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レース中に出現したグラベル家具は映えスポットだった|竹下佳映のグラベルワールド

アメリカのグラベルレースは、「単純に速さを競うだけではない」不思議な習慣があったりする。そのひとつが「グラベル家具」だ。レースコースの真ん中にソファがポツンと置かれ、そこでトップ選手たちも止まって記念撮影をするのだ。ここではアメリカでグラベルレースを走り続けている第一人者の竹下佳映さんに「グラベル家具」について聞いてみた。

ダーティ・カンザ200に突如現れた「グラベル家具」

今までのバイシクルクラブのグラベル特集記事やレースレポートを読んで頂いた方やSNSでフォローして頂いてる方は、私がスキンスーツ姿で突如現れる家具で休憩している写真をすでに何度か目にされてるかもしれません。そして、よく頂く「なんでソファがそんな所にあるの?」の問いに答えます。今回はグラベル家具のお話です。

 

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2018年のダーティ・カンザ200(現アンバウンド)に参加していたときのこと。朝の6時からほぼノンストップで走り続け、すでに10時間程経過していた。

私は全行程332kmのガタガタでゴロゴロ道のグラベルレースの真っ最中。第1区間のカオスを乗り越え、第2区間は少人数グループを形成して協力し合いながら走り、第3区間は単独走行で止まない向かい風と闘い続け、第4区間に入って1時間くらい経った頃に、うんと遠くに見え始めた点(前方にいるライダー)に標準をロックオンした。見えてしまえば捕まえられるとの自信はあったが、距離を縮めるのに相当な時間を要した。やっと点から人の形になってきたと言うところで、視界の端に映ったのは道端に設置された看板。読めずに通り越してしまったが同じものが数百メートル程先にまたあった。

凝視し書かれた内容を確認したその瞬間、前のライダーに追いつくよりも、優先順位の高い重要事項だと気が付いた。あと数分か、と思いながら前進した。真っ直ぐにグラベルロードの先を見つめながら。

それは頭に描いていたとおり、ひと気のない静かなグラベルロードの真ん中に、ポツンと現れた。

高級感溢れる、真っ赤なベルベットのラウンジ・ソファと、お揃いのスタンドライトが。

これが私が初めてであった「グラベル家具」。

「Chase the Chaise(チェース・ザ・チェイス)」ソファを追え!

2018年のダーティ・カンザ200(現アンバウンド)にて。この瞬間が楽しくて、疲れも吹き飛びそう。(PHOTO: Salsa Cycles)

上の写真のラウンジ・ソファが、米国グラベルレース現場に現れるようになったのは2018年。グラベル・ツーリングやバイクパッキング等のアドベンチャーバイクで知られているサルサ・サイクルズが、グラベルを楽しむ参加者のポートレート写真を撮ろう、何か予期していなくて印象に残るものを……と考えて辿り着いたのが、このキャンペーン「Chase the Chaise(チェース・ザ・チェイス)」となりました。

これはChaise longue (フランス語)、シェーズ・ロングという長椅子ソファで、英語では chaise がチェイスと読まれるので、追うと言う意味のChase(チェース)と掛けて、「Chase the Chaise(チェース・ザ・チェイス)」です。つまり、ソファを追え!

「グラベル家具」はサルサのプロモーションからはじまった

リーダー二人が止まってポーズ。これがグラベル・ソファのブームの始まりになった。(PHOTO: Salsa Cycles)

このチェース・ザ・チェイスが初登場したのは、私も参戦した2018年のランド・ラン100(現在ザ・ミッドサウス)と呼ばれるオクラホマ州での大人気のレースです。その日レースリーダとして先を行く、当時の私のパナレーサーグラベルチームメイト及びプロロード選手のマット・スティーブンズと、カナダのシクロクロス全国チャンピオンのマイケル・ヴァンデンハムが、トップ争いの真っ最中にソファに座って一緒にポーズを取った写真が、一枚目のポートレートとなりました。

真剣勝負中でも遊び心満載、リラックスした雰囲気を醸し出すのこの一枚が「グラベル」をとてもよく体現しています。他にも何百枚もの笑顔があふれ、色んなポーズの写真がこのチェースで撮影され、翌日にはSNSでもグラベルライダーに限らず自転車乗りの間で大ヒットとなりました。

逃して後悔、翌年「ランド・ラン100」のソファで記念撮影

ちなみに私は、独り奮闘している最中にいきなり道のど真ん中に現れたソファに困惑し、まさか大会の催しの一部とは思わずスルーしてしまいました……! すぐ手前に写真を撮ってもらっている他のライダーがいたら、状況がわかって止まっていただろうに……後から残念で仕方がなかったです。2カ月半後に行われたダーティ・カンザ200(現アンバウンド・グラベル)でやっと初のソファ撮影ができました。

翌年のランド・ラン100(現在ザ・ミッドサウス)には、新しくクリーム色のベルベットに変わったチェース・ザ・チェイスが戻ってきました。汚れが物凄く目立ちそうな色です。レース後半に私がアタックを仕掛け、他の女性選手たちから逃げているところに一人で追いついてきたエイミーと、二人で協力して距離を開き続けました。その日初めてレースで会い、名前も知らない彼女に、「ねぇ、もう少しでソファがあるはずなんだけど、私と一緒に写真撮ろうよ。数秒だから」と持ちかけたら、直ぐにオッケーの返事が返ってきました。やった! こういうグラベルのノリがうれしいです。女性2人の写真になるはずだったのに、あ、あれ、集団撮影になってしまいました!(笑)

