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日本チャンピオン公務員レーサー小坂 光の勝因は「疲労回復と冷静な判断」にあった

12月11日から12日の2日間、茨城県土浦市で第27回全日本自転車競技選手権大会シクロクロスが開催された。
大会2日目となる12日は、年代別およびエリートカテゴリーのレースが開催された。
男子エリートでは、序盤にディフェンディングチャンピオンである沢田 時(チームブリヂストンサイクリング)がチェーントラブルで遅れる中、冷静な走りを見せた小坂 光(宇都宮ブリッツェン)が独走で優勝し、4年ぶりの全日本チャンピオンジャージに袖を通した。

その勝利の理由は、2週間レースを休めたことで疲労から回復し、全日本選手権に向けた修正がうまくいったからだという。普段、宇都宮市役所でフルタイムで働く公務員ライダー小坂 光、宇都宮ブリッツェンではシクロクロスのほかロードレーサーとしても活動している。まさに3足の草鞋を履く活躍だ。

ここではいかにして小坂光がレースを制したのか? レースの展開、そしてレース後のトップ4選手、小坂 光、織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、竹之内 悠(ToyoFrame)、沢田 時(チームブリヂストンサイクリング)のコメントを紹介する。

スタート後は大方の予想どおりの展開に

スタートラインに並ぶ選手たち

選手たちがスタートグリッドにラインナップする頃には、12月とは思えないほど暖かい日差しの中でのレースとなった男子エリート。
最前列にはディフェンディングチャンピオンである沢田 時(チームブリヂストンサイクリング)や、昨年2位の織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、2017年の全日本チャンピオンで小坂 光(宇都宮ブリッツェン)らが並ぶ。

14時30分に81名の選手たちがスタートを切ると、沢田を先頭に舗装路から芝生エリアへと進入していく。
芝生エリアを通過し、陸上競技場のキャンバーエリアへ選手たちが姿を見せると、事前の予想どおり、先頭は沢田、織田、小坂、竹之内 悠(ToyoFrame)の4名に。
その後ろには加藤健悟(臼杵レーシング)、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)、丸山 厚(BOMA/ROND CX TEAM)の3名のパックが続く。

序盤から先頭パックを形成する沢田 時(チームブリヂストンサイクリング)、竹之内 悠(ToyoFrame)、織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、小坂 光(宇都宮ブリッツェン)
沢田ら4名を追う丸山 厚(BOMA-ROND CX TEAM)、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)、加藤健悟(臼杵レーシング)

ディフェンディングチャンピオンである沢田が
まさかの序盤で優勝争いから姿を消す

沢田はシケインでチェーンを落としてしまい、優勝争いから脱落

2周目に入っても4名の先頭パックは変わらず、ハイスピードコースだけにこのままパックでのレースが続くかと思われた矢先、3周目のシケインで沢田がチェーンを落としてしまう。
この大舞台で今後のレースを見据えてバニーホップにチャレンジした沢田だが、残念ながらここでトップ争いから離脱となってしまう。
沢田は最終周回にも再度バニーホップにチャレンジし、しっかりと成功させることで今後のレースにつなげたとレース後に語ってくれた。

沢田のアクシデントを見逃さなかった織田は、自らレースを動かそうとペースを上げる。
このペースアップに竹之内が若干離されてしまい、先頭は織田と小坂の2名に。

先頭を追う竹之内

中盤に織田がアタックして小坂を突き放す

2名のパックとなった織田と小坂

先頭交代を繰り返しながら竹之内に対して5秒ほどのギャップを築く先頭2名。
5周目に竹之内とペースが変わらなくなると、6周目で織田がアタックし、小坂とのタイム差を5秒ほどつける。
一方、小坂と竹之内のタイム差は変わらず、2位逆転の可能性も少しずつでは出てきていた。

先行する織田

しかし、小坂はこの時冷静に状況が判断できており、「織田のアタックに無理してついていくよりは、少し余裕をもって追走していた」とレース後に語ってくれた。

このコメントのとおり、7周目は織田と小坂のラップタイムは変わらず、1アクションで追い付くタイム差に留まっていた。

終盤で小坂が織田に追い付き、レースは振り出しへ

8周目に小坂がペースを上げると、織田はペースが上がらずにタイム差が縮まっていく。
9周目に入って小坂はさらにペースを上げ、ついに織田に追い付いてレースを振り出しに戻す。

小坂が織田に追い付く

レースが振り出しに戻ると、少し余裕のありそうな表情の小坂に対し、織田はかなりきつそうな表情で小坂を追うような状況に。
レース後、織田は脚が攣ってしまっていたと語った。

最終周回で小坂が仕掛け、4年ぶりの全日本チャンピオンに

織田の状態が見えていた小坂がPIT前で仕掛けると織田が離れてしまう。
織田を離した後も冷静に走り続けた小坂に対し、織田は陸上競技場脇にある松の木のキャンバーセクションを越えても、なお離されてしまう。
フィニッシュ前の舗装路に単独で姿を見せた小坂は、何度も何度も手を上げ、コース脇で応援してくれたファンとハイタッチをしながらフィニッシュラインへ向かう。

観客とハイタッチする小坂
小坂が4年ぶりに全日本チャンピオンに

最後は大きなガッツポーズを見せた小坂が4年ぶり2度目の全日本チャンピオンに輝いた。
2位には織田が、3位には最後まで前を追い続けた竹之内が入った。

2位でフィニッシュした織田

トップ4選手に聞いたコメント

優勝 小坂 光コメント

「今シーズン、時や聖に勝つイメージが一度も持てていなくて、今日はとにかく自分のベストな走りができればと思っていました。冷静に走れたのが良かったのかなと思います」と、レース前は勝てるとは思っていなかったと開口一番に語った小坂。

