変態クライマーが利根沼田エリアの坂を上り尽くした「10000UPチャレンジDay~後編」
Bicycle Club編集部
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9月23日~9月25日の3日間、群馬県利根沼田地域で、 5つのコースを3日間で走破して獲得標高10,000mを目指す「10000UPチャレンジDay」が開催された。本来は3日間の予定が台風のため2日目はキャンセルに。ここではバイシクルクラブ編集部のレポーターとして参加した坂バカとしてNHK番組チャリダー★でおなじみの筧 五郎さんが前編に引き続き3日目の様子をレポートを届けする。
▼前編の様子はこちら
3日目は台風一過の晴天、朝5時にスタート
2日目は台風接近のため中止となり、3日目は急遽予定を変更した。当初予定していた日光白根山UPに加え、武尊山UPも走るモリモリのコースとなった。 このため当初は距離126.5㎞、獲得標高2700mだった3日目のコースは、獲得標高10000mを目指すために距離216㎞、獲得標高4870mとなってしまった。
1日目に引き続き走るのは公式チャレンジャーの女性ヒルクライマー篠さんはじめ脚に覚えありのメンバー10人。そして、最終日にはジョンさんを加えた11人がこの激しいルートを走った。3日目。走行距離と獲得標高を考えて平均時速23㎞と換算して、12時間ほど走る予定を立ててくれたのでスタート時間は5時。
まずは奥利根ゆけむり街道を進み、背嶺峠まで5㎞ほど上る。峠を越えて道の駅・尾瀬かたしなで休憩して、今日のハイライトともいえる峠・金精峠の中間地点の丸沼スキー場までの12㎞をさらに上っていった。
金精峠へ向かう途中でペースアップ
にんにんさんがストラバのタイムを獲りに行ったので僕は後ろにつかせてもらった。金精峠への道は以前、撮影で上ったことがあるのだが、こうしてまた走れるのは幸せだと思った。
丸沼スキー場でこの企画の担当者の方にこの利根沼田エリアの「らしさ」を聞いたら「ここには坂しかないんです」と言う。
僕は「坂があるじゃないですか‼︎」と言ってしまった。坂に温泉、きのうはフルーツを楽しんだがおいしい食べ物。それだけあればライダーは走りに来るからだ。僕たちはまさに坂を求めて利根沼田エリアにやってくるのだ。
Day3 日光白根山&武尊山コース
東側は日光へ通じる金精峠。
望郷ラインの絶景、飛行機のランディングのようなダウンヒル
武尊山コースにある望郷ラインへ戻ってきた。これを見たいがために走っていると言える景色が目の前にドーーンと現れた。
初日、雨の中のライドは、何も見えずどこを走っているか分からなかったが、悪いときもあれば良いときもある。
特に下りながらこの雄大な景色が見えるさまは、飛行機が滑走路に着陸するときの感覚に似ていた。
道の駅で休憩していると、「シフトワイヤーが切れたという」。まさとぅーさんがバックの中から「こんなこともあるかと思って」とシフトワイヤーセットを取り出した。まるでドラえもんのポケットだった(笑)。
しかし内装フレームなので、ワイヤーを入れたしても素直に出口から出てくる可能性は低いのだが、みなで協力してことなきを得た。アクシデントやトラブルは仲間の絆を太くしますね。まさとぅーさんがたくましい男に見えてしまった(笑)
ブルべや長距離を走っているライダーはガーミンの1000シリーズを使うことが多い。それはナビ機能が充実していて画面も大きいから見やすく、走るコースをダウンロードしておくと「次の上りは距離●㎞、勾配●%」と教えてくれるのがとても便利だから。
いっぽうトレーニング機能しか使っていない僕からしたら、デバイスの機能や性能をしっかりと使っていて、僕とは違う方向からライドを楽しんでいるなぁとあらためて感心した。僕も自転車に乗るのが好きだけれど、もっと乗るのが好きなライダーとこうして一緒に走って話せた事が幸せだった。
最後は「脚が喜んでいる」という快感のなか、ペースアップを楽しむ
「5㎞の上りがあと3個!」と群馬サイクルスポーツセンターの上りをみっちゃんとじゅんちゃんと上る。
