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ツール・ド・フランスでマイヨ・ジョーヌ! 片山右京チェアマンが語る新チームのねらい

10月15日、栃木県宇都宮市で開催中のジャパンカップの期間中、「日本人選手にマイヨジョーヌを着せる」ことを目標とする新たな日本チーム結成の衝撃的な発表がJCLの片山右京チェアマンからあった。チーム名はJCL TEAM UKYO。JCLの中核選手をリクルートし、その戦力には目を見張るものがあるが、なぜ今なのか?なぜツールを目指すのか?既存のチーム右京相模原とのすみ分けは? 多くの質問を、片山右京チェアマンにぶつけてみた。そこには、単なる強豪チーム設立にとどまらない、壮大なビジョンがあった。

▼JCL TEAM UKYO の体制についてはこちら
ツール・ド・フランスを目指すドリームチーム「JCL TEAM UKYO」結成、代表片山右京、総監督橋本聖子

ツール・ド・フランスを目指すドリームチーム「JCL TEAM UKYO」結成、代表片山右京、総監督橋本聖子

2022年10月15日

まずは発表されたJCL TEAM UKYOはどんなチームなのか、概要を教えて下さい。

片山右京チェアマン(以下、片山)「JCLの参加チームによる集合体の国際チームです。まずは来年、2023シーズンはアジアを中心に走り、2024年からヨーロッパだけに専念して参戦、ワールドツアーやグランツールを目指します。

こうした試みは先人たちによって今までも行われてきたじゃないかという意見もあると思います。ただ、オリンピックを終えて、レガシーサイクリングや、地域密着型・地方創生、自転車のモビリティー利用といった取り組みを、さまざまな国の関係機関や省庁、特に国交省と共に行う中で、競技力の向上がさらに重要な意味を持つようになっています。

自転車推進法によってサイクルツーリズムが盛んになっていますが、国も2030年に向けてモーダルシフトに転換しつつあり、パリやロンドンといった自転車都市に続けと都市開発に動いています。さまざまなモビリティが注目される中で、SDGsの14項目のうち5-6項目を満たす自転車は無視できません。その意味で、自転車競技のプロ化を進めてそのプレゼンスを高めたいのです」

プロ選手として世界で活躍することで、自転車の影響力や自転車に携わる人たちの発言力が増すということですね。

片山「今でこそモータースポーツのアスリートは競輪選手に勝るとも劣らない額を稼いでいますが、それはプロ化したことにより、運営組織が法人化したことも大きいです。株式会社GTアソシエイションのように関係者もプロになったわけです。僕がドライバーの頃なんて、クレジットカードも作れませんでしたから。関わる人たちの社会的な信用向上にもプロ化は欠かせません。

だから自転車競技をまずはポピュラーにしたい。高校生が『自転車選手になりたい』と教師に相談して、後押しをしてもらえるような時代を作りたい。JCLの運営を通して目指しているところはそこなんです」

有力選手を抱え込んだJCL TEAM UKYOという新チームが立ち上がることで、JCLシリーズにはどんな影響があるのでしょうか?

©︎ TOUR de KUMANO 2022

片山「まずお伝えしておかないといけないのは、JCL TEAM UKYOは、国内のJCLシリーズのレースを走りません。JCLを主戦場とする他のJCLチームと利益相反になるので基本的には国外のUCIレースを中心に、国内ではTOJやツールド熊野といったレースに出ることになります。できれば2クラスのレースを週に4日走れるようなプログラムを組んで、ゆくゆくはワンデイクラシックと呼ばれるような1クラスレースへの出場を目指します。

JCLとしては、基本的にはポイント制で1年間のチャンピオンを決めるというところは変わりませんが、大きな方向としては、国際レースをいっぱい増やしていこうと動いています。すでに来季のカレンダーにもそれは出ています。

より大きな視野では、アジアと連携し、海外チームを呼び込みつつ、自分たちも海外レースに行けるような環境づくりという側面もあります。チームに海外選手を迎え入れて、より全体のレベルを高めていく。ホセ(ビセンテ・トリビオ)や(フランシスコ・)マンセボ、(マルコス・)ガルシアといった選手はいい例です。