「聖が飛び出したタイミングで全開で追いついてもよかったんですが、後ろからは悠も迫っていてプレッシャーもあり、オールアウトしてしまうリスクを取るよりは、少しだけ余力を残しながらプッシュしていました。聖もそこまでペースが上げられているようには見えず、泥のセクションでは(織田よりも)自分のほうが速かったので、その区間で差は詰められるな、パックになったらそこで差をつけられるなと思っていました」と、非常に視野が広くかつ冷静な判断ができていたと言う。

「(織田が)ラスト2、3周で失速していたので、これはいけるなと思って追い付きました。最後のシケインには同時に進入する形であまり差をつけられないようにし、PIT前でアタックしたら聖が離れたので、そこからは冷静に行きました。ここで勝利を確信しました」と勝利が決まった瞬間を教えてくれた。

「ロードシーズンからの切り替えがうまくいかず、2週間前に開催された能登シクロクロスまでは疲労がたまる一方で、その時点では全く自信がもてませんでした。ただ、能登シクロクロスが終わってからは2週間空いたので、コンディションを調整することができました。水曜日に最後の追い込みをした時点で、調子が上向いていることが実感できていましたし、今日は調子よく走ることができました」と、全日本に向けた修正がうまくいった小坂。

「シーズン最大の目標していた全日本選手権で、2回目の全日本チャンピオンになることができました。なかなか厳しいシーズンではあったんですが、現地や地元宇都宮、栃木県から多くの応援があったので一番大事なレースで勝つことができました。本当にありがとうございました」と、応援してくれたファンの方々へ感謝を示した。

息子である光の優勝を祝福する父・小坂正則(スワコレーシングチーム)。光はプライベートではこの12月に結婚する。

2位 織田 聖コメント

「(2位という結果について)ただただ悔しいです」と、2年連続の2位という結果を悔やむ織田聖。

「(沢田がシケインでチェーン落ちたタイミングでのアタックについて)自分が行かないと後ろからまた追い付かれると思ってアタックしたんですが、慌てすぎました」と、ライバルの思わぬアクシデントに慌ててしまった織田。

「アタック以降は狙いどおりに走ることができていたんですが、今日はなぜか脚が攣ってしまって、それが問題でした」と、敗因を語った。

悔しさで起き上がれない織田

「ただただ今日は光さんが強かったです」と勝者を称える織田は、「まずは目先のロードで、海外でプロになれるようにしっかりとステップを踏んで、海外で通用する選手になって、シクロクロスではそれが生かせるような走りができればと思います」と来シーズンへの抱負を語ってくれた。

3位 竹之内 悠コメント

「(2年ぶりの表彰台、3位という結果について)うれしいというのが正直なところです。2年前の全日本選手権の1週間前から脚がおかしくなり、その後いっきにパフォーマンスが落ちてしまいました。1つのレースを狙うというのはできるようになったんですが、連戦でパフォーマンスを発揮するのは今も難しい状態です」と、故障による難しいコンディションのなかでのレースだった竹之内。

「今回も途中までは良い組み立てでいけていたんですが、ベストなレースはできなかったので、光が優勝してうれしい反面、僕が勝てなかったので悔しいです」と、同い年のチャンピオンを称えつつも、選手としての悔しさも滲ませる。

3位でフィニッシュした竹之内

「ただ、体との付き合い方もわかってきたので、来シーズンに向けてこの冬しっかりと体づくりをしていきたいと思います」と、来シーズンに向けた抱負を語ってくれた。

4位 沢田 時コメント

「勝てるコンディションにはありましたし、1位か2位かなとレース前は思っていました。踏みどころがなく(勝負を決めるには)難しいコースだなという印象で、序盤から光さん、悠さん含めて4名のパックになるだろうな、そこから踏んでいけば聖とのマッチレースで最後はスプリントかなとレース前は想定していました」と大方の予想どおりのレース展開を想定していた沢田。

「3周目のシケインでのチェーン落ちは、バニホがしっかりと跳びきれてなくて、1個目のジャンプでチェーンが暴れた状態のまま2個目のジャンプをしてしまったことが原因だと思います」と、勝負争いから脱落してしまった瞬間の原因を語る。

前を追う沢田

「ただ、このままだとバニホができなくなると思ったので、最終周回でもう一度バニホにチャレンジし、しっかりと飛べたので、そこは良かったかなと思います。バニホで飛べないと聖やそれよりも強い選手には勝てないので、自分の技術では飛ぶべきではないというのはわかっていましたが、レースでのバニホに挑戦できて良かったとです」と、レース中でのバニーホップに挑戦した理由を明かしてくれた。

「(復帰後の4位走行について)1つのミスで厳しくなるコースというのは分かっていました。チェーン落ちした後もあきらめていたわけではないですが、脚がありませんでした、最後は攣ってましたし」と、レースを振り返る。

前を追う沢田は脚を攣ってしまう

「ジャージを着ていなくても日本で一番強いというのは示せると思いますし、競技問わずバンバン行こうと思います」と、来シーズンも種目の垣根を越えてチャレンジし続けようとする沢田の姿があった。

 

第27回 シクロクロス全日本選手権大会

日時: 2021年12月11〜12日
開催地: 茨城県土浦市にあるりんりんポート土浦/川口運動公園

JCF公式WEBサイト
https://jcf.or.jp

AJOCC WEBサイト
https://www.cyclocross.jp

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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