【北海道 利尻島・礼文島】羽田発2泊3日で行くぜ! 最果ての島へ|今年行ってみたい自転車旅
- 2022年01月01日
ついに来た。ここが伝説の桃岩荘YHだ
礼文島に来た目的のひとつが、桃岩荘YH(ユースホステル)に泊まることだ。俺が大学生だった当時、そこは襟裳、知床とともに北海道3大〇〇〇〇YHと呼ばれていた。
夜の「ミーティング」と呼ばれる場で歌ったり踊ったりするのはどこも同じだ。ただ、なかでも桃岩荘YHはフェリーで帰る客を歌と踊りで見送り、最後は埠頭から海に飛び込む者までいるという、その全力のお見送りで旅人たちに知られていた。
そして、当時のそういう独特の「風習」が、この桃岩荘YHでは今も連綿と受け継がれているという。それはほんとうなのか? 電話で予約をしたとき、「当ホステルは全室ドミトリーです。ミーティングと呼ばれるイベントが夜にありまして、参加するしないはご自由なんですが、早くお休みになりたいお客様には、少しうるさいかもしれませんが、よろしいでしょうか」というようなことを言われた。望むところだ。そうこなくっちゃ。
宿に着く手前に展望台があり、そこの駐車場に着いたら電話をするように、と言われていた。そのとおりに電話をして砂利道を下っていくと、宿の人が一人迎えに出てきた。そしてうながされて玄関の扉を開けると……。「おかえりなさーい!!」の大合唱で迎えられた。来た。ついに来たぞ! ここが桃岩荘YHだ。旅人に語りつがれた伝説の宿。あの北海道ツーリングから約40年がたち、青年はオッサンになった。しかし、ついに来ることができた。夜のミーティングで、もっと歌いたい! と思ったのは俺だけだったろうか。
天気が悪かったせいで、礼文島の美しい自然と風景を満喫、というわけにはいかなかった。しかしその垂れこめた雲と、吹きすさぶ風は、礼文島の「最果て感」を増幅していた。
もう死ぬまで来ることはないかもしれない。だから自分のなかで礼文島は、ずっと寒々しい、そして丘の上や岬の突端を、ただ風が吹きぬけていくイメージのままかもしれない。
でもそれでいい。明るく美しい景色を楽しむだけが旅じゃない。悪天候もあり、トラブルもある。そしていろいろな出会いがあり、別れがある。それらすべてが旅なのだ。
島の最北端、スコトン岬で風に飛ばされそうになりながら、来てよかったと心から思った。
「北海道 利尻島・礼文島」ルート紹介
初日は利尻島を時計回りに一周ちょっと。翌日は礼文島を北上してスコトン岬まで往復。3日めは礼文島の南を少し走り、利尻島に戻って沓掛から空港まで。総走行距離151km。
※この記事はBiCYCLE CLUB別冊「ロードバイク一人旅入門」からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
出典
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- CREDIT :
- TEXT & PHOTO:岩田淳雄(編集部) MAP:オゾングラフィックス 取材協力:公益社団法人 北海道観光振興機構
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PROFILE
Bicycle Club / 編集長
岩田
バイシクルクラブ 編集長。自転車雑誌の編集長を14年以上務める。自転車雑誌の編集は通算20年近い。人生100年として、もう5分の1を自転車雑誌で過ごしている。物欲おじさんライダーの代表。
バイシクルクラブ 編集長。自転車雑誌の編集長を14年以上務める。自転車雑誌の編集は通算20年近い。人生100年として、もう5分の1を自転車雑誌で過ごしている。物欲おじさんライダーの代表。