棚田を走る山岳コース、ツール・ド・熊野第2ステージはキンテロが勝利
Bicycle Club編集部
- 2022年05月28日
熱戦が続くツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)の第2ステージが5月28日に行われた。熊野山岳の険しい道での戦いは、サバイバルを耐え抜いた9名がゴール前に先着。最後は上りスプリントでの勝負になり、レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)がステージ優勝を挙げた。また、2日連続でステージ2位になったネイサン・アール(チーム右京)が、個人総合で首位に浮上。残る1日に個人総合優勝をかける。
序盤で形成された20人の先頭グループ、中盤でさらにシャッフル
ツール・ド・熊野の第2ステージ、通称“熊野山岳コース”は日本屈指の山岳ステージ。まず、2級の丸山千枚田を上り、続いて今大会最難関の1級・札立峠へ向かう。その後、再び丸山千枚田を登頂後、下ってフィニッシュを目指すルート設定。総距離104.5km、獲得標高1732mという厳しいコースプロフィールだ。総合優勝争いにおいて大きくタイム差がつくこともあり、最重要なステージとなる。
前日のステージを走り切った80名の選手がスタートラインに整列。リアルスタート直後から散発的なアタックがかかり、最終的に20名の先頭集団が形成された。ここに大多数のチームがメンバーを送り込んだこともあり、着々と後続との差を広げていく。
丸山千枚田に先頭集団が差し掛かかると、山岳ポイント争いが勃発。上り始めからエンクタイヴァン・ボロー・エルデン(レバンテ富士)が飛び出すと、そのまま山頂を1位で通過。2位に山本大喜(キナンレーシングチーム)が続いた。約3分30秒後、メイン集団も丸山千枚田に姿を表した。この時点で集団のイニシアチブはチーム右京が握り、続く札立峠を前にタイムギャップを埋めていく。
一足先に札立峠に入った先頭集団では、山岳ポイント獲得を狙う選手らを中心にペースを作る。同時に少しずつ人数が絞られていく。この峠の頂上は山本がトップ通過。メイン集団でも動きがあり、アールとベンジャミン・ダイボールのチーム右京勢がペースアップ。これに合わせる形でトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、小林 海(マトリックスパワータグ)が追随。頂上通過後のテクニカルなダウンヒルで加速し、先頭グループへと合流を果たした。
この形成のまま、2回目の丸山千枚田へ。麓からダイボールがアタックを仕掛けると反応できたのはアール、山本、ルバ、増田、小林の6人。アールがトップで山頂を通過して、そのまま下り区間もクリアした。このメンバーでの決戦かと思いきや、有力選手間での駆け引きで牽制が入り、ペースが上がらない。この間にキンテロが合流。さらには、残り2kmで松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)、ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が追いつき、9名での勝負となる。
フィニッシュへ向かう上り坂で松田が先頭に立つと、背後からひときわ鋭い伸びを見せたのはキンテロ。後続に1車身ほど離すとガッツポーツで先着し、山岳ステージをものにした。また、2位にはアールが続き、前日獲得したボーナスタイムを生かして個人総合で首位に浮上。イエロージャージに袖を通した。
このほか、第2ステージを終えて各賞ジャージは前日勝った窪木がポイント賞ジャージをキープ。山岳賞ジャージは山本が獲得している。
優勝したキンテロは「今日のステージで支えてくれたチームメイトと勝利を分かち、また自国の家族にも勝利の喜びを伝え、感謝したい」とコメント
最終日となる29日は和歌山県太地町に戦いの場を移す。個人総合成績は僅差となっており、各チーム綿密なプランニングのうえ、レースに臨むことだろう。ステージ優勝争いにとどまらず、個人総合上位陣がボーナスタイムを狙って動くなどの激しい動きが繰り広げられるはずだ。
ツール・ド・熊野2022 第2ステージ結果
1 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)2:38’50”
2 ネイサン・アール(チーム右京)ST
3 小林 海(マトリックスパワータグ)
4 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)
5 山本大喜(キナンレーシングチーム)
6 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)
7 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン)
8 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+0’04”
9 ベンジャミン・ダイボール(チーム右京)+0’09”
10 横山航太(シマノレーシング)+0’40”
個人総合時間賞
1 ネイサン・アール(チーム右京)5:10’01”
2 小林 海(マトリックスパワータグ)+0’05”
3 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)+0’06”
4 山本大喜(キナンレーシングチーム)ST
5 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン)
6 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)
7 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)
8 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+0’10”
9 ベンジャミン・ダイボール(チーム右京)+0’15”
10 横山航太(シマノレーシング)+0’46”
ポイント賞
窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)25pts
山岳賞
山本大喜(キナンレーシングチーム)20pts
U23賞
湯浅博貴(ヴィクトワール広島)
チーム総合
マトリックスパワータグ 15時間30分25秒
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- TEXT:The Syunsuke FUKUMITSU Photo:TOUR de KUMANO 2022
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