アタックかけて逃げている最中でも座る! 女性2人きりの写真のはずが、シャッター切る瞬間、集団撮影に(笑)。(PHOTO: Salsa Cycles)

ウエストバージニア州に独り遠征したヒリービリー・ルーべでは、主催者が、ゴミとして田舎の草むらに放置されていた完全崩壊寸前のソファを回収して、レース会場に設置しました。この開催地近郊エリアでは、一般家庭でも豚や鶏を飼っているのが珍しくないので、その地域の雰囲気を出すためにペットの豚まで一緒に写真に入ってくれました。このレースは私のお気に入りの一つで2度目の参加だったのですが、この写真撮影がさらにいい味を出してくれました。

日が暮れるまでには、壊れそうなソファで。放置されていたごみの再利用。 (PHOTO: Mike Briggs)

2019年でチェース・ザ・チェイスは終了

2019年のピュア・グラベルというメディア主催の年間グラベルランキングでトップに輝いた時は、私からのリクエストがなくとも、発表時にはチェース写真が使われました。(PHOTO: Salsa Cycles)

チェース・ザ・チェイスは2018年と2019年の2年間のみ国内のグラベルレースのいくつかで行われました。そして、相当汚れてくたびれてしまったベルベットの長椅子は退役することとなりました。この重い長椅子をトレーラーに入れて国内を移動するサルサのスタッフも大変だったと思います。こんな高級なチェース・ソファを目の前にすることも普段なかなかないのに、グラベルレース中に汗と埃にまみれた状態で寝転がるなんてインパクト最強、楽しさ倍増。もう機会がないのかと思うと残念ですが、それでもたくさんのライダーに楽しい思い出をくれました、ありがとうございます。今でもライド中にソファや椅子を見かけると、「座りたい」「座らないといけない気がする」衝動に駆られます。

以来、グラベル家具にはまってしまった私

たまに人家の前に家具などが置いてあったりします。粗大ごみ回収待ちではありません。家の前に置いておくと、それに気付いて欲しい人がいたら勝手に持って行ったりする訳です。取り敢えず、あるので休憩します。(PHOTO: Kae)

アメリカのグラベル乗りなら誰でもグラベル・ソファのことを知っているかと言うとそう言う訳でもありません。2018~2019にグラベルをしていたライダーは知っていても、ここ最近グラベルを始めた人は、こういった背景を知らないので、なぜそんなにソファにこだわる人がいるのか不思議がったりします。

竹下佳映のグラベル家具コレクション(ソファ編)

最近グラベル家具を見かけないので、自分専用のをゲット。(PHOTO: Kae)
最近グラベル家具を見かけないので、自分専用のをゲット。(PHOTO: Kae)
大草原の真っただ中で見つけた椅子。(PHOTO: Dawn Piech)
友達とグループライド中にソファ登場。(PHOTO: Kobe Wakita)
友だちとグループライド中にソファ登場。(PHOTO: Kobe Wakita)   
テキサス州のどこか。(PHOTO: Kae)

竹下佳映のグラベル家具コレクション(番外編)

2018年にミネソタ州で開催されたフィルシー50ではコースの真ん中にトイレが置かれるなんてこともありました。私は参加できず、これは他の人の写真ですが面白かったので紹介します。

2019年には私も参加しました。開始気温は氷点下、風速は11.6m、途中から雪で視界も悪く、皆凍えながら、という大変な状況で頑張ったのに、お目当てのトイレがありませんでした(涙)。ホント、トイレで撮影するために参加したようなものだったのに残念でした(笑)。

このほかコース脇やライド中にあった「グラベル家具!?」を紹介します。

私は参加できなかったが、2018年のミネソタ州、フィルシー50にて。どんなに悪天候でも遊び心は無くさない。(PHOTO: Devin Tolleson)
どんなに悪天候でも遊び心は無くさない。(PHOTO: Devin Tolleson)
これは2021年。今まで色んなものに座りましたが、グラベルロードでのトイレはさすがに初めて。(PHOTO: Markman Outdoor Photography)
ウィスキー・ショット片手に、使われなくなったスキーリフトで休憩。スキーリゾートで有名なこの地にはとてもふさわしい。(PHOTO: SBT GRVL)
超ビンテージ級のインドアトレーナー。シートがふっかふかでした。(PHOTO: Kae)
超ビンテージ級のインドアトレーナー。シートがふっかふかでした。(PHOTO: Kae)
飛んでいる鮫。(PHOTO: Kae)
飛んでいる鮫。(PHOTO: Kae)
落ちている飛行機。(PHOTO: Kae)

 

竹下佳映

北海道出身。19歳でパイロットを目指し渡米した。現在はシカゴで仕事をしながら、2014年に偶然出会ったグラベルレースの魅力に惹かれ、プロ選手に混ざって上位入賞するなどレースに出続けている第一人者。アブス・プログラベルチ―ム所属 https://www.facebook.com/kae.takeshita/

インスタグラム
https://www.instagram.com/kae_tkst/

 

 

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PROFILE

竹下佳映

竹下佳映

北海道出身。19歳でパイロットを目指し渡米した。現在はシカゴで仕事をしながら、2014年に偶然出会ったグラベルレースの魅力に惹かれ、プロ選手に混ざって上位入賞するなどレースに出続けている第一人者。アブス・プログラベルチ―ム所属

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北海道出身。19歳でパイロットを目指し渡米した。現在はシカゴで仕事をしながら、2014年に偶然出会ったグラベルレースの魅力に惹かれ、プロ選手に混ざって上位入賞するなどレースに出続けている第一人者。アブス・プログラベルチ―ム所属

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