アンクリングが抑制できる、ヒルクライム&スプリント向けのクリート位置カスタマイズ
Bicycle Club編集部
- 2022年08月26日
多くのサイクリストが抱えるヒザの痛みも、ペダリングパワーの効率的な伝達も、すべてはライダーとバイクの接点である足のフィッティングがカギを握る。
今回の記事では、サンメリット BIKE FIT スタジオの伏見真希門さんに、ヒルクライムやスプリントにおすすめのクリート位置のカスタマイズを教わった。
こんなペダリングになっていませんか!?
ヒルクライムの急勾配シーンで、カカトが大きく落ちたペダリングを繰り返している人が多い。ペダリングのたびにカカトの位置が浮き沈みすると、パワーロスになるだけでなく、ヒザ下の筋収縮を活発にし、疲れやすくなる。そのような場合は、ニュートラルなクリート位置からやや後方に下げた「深い」位置にセッティングしよう。
深めにするメリット
- アンクリングを軽減できる
- ペダリングのパワーロスを防げる
- ふくらはぎやアキレス腱への負担を軽減できる
- 身長が高めの場合、とくにヒルクライムに向く
クリート位置を深くすると、アンクリングが抑制できパワーアップが期待できる。しかし、クリートを深くした分だけサドル高を少し低くする必要がある。身長が高い人にとっては、ペダリング上死点時のヒザの位置はクリート位置を変更しても上半身との間に十分な空間があるため、高い位置からペダルが踏めるメリットがある。逆に身長が低いと、上半身との間隔の狭さが顕著になり、高い位置からペダルを踏むのが難しくなる。
浅めにするメリット
- クランクの高い位置からパワーをかけられる
- ケイデンスを高められる
- スプリンター向き
ニュートラルな位置から、つま先寄りにやや浅めに調整すると、足関節の伸展角度を確保できるため、クランクの高い位置から素早く踏み込むことができるようになる。同時に、上死点の通過もスムーズになるため、ケイデンスを高めたい場合にも有効になる。海外のトップ選手でもスプリンターは浅めにセッティングすることが多い。
スタックハイトでペダリングを変える
ペダル軸の中心とシューズのソール面(裏側)の距離であるスタックハイト。ペダル軸の中心に近いほうがわずかではあるが、アンクリングが抑制でき、ペダルにパワーが伝わる時間が長くなるメリットがある。シューズのアウトソールの厚みはモデルにより差がある。薄く強度があるカーボンソールシューズはよりダイレクト感を得られる。
リンタマン・アジャスト ロード
スピードプレイ
スタックハイトが低いスピードプレイ専用モデル。スピードプレイのクリートは4つ穴マウントで8.5mmとスタックハイトが低い。リンタマンのスピードプレイ専用モデルは、調整幅が広く、スタックハイトを小さくできる。
詳しくはBIKEFITサービスを展開するショップ一覧をチェック!
個人でのクリート調整をはじめとするアライメント調整が難しい場合は、全国のBIKEFITフィッターが在籍するショップに相談しよう。
BIKEFIT®公認バイクフィッター在籍ショップ
教えてくれた人
サンメリット BIKE FIT スタジオ
伏見真希門さん
カナダ留学中に海外のサイクリングシーンに触れるなかで、フィッティングについて興味を持ち、フィッティングの祖として知られるポール・スウィフトが提唱する「バイクフィット」を学ぶ。2010年頃から国内のフィッティングサービスの普及に尽力。現在、バイクフィットやスペシャライズドが提唱するリトゥールフィットを駆使してチームからパーソナルまで幅広くサービスを提供する。
https://bikefitting.jp
※この記事はBiCYCLE CLUB[2021年5月号 No.433]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- TEXT & PHOTO:ハシケン
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