日本は夢の国、東京五輪ケイリンを走るアメリカ人スプリンター、マディ・ゴドビー
中田尚志
- 2021年08月04日
日本の自転車競技場は67カ所に存在する。それに対してアメリカは28カ所。これらの中には走路が荒れて事実上閉鎖されているものや、公式競技が開催できないものも含まれる。
トラック競技人口が少なく、特に短距離選手が育ちにくい環境のアメリカにあってマディ・ゴドビーは異色の存在だ。2年前に短期登録制度(いわゆる国際競輪)の選手として来日し、今回は五輪代表として来日。日本を「夢の国」と呼ぶ彼女にピークス・コーチング・グループの中田尚志さんがインタビューを行った。
アメリカが生んだスプリンターが五輪延期と日本の競輪で得たもの
一年間の延期により良かったこと悪かったこと
良かったこと。それは強くなるためにより多くの時間が出来たことですね。
悪かったこと。それはコロナにより今までのような(有観客での)五輪の経験が出来なくなってしまったこと。ただ悪いと考えるのではなく、無事に開催され参加できることを喜んでいます。
コロナ期間中アメリカでトラックレースに参加しましたか?
昨年、全てのレースはキャンセルされトラックレースに一度も出ていません。今年になって香港でネイションズカップが開催されました。それが昨年ベルリンでの世界選手権後、初めてのレースになりました。
アメリカのベロドロームでトレーニングは出来ましたか?
レースは開催されませんでしたが、ペンシルベニア州のT-タウン・ベロドロームなど、トラックレースが盛んな地域に行ってトレーニングが出来ました。T-タウンは屋外トラックなのでトレーニングが可能だったのです。そこでプランしたトレーニングを実行出来ました。
トレーニング前に自身で走路を整えるマディ。全てのアスリートのお手本になる姿だ
ベルリンでの世界選から一年半。強化できたところは?
しっかりフィジカルトレーニングを積むことが出来ました。特にウエイトトレーニングに時間を割けましたね。パンデミックでレースが無くなったことで、ジムに行く時間を増やすことが出来ました。それにより肉体的にはより強くなれました。
2年前に国際競輪に参加されました。再度出てみたいですか?
もし招待して頂けるなら是非!日本が持つ競輪の文化を体験できましたし、私自身エンジョイもしました。また競輪について学ぶことも出来ました。可能ならまた来日して走りたいですね。
日本の競輪の文化で印象的だったことは?
競輪学校での教育から、卒業してプロとして生計を立てて行くまでの制度が整っていて素晴らしいと思いました。
女子の競輪についての印象は?
年々発展を遂げている印象です。また選手も強く戦術的な側面をここ日本で鍛えることが出来ました。
パリまで3年です。再度五輪出場を目指しますか?
はい。まだ走っていたいですし、パリに向けて意欲もあります。昨年一年間レースが無かったことで、より走る意欲をかき立てられています。
国際競輪とパリ五輪で勇姿を見れることを期待しています
ありがとう!
インタビュー後記
厳しい勝負の世界に居るとは思えないほど穏やかで控えめな印象の女性でした。スポーツがとても盛んなコロラド州ボウルダーの出身ですが、選んだ種目はボウルダーでは殆ど取り組む人が居ないトラック短距離。彼女から見ると日本はトラックスプリンターが賞金で生きていける「夢の国」。ワールドカップ勝者の彼女から発せられる言葉を聞いて、日本の自転車文化の素晴らしさにハッとさせられました。
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中田尚志 ピークス・コーチンググループ・ジャパン
ピークス・コーチング・グループ・ジャパン代表。パワートレーニングを主とした自転車競技専門のコーチ。2014年に渡米しハンター・アレンの元でパワートレーニングを学ぶ。
https://peakscoachinggroup.jp/
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