルをこなしたプロトンは、いよいよ0km地点へ。と思った矢先、レースディレクターのクリスティアン・プリュドム氏が両手を振って選手たちへ大きくゼスチャー。これを合図に、プロトンは足を止めた。

4ステージでは、安全なレース運営を求める選手たちが主導してプロトンを止める抗議行動があったが、今回はプリュドム氏の合図がきっかけだ。現地中継でも「何が起きるのでしょう」といった実況のフレーズとともに、その様子をとらえていた。

実際は、選手たちが着用している防寒着の着脱や交換のための時間だった。5分ほどのブレイクタイムが設けられ、その間に選手たちは脱いだウエアや新たに着用するアイテムをチームカーから受け取って、リアルスタートに備えたのだった。あらかじめ申し合いができていた動きだったこともあり、混乱が生じることもなく、選手たちも5分という定められた時間の中で対応し、レース本番を迎えたのだった。

レーススタート前のCPAの求めにA.S.O.が応じる

実情はこうだ。

レーススタートを前に、選手たちの組合であるCPAがツールを主催するA.S.O.にニュートラル区間を終えるタイミングでの小休止を提案し、合意に至ったというものだ。

CPAは合意に際し、「気温の低さと、19kmの下りを進むニュートラル区間という、このステージの特殊な性質を受けて、0km地点を前に5分間の着脱・交換のための時間を設けることについてパスカル・シャントゥール(CPA代表)が交渉を行いました」と経緯を説明。さらに、「われわれはライダーとの話し合いを行い、これを聞き入れてくださったA.S.O.に感謝しています」と続けた。

レースにおける安全性は、ロードレースシーンの恒久的な課題だ。今年のツール序盤で相次いだ大クラッシュは、選手たちによる事前のリクエストが受け入れられなかったことも相まって、各所から不満の声が上がった。こうした事態を受けてか、第13ステージ(9日)にはCPAA.S.O.の合意のもと、本来フィニッシュ前3kmに設定されるトラブル時の救済を4.5km地点に移動させる措置を講じている。

CPAはかねがね、安全性に加えて「選手たちの意思尊重」を求めており、ライダーたちの意向やディスカッションの内容をもとに、レース主催者や競技を統括するUCIに対して「安全第一」をベースに柔軟な対応を求め続けている。

CPAの主張や求めが毎回正しいのか、建設的なのか、といった部分はさておき、少なくともこのツールでは大会後半に入ってA.S.O.との話し合いを都度行っているようである。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

ウエアの着用規則おさらい

せっかくの機会なので、選手たちが着用するジャージなどのウエアに関するUCI規則も押さえておきたい。

UCI規則1.3.026

競技時において、競技者は、袖付きのジャージと短いパンツ、あるいはワンピ-ス形式のものを着用する。短いパンツについては、ひざ上までのものが短いパンツと解される。袖なしは禁止する。

UCI規則1.3.030

雨具のデザインは、透明あるいは主要なチーム色の一つを使用してジャージと同じ外観同様でなければならない。チーム名称を表示しなければならない。

※参照:日本自転車競技連盟ウェブサイト

レッグウォーマーやニーウォーマーの使用はレースディレクターやオーガナイザーの判断にゆだねられる。シーズン序盤や春のレースでは着用している選手が多く見受けられるが、このツールでも気温が低い日には着用して臨んでいる選手が多い。実際、第13ステージでもスタートからフィニッシュまで、防寒を施して走り続けた選手の姿があった。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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