じゅんちゃんは、速い人が後ろから来て追い抜かれるとそこであきらめてしまう。「そこをついて行って、それで千切れてもいいからついて行ってみなよ」とアドバイスした。
そして、ピークまで200mという掛け声を聞いてみっちゃんがスピードを上げていき、そこにじゅんちゃんがついて行った。しっかり、みっちゃんについていけたじゅんちゃん。ゴールで「やればできるじゃん!」と言ったら「ウン」とうなづいた。
「脚が喜んでいるよ」と変態な言葉を発するライダーもいてその表現は凄いと思った。
いっぽうみっちゃんにもいろいろとアドバイスをしたりした。
先日下りで落車し、下り恐怖症になって今回のライドでも下りで遅れ気味なユウタさんには下り恐怖感克服の仕方を教えた。「まずは前を走るライダーの動きを見る事と、落車した同じような道でも同じように下って」と。とにかく転ばずに曲がる方法を覚えてもらった。
ゆうたさんが「落車した下りがコース内にある」と言うので、彼には「そこを克服しよう!」と言った。ラストの上りは5㎞、平均勾配10%。県立森林公園21世紀の森への道だ。ここは直線で上っていく。
まるでベルギーの上りに似ている(笑)。みっちゃんが先行してにんにんさんがついていくが、さらにそこからみっちゃんがアタックして僕が追いついたが、そこでオールアウト。後ろからじゅんちゃんが追い抜いていった。
男の意地がぶつかり合った。
そこから、ぎりぎりなパワーで走り、後ろから追いかけてくるライダーに追いつかれないように自分に言い聞かせ、スタッフの方の「ここがゴール!」の声で持っているパワーを出し切ったのだった。
もう、もう、もう上りはいらないと思えるほど上らせてもらった。
後はゴールまでの下り。途中で左折するのだが僕はまっすぐ行ってしまった……。
後ろから「五郎さーん!」と呼ぶ声がし、まさとぅーさんが「道間違えてますよ!」と追いかけて教えに来てくれた。最後まで頼りになる男だと思った。
実質2日で獲得標高8900mを走り切れたのは、みんなのおかげ
ゴールの道の駅で集合写真。みんなは笑っているけれど、僕だけが笑っていない写真。それを見たら僕はよほど疲れていたんだなぁ……と思った。ちなみに実質2日間で走行距離は388㎞、獲得標高は8909mと、当初予定していた10000mには届かなかったが、気持ちは満足した。
峠を行くのではなく、あくまでもアップダウンをつないで獲得標高を稼ぐというのはコツコツした作業なので、脚は楽に感じるかもしれないけれど、心理的にはツラく感じることもあった。ただ、このメンバーだから乗り切れたともいえる。みんなにありがとうと言いたい。
10000UPチャレンジDay・参加者プロフィール
公式チャレンジャー 篠さん(埼玉)
坂好き女性ライダーでおなじみ。坂が好きすぎて、埼玉の山間部へ引っ越すほど。ブログ「山は性癖です」が人気。今回はリーダーとして参加者を引っ張った。この人の底知れる体力は物凄かった(笑)。上りの速さにも驚いたが 下りの速さにも驚いた。
まさとぅーさん(神奈川・28歳)
チーム・平日温泉ライダースのメンバーで、チーム員と走ることが多い。飛ばし過ぎてしまうためパワーメーターを使って周りのペースに合わせるやさしいナイスガイ。ブルベも5年続けており、今年もすでにSR(シューペル・ランドヌール)獲得済み。参加者一の屈強な体躯の持ち主で、どう見てもスプリンターだが、DNA検査でまさかの遅筋がほとんどと判明。ゴリゴリ踏んでいきそうな感じだったが、意外や意外(ごめん!)その身体の大きさからは当初考えられなかった。
みっちゃん・ヘンタイケイデンス(兵庫・38歳)
実業団「Soleil de L’est」所属のクライマー。自らをヘンタイと言うだけあり、今回の山岳コースをフロントシングル56Tで参加。上りは参加者ナンバーワンと言っていい実力で、トップで頂上に着くなり、すぐさまおかわりクライムに下っていく姿はまわりの参加者をあぜんとさせていた。ちなみに変態ギアと言うのでよく見たらフロントシングル56Tだった!
