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マスターズ選手がロードレースで勝つためのノウハウを解説! 弱虫ペダル・唐見実世子

唐見実世子選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)は長きに渡って日本のトップを走ってきた選手だ。キャリアの中でアテネ五輪に参加、さらにイタリアのプロチームで女子のワールド・ツアーも経験している。

その後、引退。そして9年のブランクを経てカムバックした。現在はロードレースからサイクルクロス、さらにはグラベルレースまでマルチな活躍を見せている。今年になってからなかなかレースで勝てなかった唐見選手だが、ようやくJBCF石川サイクルロードレースで1勝を挙げることができた。

ここでは唐見選手がどうやって勝つことができたのか? 今シーズンから唐見選手のコーチをしているピークス・コーチング・グループ・ジャパンの中田尚志さんがマスターズ選手が勝つためのノウハウをお伝えする。

勝つための対策1
データからトレーニングを再考する

私が彼女のコーチングを開始したのは今年5月からです。コーチングを開始するにあたり彼女の過去のパワーデータを見直しました。

強い選手に共通するのは、経験を元に上手くトレーニングを組み立てていることです。ハードにトレーニングするのはもちろん、上手く休養を組み合わせ強化しています。

ただどんな選手でも全く改善の余地がないということはありえません。経験を積んだ選手でも、どこかに改善点は残っているものです。

過去データから浮かび上がってきた唐見選手の課題は3つ

  1. FTPを超える強度のインターバルを増やす
  2. 一週間のトレーニングにストーリー性を作る
  3. ジャンクマイルを減らす

パワートレーニングを成功させる秘訣は、強化すべきゾーンを的確に刺激すること。

そのためには、一週間のトレーニングに緩急をつけて、追い込む日に体調を持ってくる必要があります。またいたずらに距離を重ねること(ジャンクマイル)で疲労しないようにしなくてはなりません。

マスターズの年齢になると、トレーニング効果を出せる強度とボリュームをより注意深くプランしていく必要があります。

「一生レースをしていたい」と言うほど自転車レースを愛している彼女ですが、沢山乗ることと強くなることは、似て非なるものです。”向上させたい能力を刺激する”というフォーカスが必要だと感じました。

勝つための対策2
マスターズだからできることを生かす

全てのスポーツで選手寿命が延びている現在、トレーニング方法も盛んに研究されています。

脚の強化に成功すれば、20代の選手より多くの経験を積んでいる分、レースを有利に進めることができます。これはマスターズの選手しか持ち得ない能力です。

勢いに乗るライバル

今年のJフェミニンツアーで大活躍を見せているのは、植竹海貴選手(Y’s Road)。今年8戦中7勝しているツアーの新女王です。ここまで彼女に土をつけたのは東京五輪代表の梶原悠未選手のみ。リザルトだけを見ても彼女の強さがわかります。

今回の石川サイクルロードレースは植竹選手に加えて東京五輪代表の金子広美選手が樫木祥子選手とナショナルチーム枠で参加しており、レースは植竹選手とナショナルチームを軸に展開されることが予想されました。

コースを研究する

石川町のコースは平均3.2%の緩斜面ながら4kmも続く登りがあります。登りが厳しいコースでありながら、同時にドラフティングが効くコースでもあるので、戦術を工夫すれば、勝機はあると考えられました。

不測の事態に対応する

レースが始まり樫木選手が上りでアタック。独走状態を築きます。後続は今日も勝利を狙う植竹選手が積極的に牽引しますが、チームメイトの金子選手が睨みを効かせて思うように差が縮まりません。

唐見選手は、距離を重ねた後に勝負をかけるつもりで周回を重ねますが、前レースの落車の影響を受けレースが1周短縮されます。しかし、ここは落ち着いて対応し集団内の選手に声をかけて樫木選手を追走。ラストラップで捕まえます。

経験から決まるアタックとそうではないアタックがわかる

唐見選手はカウンターで金子選手が勝負に出ることを予測しチェックに入ります。経験の豊富な選手になると、決まるアタックとそうでないアタックはわかるようになります。

一発でも危険なアタックもありますし、どれだけ連発しても決まらないと確信出来るアタックもあります。彼女はゴールスプリントになると予測しエネルギーをセーブします。

最後の上りのデータ アタックに反応しつつ脚を貯める

ファイナル

何度もアタックに反応する中で、脚がどの程度残っているかを表す指標dFRCは一度、0kJまで落ちます。

しかしゴール前では7kJまで回復。これはFTPを超えてまだ7kJ出す能力がある(例: 500Wで14秒)ことを表します。

優勝するためには残された弾は一発。勝負どころを見極めてライバルに勝たなければいけません。右に曲がりながらフィニッシュするゴールスプリントで彼女はライバルに差されないようにイン側を取りスプリントを開始します。

スプリントでは彼女にとってマックスを更新する18秒538Wを出し、今季初優勝を遂げました。

今後は全日本選手権へ向けて調整していく

まだまだ大集団で走ることの少ない国内女子ロードレース。今回はナショナルチームの参加もあり盛り上がりを見せました。今年度中の開催を目指す全日本選手権に向けて、唐見選手の強化は続きます。

 

中田尚志 ピークス・コーチンググループ・ジャパン

ピークス・コーチング・グループ・ジャパン代表。パワートレーニングを主とした自転車競技専門のコーチ。2014年に渡米しハンター・アレンの元でパワートレーニングを学ぶ。
https://peakscoachinggroup.jp/

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中田尚志

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ピークス・コーチング・グループ・ジャパン代表。パワートレーニングを主とした自転車競技専門のコーチ。2014年に渡米しハンター・アレンの元でパワートレーニングを学ぶ。

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