超級山岳のお守りウインドブレーカー|PEARL iZUMi
小俣 雄風太
- 2022年06月28日
夏であっても、
登坂の喜びを支えるウインドブレーカー
2000m級の峠は、ただいいものだ。登っていくなかで景色はみるみる変わり、先程スタートを切った町は遥か眼下に小さくなっていって……。苦しみつつも、マネージできるペースを見つけて山頂までたどり着いたときの高揚たるや、クライミング・ハイとしか言いようがない。
だが山頂でポケットにウインドブレーカーが入っていないことに気づいた瞬間、2000m級の峠はただ悲惨なものとなる。少しでも体温の高いうちに下らなければならず、山頂の記念碑で写真を撮ったり、ソフトクリームを頬張っている時間はない。一刻も早く、体を冷やさぬうちに再び下界に降りねばならない。
真夏であっても、2000mを超える標高に挑むサイクリストにとってウインドブレーカーは必携だ。出発時にすでに暑かったから? どう考えても天気は悪くならないから? 荷物を増やしたくないから? ウィンドブレーカーを置いていく理由はたくさん考えられるだろうが、いずれも正当性はない。山を侮ってはいけない。
夏であっても、いや夏だからこそウインドブレーカーは忘れずに。山の天気は変わりやすく、また遠征してのサマーライドでは仲間と山頂で過ごす時間もたっぷり取りたいものだ。
コンパクトなポケッタブル仕様
パールイズミのウインドブレーカーを、携行品リストの筆頭に加えておこう。なんといっても、内側ポケットにぎゅぎゅっと押し込んでいけば、驚くほどコンパクトになるポケッタブル仕様。ジャージポケットへの収まりがいいし、サドルバッグやハンドルバッグの中でも場所をとらない。
なんといっても軽いのがいい。Mサイズで実測59gは、持ってみても軽く、そして着ても軽い。裾や袖はゴムでトリムされていて、適度なフィット感。伸縮性に富むので、ライダーの体格を選ぶことはないだろう。
スルーポケットという発明
標高の高い地点では、朝、曇り空の走り始めにすでに寒さを覚えることがある。梅雨時の渋峠もまさにそうで、行く先は霧に包まれている。迷わずウインドブレーカーを羽織って、体を冷やさないように登り始めた。
登り始めて数キロ、少しずつ体も温まり暑くなってきた。ジッパーを開放してひらひらと登り続ける。脇下のベンチレーションメッシュの風の抜けもよく、淡々と走り続けるのであれば着たままで大丈夫。
ふと背中側にもスリットが入っていることに気づく。これは着用時にジャージ背面へアクセスできるスルーポケットだ。試しにジップを締めて背中に手をやると、なるほどポケットに手が入る。裾を押し上げて手を差し込まなくていいのは存外にラクなもの。特に、補給食を食べながら下りたいときなどは、メリットが大きそうだ。
本当は山頂でウインドブレーカーを羽織りたかったが、進むにつれ霧は雨となってきた。こんなときはもちろんレインジャケットが望ましいが、ウインドブレーカーの撥水性に頼ってしまうこともある。あくまでエマージェンシー的用途だが、やはりウインドブレーカーを持っていて助かるシーンというのは少なくない。
山頂が近づくと雨が止んだ(まさに山の天気である)。太陽が照るとさすがに暑くなり、ウインドブレーカーは畳んでバックポケットへ。次の出番は山頂になるだろう。
変わりやすい山の天気に高視認性のカラーを
長野県・群馬県の境にある渋峠は、日本の国道最高地点である。登坂の達成と喜びをかみ締めながら、標高2172mを告げる石碑の前で再びウインドブレーカーを羽織る。
霧の下りは不安になる。進行方向が見えづらくなるのと、対向車や追い抜く車、あるいは登山者ら他交通とのコミュニケーションがセンシティブになるからだ。光量の落ちた霧の中で、ネオンイエローカラーのウインドブレーカーは心理的にもいい。スタイリッシュなブラックと悩んだが、何があるかわからない山岳ライドではやはり高視認性のカラーに軍配があがる。
無事に下り切ると、山頂との気温差に驚く。暑い。それまで着ていたウインドブレーカーを脱いで初めて、真にその峠を登ったと言える。安全第一。
2000m級の峠は、ただいいものだ。やはり、ちゃんとしたウインドブレーカーがあるからこそ、なのである。
製品情報
PEARL iZUMi Windbreaker
(パールイズミ・ウィンドブレーカー)
価格:10,780円(税込)
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ネオンイエロー、ブラック、グレー
問:パールイズミ
https://www.pearlizumi.co.jp
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