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人とのつながりが感じられる十勝岳|おすすめヒルクライムスポット

著名サイクリストがお気に入りの峠を紹介。「いったいなぜ自分がその峠を好きなのか」を存分に語ってもらった。今回は北の大地、北海道に鎮座する「十勝岳」の魅力を、ロードバイクコーディネーターの大関賢土さんに聞いてみた。

仲間ができたきっかけ、厳しくも美しい十勝岳

私のおすすめは北海道の十勝岳です。北海道のなかでもキャラがたっている道で、多くの人とのつながりがある峠でもあります。
初めて上ったのは2017年。ブログのネタを取りにいったのですが、以降3年で15回以上は上っていますね。上りは上富良野町からのルートと美瑛町からのルートがあり、ひとつの山で2度おいしいのが特徴です。上富良野ルートはきつくて健脚向き、美瑛ルートはゆるく楽しめますね。

まず北海道の道で一番高いところ(標高1266m)に上れるというのがいいですね! 上りは後半になるほどきつくなり、一番きつい終盤は14%にもなります。北海道のなかでは珍しいタイプの勾配です。ほかの北海道の峠は3〜5%でダラダラ上るのが多いので。
あとはやっぱり景色。うっそうとした森のなかを走り続けるのですが、頂上付近になると森や上富良野の街、そして美瑛の街が見下ろせる。晴れていると十勝岳の噴煙も見えます!

空から見た、美しい十勝岳まわり(ドローンで撮影)。じつは正確な言葉の意味上では「峠」ではない
野生のエゾシカやそのほかの動物があちらこちらに。これも北海道ならではの出会い?

自分のなかでは、とくに人との思い出が詰まっていて、北海道の自転車仲間ができたきっかけがこの峠です。たとえば今でも「今度また十勝岳にいくよ」と伝えたとすると、地元のだれかしらが集まってくれていっしょに走ってくれます。
上富良野町で有名なサイクリストカフェ、ヤマイチさんにもよくしてもらいました。日本全国まわってもここまで旅人をもてなしてくれるのは、かなり稀です。

あるとき道内の友人が「十勝岳1時間切り」に挑戦するというので、応援の意味でいっしょに走っていたのですが、なぜか私の変速機が動かなくなり、39‐14Tで上り切ったことがあります。
すでに何度も上っていましたが、そのときはさすがに腰が痛くなりました(苦笑)。友人も無事1時間切りを達成したのでいい思い出です。そんな楽しい友人たちのおかげで、上富良野町でトライアスロン合宿の誘致活動なども手伝うようになりましたね。

あと「朝ヒル飯」というのがあって、朝6時くらいから走り始めて頂上のホテルで朝ごはん?を食べるプライベートイベントにも参加していました。

十勝岳で友人たちと! 旅先で出会った人たちが仲間や友人に。そのきっかけをくれたのが十勝岳と自転車だ
友人が1時間切りを果たした際の画像。大関さんは14%の区間も39-14Tで上り切ったという。レーサーではないが、さすが日本中の山を上るだけある

峠を走るとき、自然の音を感じながら上るのが好きです。自分と自然しかない無音の状態ともいえるかもしれません。「あ、今自分しかいないんだな」と思う瞬間があって、でもそれはゆっくり走っているときではなく、ほどよくきつくがんばっている瞬間にだけ訪れるんです。

じゃあ十勝岳はどうなのか?というと不思議なことに逆なんです。この峠に限っては地元の仲間と上ることが多く、「おしゃべりしながらゆっくり走ったりすることは楽しいことなんだ!」と認識させてくれた面もありますね。

十勝岳付近のオススメスポットは美瑛町ルートにある「青い池」ですね、間違いなく映える写真が撮れます! スタート地点である上富良野町や美瑛町は、いわゆる北海道らしい景色があちこちにあるので、まぁどこを走っていても気持ちいいです(笑)。
峠にある凌雲閣は日帰り入浴もできるので、タオルと着替えをもって上りましょう。先述のヤマイチさんはサイクリスト夫妻がやっているのでぜひ寄ってください。

ベストシーズンは8月のお盆ですね。それ以降北海道では夏は終わっていくので、実質的にロードバイクで上れるシーズンとしては7〜8月くらいでしょうか?

峠まわりの道の景色もまたすばらしい。奥に見えている十勝岳が噴煙を上げることも
季節はやはり夏がハイシーズン。半袖で走れる期間は本州に比べると短め
美瑛町の森林地帯に流れる美瑛川のわきにあるのが「青い池」。真っ青な池のそばに自転車を置けば、それだけで映えの写真に! 2012年にはアップル社の壁紙になったことも

十勝岳(上富良野ルート)

距離:14.1km
平均勾配:7.7%
標高差:937m
スタート地点:吹上上富良野線交差点 327m
ゴール地点:凌雲閣 1266m
冬季閉鎖:10月21日~4月28日予定

教えてくれた人

ロードバイクコーディネーター 大関賢土さん

2017年〜2021年まで仕事をやめて日本各地を旅しながら峠を上り続け、全国の峠を自身の脚で実走した評価したブログ「え、登らないんですか?」を運営。獲得標高差800〜1000mをメインにその登頂数は280を超える。

 

※この記事はBiCYCLE CLUB[2021年12月号 No.440]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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