筧 五郎さん、シマノのロードシューズ「S-PHYRE RC903」のフィット感にうなる|SHIMANO
Bicycle Club編集部
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強豪ホビーレーサーで、乗鞍ヒルクライムやMt.富士ヒルクライムなど国内主要ヒルクライムレースのタイトルを獲り、現在はNHK「チャリダー★」のロードレース自転車部の監督も務める「56サイクル」の筧 五郎さん。長年の経験から機材を熟知し、シューズはシマノ製をレースやトレーニングで愛用してきた。ここ数年の間にハイエンドモデルを約10足購入するほどのフリークだ。そんな筧さんが、今秋に発売された「S-PHYRE RC903」をインプレッション! フィット感の進化に「むむむっ」とうなった!
日本人はシマノ足
購入するシューズの数が増えた理由は「いろいろな仕様を試してみたいから」と笑う筧さん。近年のRC9シリーズでは、先々代のRC901のノーマルを2足、ワイドタイプを1足、XC901を1足。先代のRC902のノーマルとワイドを1足ずつ、XC902を2足、RC902Tを1足購入している。
「シマノのシューズの魅力の一つは、まず『誰が履いてもいい』というコト。サイクリストの間で『日本人はシマノ足』と言われますが、それは長年、海外のトップ選手が使うなかにあっても、どんな足型をしていてもフィットするように開発してきたからこそ生まれた言葉だと思います」
筧さんは同じシリーズ内でも、ロード用、クロスカントリー用、トラック用などを履き比べている。シクロクロスの世界では全日本マスターズクラス5連覇のタイトルを持っているが、その足元を支えていたのもシマノだ。「それぞれの競技特性に合わせてシューズも細かく工夫されているのがシマノ」と話す。
ストレスフリーなフィット感
では、RC903の履き心地はどのようなものか。
「先代のRC902はボアダイヤルを回すと足指を含む足全体が締まっていくような感覚がありました。その一方でRC903は、足の指が広がった状態で足全体が締まっていくような感覚が強くなっています。例えるならひも靴のシューズのように、締めたい部分は締めて、締めたくない部分は緩めておけるような感じです。これをボアダイヤル一つの操作で実現したのはすごいなと思います」
フィット感の高さはRC902にもRC903にもある。しかし、フィット感のもたらし方が異なっている、という。RC903の履き心地は、まるで足が真空パックされているよう、とも。足と足の指のすき間にアッパーがピタッと吸着するようなフィーリングがある。
「足のカタチのあるがままに自由自在に締まってくれるといいますか、なんかAI(人工知能)が入っているみたいです(笑)」
「これは推測になりますが、RC902はロードレースにおいて短時間高出力のスプリントで優位になること狙っていて、ペダリングのパワーを逃さないよう足全体をギュッと締めて剛性を上げようとしたのだと思います。ただ、足の指を締めつけられることにストレスを感じやすい人もいるので、RC903ではそうした人にもマッチするフィット感を追求したのでは、と。私自身も足の指がある程度広がった状態でペダルを踏むのが好きなので、この変化はうれしいです。ペダリングしやすいし、長時間のライドも疲れにくくなる」
2枚のアッパーが滑るように重なる
「RC903のアッパーの素材は柔軟で伸びやすく、ボアダイヤルを回すと2枚のアッパーが折り重なるように足を包み込んでいきます。足への当たりがやさしいですね」
筧さんは「ここに注目してみて」と指を指す。
「2枚のアッパーのうち下側(足の甲側)のアッパーが大きめに作られていて、上側のアッパーと重なる部分が多く取られるようになりました。ボアダイヤルを締めていくと下側のアッパーが上側のアッパーの下にスルリと滑り込んでいくようにおさまります。これもフィット感の良さにつながっています」
アッパー同士の重なりが少ないシューズは、時に強く締めていくとおたがいのアッパーが変に干渉することがあり、その部分だけ革が盛り上がってしまうことがあるのだそう。締めても締めてもフィットしないトラブルを避けるよう気が配られている。
引き足の感覚がつかみやすい
「ヒールカップ周りの形状も注目です。かかとのホールド感が高く、引き足を意識しなくてもペダルを踏む反対の足が自然に上がるようになりました。前乗りもしやすいですね」
通常、シューズは足を入れたときにかかとが上手くおさまるよう弧を描いた形状になっている。歴代のRCシリーズもそうしているが、RC903は外側から見る以上に内側が大きくえぐられた形状になっている。
「私はペダリングをコーチングするとき、生徒さんに引き足はヒールカップ(シューズの後端)に足首を引っかけるようにして上げてと話しています。RC903はその感覚がよくわかり、ペダリングスキルの上達にもひと役買ってくれそうです」
軽さが正義ではない
「また、ソールが土踏まず側に向かって傾斜をつけて上がっているところもいい。ペダリング時に力を入れて踏みやすい」
この形状はRC903に限らず長く続いていて、いつしか他ブランドでも取り入れられるようになっていったそう。
ところで、筧さんはヒルクライムに強いロードレーサーとして知られているが、シューズの「軽さ」ついてはどうだろう。
「履いていて軽いですけど、すごく軽いというワケではありません。軽く作ろうと思うと剛性感が減るので、そこをシマノは求めていない気がします。軽さを選ぶ人は何を履いてもいいと思いますが、僕の経験からすると、軽いシューズはただ軽いだけで終わっている気がします。シマノのシューズって、履いていて疲れることが少なく、2年でも3年でも使える耐久性があります。ソールのかかと部の補修もできます。使い勝手も踏まえたトータル面を大切にしていると思います」
作られた製品がしっかり、そこが好き
「僕がシマノのシューズを好きなのは、作られた製品がしっかりしていることですね。少し話が広がりますが、シマノがビッグプーリ―などを発売していないのは、製品開発の段階でいろいろ試してみて『ヤメよう』となっているのだと思います。たとえ製品に『おもしろみがない』『変わり映えしない』という人がいても、製品の質をきっちり守りながら進化させているところに惹かれます」
これまでにシマノ以外のシューズも履いたことはあるが、結局はシマノに戻ってきた、という筧さん。周囲にもそういうサイクリストは多いそうだ。後編では、そんなシマノ愛を持つ筧さんがRC903の開発者にインタビュー。テクノロジーをより深掘りします。
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- CREDIT :
- TEXT:タナカ ダン PHOTO:管 洋介
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