じゅんちゃん(大阪・40歳)
普段は関西の北摂エリアがホームコース。年明けにエベレスティングを達成して、ヒルクライムやエンデューロレースなどにも積極的に参加してきた。今回天気が悪いとのことで、普段のカーボンホールからアルミホイールにチェンジ。130mmの長めステムと165mmの短めのクランクをあえて選ぶこだわりも。
ユウタさん(茨城・39歳)
元々山登りが好き過ぎて山岳ガイドを目指すも、家庭の事情で現在は自転車でのクライミングがメイン。チーム「ウィンディー筑波」の仲間と筑波山まわりをホームコースとしている。地元・縁むすびのおにぎりが補給にもおすすめ。愛車TREKエモンダは、プロジェクト・ワンで目立つカラーリングをチョイス。今回、下りでおいて行かれてしまうのを気にしていたが、五郎さんにテクニックを習い、イベントゴール後には笑顔になって帰っていった。
にんにんさん(静岡・37歳)
冷静なキャラならがもストラバのコムを狙いに行く、熱い気持ちの持ち主でもある。ズイフトやストラバを使っての室内トレーニングをメインにこなしつつ、大阪―東京24時間キャノンボールライドやヒルクライムレースなど、なんでも来いのオールラウンダー。300kmくらいなら普通に走れるが、下りテクニックが上手で、参加者のよきお手本となった。YouTube「にんにんサイクル」もよろしく。
鈴なり妖怪 鈴さん(神奈川・24歳)
アテンドの篠さんを除いては、今回の紅一点。過酷なライドが大好きで「あたおかロングライダース」をYouTubeで配信。持ち前のド根性とポジティブさで周りを明るくするムードメーカー。男性陣が終始FTPを体重の4倍で上るようなハイペースの坂でも、集団内にいる男勝りのヒルクライム能力の持ち主だ。自転車のみならず今後はトライアスロンにも本気で挑戦。IRONMAN世界大会を目指すガチアスリートだ。
おーにしさん(神奈川・29歳)
ぼんじりさんジャージを着るおちゃめキャラ。初日ホイールのスルーアクスルを忘れ、いきなりDNSになりかけたものの、たまたま持ってきていた奥さんのロードバイクで出走。サイズが合わないながらも走り抜く意地を見せつけた。元々このコースを一人で走ろうと思っていたところイベントを見つけ応募、見事当選したラッキーボーイ。
カツアキさん(神奈川・47歳)
年間2〜3万㎞走るロングライドの達人。毎年ブルベのSRを獲得しており、来年のパリ・ブレスト・パリも参加予定。機材は消耗品と割り切るが、ビアンキ・オルトレのデザインはお気に入り。今回休憩地点で気が付いたら弁当や蕎麦などを食べている鉄の胃腸の持ち主。10000mアップに3日もいらないと言い放ち、今回のライド終了後もそのまま自走で神奈川まで帰る鉄人だ。
ジョンさん(茨城・26歳)
台風で中止だと思っていたところ開催を知り、慌てて3日目に駆けつけた。そのスレンダーな体からヒルクライムの速さを見せつけるも、最後まさかのハンガーノック。若さゆえのガラスの天才っぷりに今後の期待大。筑波大で鳥人間コンテストのパイロットとのことで、スポンサーを真剣に募集中。
56サイクル 筧 五郎さん(愛知・47歳)
乗鞍ヒルクライムやMt.富士ヒルクライムなど国内主要ヒルクライムレースのタイトルを持ち、シクロクロスは全日本選手権マスターズクラス5連覇。NHK-BS1「チャリダー★」に出演する。ショップ「56 CYCLE」でパーソナルレッスンも行う。今回はバイシクルクラブのレポーターとして参加した。
「ツール・ド×10,000UP」とは?
「ツール・ド×10,000UP」は今回「10000UPチャレンジDay」でも走った利根沼田エリア内に設定されたコースを期間内に制覇するチャレンジ企画。百名山に数えられる日光白根山、至仏山、武尊山、谷川岳、赤城山の標高分を駆け上がる5つのコースをご用意している。ぜひ期間内に走破してオリジナルグッズをGETしよう!
「ツール・ド×10,000UP」 特設サイト
(2022年5月28日(土)~11月20日(日)開催中)↓
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