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ヴィンゲゴーがポガチャルとの山岳頂上決戦に勝利 パリ凱旋へ|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2022は現地721日に第18ステージが行われた。今大会の山岳ステージとしては最後となった1日は、ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)とタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)の個人総合1位と2位による頂上決戦に。アシスト陣も機能し有利にレースを進めたヴィンゲゴーが、残り4.5kmでポガチャルを引き離すことに成功。最後は独走に持ち込んで、今大会2勝目となるステージ優勝を挙げた。これにより、マイヨジョーヌも固いものに。ポガチャルとの総合タイム差を326秒とし、3ステージを残しながら大会初制覇へと近づいている。

ユンボ・ヴィスマがチーム力を発揮しヴィンゲゴーを頂点に送り出す

ピレネー山脈を進んでいる大会第3週。山岳3連戦の最終日は、ルルドからウタカムまでの143.2km。中盤以降、上級山岳を立て続けに上ることになり、超級山岳オービスク峠(登坂距離16.4km、平均勾配7.1%)から始まり、1級山岳コル・ド・スパンデル(10.3km8.3%)、そして超級山岳ウタカムと向かっていく。頂上にフィニッシュラインが敷かれるオタカムは登坂距離13.6km、平均勾配7.8%。中腹から先が10%前後の急勾配になっている。個人総合争いは残すところ、このステージと第20ステージの個人タイムトライアルに事実上絞られており、追う立場の選手たちは勝負に出なければならない。

©A.S.O./Aurélien Vialatte

レーススタートを前に、クリストファー・フルーム(イスラエル・プレミアテック、イギリス)、ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)、イマノル・エルビティ(モビスター チーム、スペイン)の3人が未出走を発表。いずれもPCR検査で陽性を示したことによるもので、新型コロナウイルスによる大会離脱者が後を絶たない状況が続いている。

©A.S.O. / Pauline Ballet

巡礼地としても知られるルルドを出発したプロトンは、ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)のファーストアタックで活性化。ここ数日に違わず出入りが激しい序盤となるが、30km地点が近づいたところでコフィディスの集団牽引によって逃げ狙いの動きはすべて封じられる。

仕切り直しになって、40km地点を前に16人が先行を開始。再びコフィディスが集団を引っ張るが、先頭をうかがう選手が続々と発生。10kmほど進んだところで、27人による先頭グループが形成された。

©A.S.O. / Pauline Ballet

58.5km地点に設けられた中間スプリントポイントは、再び前線に身を置いたファンアールトが1位通過。ポイント賞を決定的にしているが、まだまだ得点確保に努める構え。この流れから1つ目の超級山岳であるオービスク峠に入ると、先頭メンバーは少しずつ絞られていく。山岳賞争いでトップを行くシモン・ゲシュケ(コフィディス、ドイツ)も前線に乗り込んでポイント収集を目指すが、サバイバル化する登坂で徐々に後退。結局先頭グループには残れず、マイヨアポワのキープが厳しい情勢となる。この上りはジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード、イタリア)が1位通過。メイン集団は約3分差で上りを終えた。

©A.S.O. / Pauline Ballet

下り区間を経て、1級山岳コル・ド・スパンデルに入ると、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード、オランダ)が先頭グループのペーシングを担ったが、中腹でファンアールトがペースアップ。これをきっかけに人数が大幅に減り、頂上までに先頭はファンアールト、ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)、ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)の3人に。頂上はファンアールトが1位通過した。

タイミングを同じくして、メイン集団では頂上まで7kmを残したところでポガチャルがアタック。すぐにヴィンゲゴーがチェックして、ライバルの動きを封じる。頂上までにこの動きを繰り返すこと4回。そのたびに、ヴィンゲゴーのアシストであるセップ・クス(アメリカ)や個人総合3位につけるゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)らがテンポで追いつきながら2人に食らいつく。両者が見合う脇からトーマスがカウンターアタックを試みる場面もあったが、ポガチャルの4回目のアタックをきっかけにトップ2が他の個人総合上位陣を引き離してダウンヒル区間へと進んでいった。

©A.S.O. / Pauline Ballet

だが、この下りが2人にとって難しい状況を作り出した。加速を図るポガチャルの後ろについていたヴィンゲゴーが左コーナーでバランスを崩しあわや落車のピンチ。何とか持ち直してポガチャルのマークに戻る。少し進んだ先で、今度はポガチャルにアクシデント。左コーナーで大きく膨らむと、態勢を立て直したかに思われたが加速し直したところでタイヤを滑らせ落車。すぐに立ち上がって再出発したが、左脚には複数の傷が見られる。状況を把握したヴィンゲゴーはポガチャルの戻りを待つと、再合流したポガチャルが差し出した感謝の握手に快く応じた。

©A.S.O. / Pauline Ballet

下り終えると、いよいよ最終登坂のオタカムへ。先頭3人は変わらず、間に追走の4人がいて、約2分差でメイン集団。ヴィンゲゴーとポガチャルはアクシデント以降無理にダウンヒルを攻めず、やがて迫ってきた精鋭メンバーと一緒にウタカムへ向かう。この時点でグループメンバーは7人。ユンボ・ヴィスマはクスと逃げから残ったティシュ・ベノート(ベルギー)がここに入り、ヴィンゲゴーを支える状況が整った。