そうした環境を作る中で、ヨーロッパにチャレンジする選手が現れる、あるいは敗れても戻る場所があるようにする。ただし、安住の場所というわけではなく、アカデミーのような体制を整えて、才能のある選手たちが常に入ってこれる環境です。ジュニア選手たちの他に、他のスポーツからの移行も歓迎します。すでに野球選手から競輪選手になった例もありますし、サッカーやラグビーにも高い身体能力を秘めた選手は潜在的に多いはずです。プロ選手と練習ができるそうしたアカデミーを、ナショナルサイクルルート沿いに作る構想もあります」

ツール・ド・フランス出場、日本人選手にマイヨ・ジョーヌを着せる、という目標を鑑みると、ジュニア世代の育成を徹底するというやり方もあると思いますが、新チームとしてチャレンジしていくことの意味とは?

A.S.O./Pauline Ballet

片山「ツール出場はもちろんすごく高い壁です。Jリーグの川淵チェアマンも、ワールドカップに出るまで8年かかったとよく言っています。強い選手を集めたチームですが、『ヨーロッパに通用せず帰ってきた選手ばかりじゃないか』という言い方もされるでしょう。しかし、それが今の日本のトップという現状もまた事実です。だからこそ、若い選手たちは彼らと一緒に練習を積み、学び、そして超えていく存在として捉えてほしい。彼らに勝てれば海外との契約が見えるというニンジンがぶら下がった状態とも言えるわけです。所属選手たちからしたらそれは光栄なことだとも思います。増田選手がチームでキャプテンを続けてきたのには、後進に背中を見てほしいという思いがあったはずです。

僕は年をとっているし、すぐいなくなる身です。だから『日本人にマイヨ・ジョーヌを着せる』という夢を本気で信じて自転車に情熱を持つ人たちに託したいし、そのときに、プロ選手になりたいと志願する選手たちが何千人も切磋琢磨しているような、そんな状況と環境を作りたいんです」

これまで示されたビジョンでは、JCL TEAM UKYOの取り組みが継続的に行われる必要があると感じました。継続に向けて必要なものは何でしょうか?

片山「もちろんお金は重要だけれど、なによりも大事なものは、みんなの思いが一つになることです。僕のことが嫌いとか、JCLを応援できないという人もいると思いますが、それは脇において、まずは自転車に対して情熱のある人たちの思いを一つにしたい。アタックしなければレースは勝てない。アクションを起こなさなければツールに出ることは100%不可能です。だから、信じてほしい。新チームもそれを信じてくれた選手が集まってくれたから設立できたのです。

サッカーのJ2のチームを持つ予算があればワールドツアーチームが運営できるということは、他スポーツと比べても日本発のチームが世界で活躍できる素地が大いにあるということです。そこにはスポンサーももちろんですが、サポーターの存在も不可欠です。Tシャツを1枚買うのだっていい。JCLではFiNANCiEの取り組みも進んでいます。信じて応援してもらえれば、それだけ日本人がマイヨ・ジョーヌを着るという夢に近づきますし、ひいては自転車が理解され主体的な役割を果たす社会にもつながります」

F1鈴鹿から前日に帰ってきたばかりの片山チェアマンの話は、JCL TEAM UKYO設立だけでなく、その背後にあるさらに壮大な、日本における自転車のあり方まで変えるような枠組みにまで広がっていった。本記事でここまで語られたことは、ともすると大言壮語のそしりを免れないかもしれない。しかしこの後多く語られたことは、ヴィジョナリーとしての広範な視点と、いちサイクリストとしての情熱を持って説得力を持ったのだった。

国策としてのスポーツビジネス/政治的なプロセスの重要性/生きてて良かった

上記のキーワードが語られた片山右京のフル・インタビューは11月20日発売予定のバイシクルクラブ1月号に掲載予定です。お楽しみに。

「日本人選手にマイヨ・ジョーヌを着せる」を応援するトークン

JCL TEAM UKYOのローンチに合わせ、応援型トークンFiNANCiEが再び発行されている。ひとくち5,000円から選手やチームをサポートできる新しいシステム。それに見合ったリターンも豊富に用意されている。期待と夢を託して、応援購入してみてはいかがだろうか。

販売ページURLはこちら
第2回トークン販売期間:2022年10月15日(土)18:15〜2022年11月07日(月)20:00を予定

ツール・ド・フランスに日本チームが挑戦! JCLが導入した新しい応援のかたちトークンを体験

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2022年01月18日

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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