©A.S.O. / Pauline Ballet

逃げ切りに賭けて先を急ぐ先頭は、上りに入ってすぐにピノがアタック。数度の仕掛けは決まらず、逆にファンアールトが残り9kmでアタックするとピノは後退。ファンアールトとマルティネスのマッチアップになる。

ただ、勢いで上回ったのはメイン集団。ベノートから牽引を引き継いだクスのペースでトーマスや個人総合7位につけるルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、南アフリカ)が後退。先頭の2人との差はあっという間に縮まって、残り5kmで追いついた。ユンボ・ヴィスマはここで、クスから「前待ち」だったファンアールトへ牽引役をバトンタッチ。このファンアールトが山岳最終アシストとして最高の機能を果たす。

決定打が生まれたのは残り4.5km。猛然とペースを上げたファンアールトにヴィンゲゴーが合わせると、ポガチャルが対応できず。差が少しずつ開いていくと、残り4kmを切ったところでファンアールトは任務完了。ヴィンゲゴーに先を行かせ、自身はポガチャルの抑えに回る。

ポガチャルとの差を広げてひとりでウタカムの頂上目指して突き進んだヴィンゲゴー。チーム力を生かしつつ、最後は持っていた力を発揮してステージ優勝を決めた。第11ステージに続く、今大会2勝目。マイヨジョーヌの座を固めると同時に、山岳賞でもトップに立つ会心の勝利だ。

©A.S.O. / Pauline Ballet

ヴィンゲゴーの後塵を拝したポガチャルは、14秒差でのフィニッシュ。下りでの落車こそあったものの、攻撃的な姿勢を崩さずに戦い抜き、ステージ2位でまとめた。

この日も逃げにアシストに大車輪の働きを見せたファンアールトが3位、トーマスが4位として個人総合3位をキープ。ステージ5位には後方から追い上げたダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)が入った。

これらの結果により、首位ヴィンゲゴーと2位ポガチャルとの総合タイム差は326秒。3位トーマスはヴィンゲゴーから8分差。個人タイムトライアルを残しているとはいえ、ヴィンゲゴーのマイヨジョーヌは固くなってきている。また、ゴデュが盛り返して個人総合4位へ浮上。フランス勢最上位に位置する。また、このステージではメイン集団から先行する場面もあったメインチェスが同6位に浮上している。

©A.S.O. / Pauline Ballet

山岳での戦いを終えたプロトン。翌22日は、数少ないスプリントチャンスになる。カステルノ=マニヨアックからカオールまでの188.3kmは、後半の4級山岳以外はほぼフラットなレイアウト。山を耐え抜いたスプリンターチームが主導したいところ。果たして彼らの消耗度は……。ここはやはり、スピードマンたちが意地を見せたいことだろう。

ステージ優勝、マイヨジョーヌ、マイヨアポワ ヨナス・ヴィンゲゴー コメント

©A.S.O. / Pauline Ballet

「信じられない。今朝、ガールフレンドと娘にステージ優勝がしたいと言っていたんだ。彼女たちに捧げる勝利になり、とても誇らしい。

タデイ(ポガチャル)が落車したときは、コーナリングのラインから外れて砂利に入ってしまっていた。あの状況では、僕は彼を待つべきだとすぐに判断できた。

この結果に対してはチームメートに感謝しかない。この先も集中力を維持して、残りのステージを走り続けたい。ツールの優勝についてはまだ語るべきではない。それは2日後に分かることだからね」

マイヨブラン タデイ・ポガチャル コメント

「マイヨジョーヌのためにできる限りのことはやった。悔いはない。パリ到達の前に勝てる可能性のあるステージはまだ1つ残っている。そこへフォーカスしていきたい。

ユンボ・ヴィスマはツール全体を通して完璧だった。彼らは毎日強さを継続して成功を収めていた。今日も一番強い選手が勝利した。ヨナス(ヴィンゲゴー)は私よりはるかに強かったし、それを認めたい。

最後から2つ目の上りで攻撃を試みつつ、最後の上りでも何かできればと考えていた。ただ、下りでの落車でプランが崩れた。ユンボ・ヴィスマを追いたかったけど、最後の上りで彼らはとてつもなく強かった。

ヨナス・ヴィンゲゴーには敬意を表する。私たちは互いを尊敬しあっている。私がクラッシュしたときに彼が待ってくれたのは、チームメートが後ろから追ってきていたことも関係しているのだと思う。そのことはまったく問題ないし、状況的に私が攻めるほかなかった。それなのに落車してしまったのだから、結果については仕方がない」

■ツール・ド・フランス2022 第18ステージ結果

ステージ結果

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 3:59’50”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+1’04”
3 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+2’10”
4 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+2’54”
5 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+2’58”
6 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)+3’09”
7 ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)ST
8 セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+3’27”
9 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)+4’04”
10 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)+4’09”

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク) 71:53’34”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+3’26”
3 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+8’00”
4 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+11’05”
5 ナイロ・キンタナ(アルケア・サムシック、コロンビア)+13’35”
6 ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、南アフリカ)+13’43”
7 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)+14’10”
8 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)+16’11”
9 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)+20’09”
10 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+20’17”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 216:02’48”

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ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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