バイク&フィッシュを実践するサイクリストと考える「カーボンオフセットな小淵沢ライフ」|Way to ZERO
小俣 雄風太
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持続可能な社会の移動手段として、環境にやさしく手軽な乗り物である自転車にあらためて注目が集まっている。温室効果ガス(CO2)の排出をなるべく減らしつつ、排出してしまった分を別の手段で削減・吸収して埋め合わせる考え方を“カーボンオフセット”というが、サイクリストならではのカーボンオフセットなライフスタイルとはどんなものだろうか。山梨県の小淵沢に拠点を移したサイクリストの事例から、スマートな暮らしとこれからの「移動」について考えてみよう。
「早朝、鳥のさえずりで目を覚まし、自転車仲間と自転車に乗って。時間があれば自転車を駆って近くの川まで出かけ、魚釣りに興じる毎日はなんて健康的なんだろうって思います」
自転車メディアを中心にジャーナリスト&編集者として活躍する小俣雄風太さんは、2022年春に山梨県北杜市の小淵沢に拠点を移した。イギリスのサイクルアパレルブランド「Rapha(ラファ)」のプレスを務めていたときに4年間暮らした小淵沢は、「甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳の見え方が日々異なり、同じ日は2度と来ないという当たり前のことを実感させてくれる」という。街での暮らしで忘れがちな「生きている」という実感をあらためてかみしめているところだ。
こちらに来て変わったことは、「移動の仕方」と小俣さん。東京で仕事をしていたころよりも大幅にクルマ移動が増えたそう。圧倒的な自然に囲まれたロケーションで暮らすからこそ、CO2を排出するクルマが必要になるという皮肉。こうしたいびつさに、兼ねてから小俣さんは違和感を抱いていた。
サイクリストが感じている“いびつさ”
「シクロクロスのレースなど自転車のイベントに参加しようと思うと、自転車をクルマに積んで出かけることになります。自転車という、エネルギーを使わない、環境負荷の低い乗り物で遊びにいくために化石燃料を燃やすことに罪悪感を覚えていました」
こうした罪悪感を抱くようになったきっかけは、かつて編集長を務めていたスポーツメディアでサスティナブル特集を組んだこと。記事を作るにあたり、さまざまなジャンルの気候変動対策をリサーチしたのだが…… 。
「当時、トレイルランニングやアウトドアアクティビティの業界では、環境負荷を低減しようというさまざまな施策に取り組んでいました。たとえばトップトレイルランナーのキリアン・ジョルネは、『レースに出場するために飛行機に乗らなくてはいけないなら、レースには出ない』と宣言していました。トップレースへの出場機会を逃したとしても環境負荷のかからないライフスタイルを選ぶという彼のメッセージは、業界全体に強いインパクトを与えました。一方で環境にやさしい乗り物としてムーブメントを牽引すべき自転車業界では、そうした動きがほとんど見られなかったのです」
それは過去に幾度か取材したツール・ド・フランスでも同様だった。
「環境負荷の低い乗り物の世界最速を決めるという一大イベントの会場では、数え切れないほどのクルマがものすごいスピードで行き来している。大会をスポンサードしているブランドの車両が隊列を組み、ノベルティをばら撒いている。それをレースの全区間で繰り返しているわけです。今年、久々にツール・ド・フランスの取材に出かけましたが、2005年に初めて目にしたのとまったく変わらない光景を間近にして、ものごとを発信する立場の人間として、環境のことや気候変動のことをもう少し自分ごとに捉えてみようと思いました」
自転車とサスティナビリティ
現在、フリーのジャーナリストとして配信しているニュースレターでは、自転車とサスティナビリティにまつわるニュースを積極的に紹介している。たとえば最近のトピックは、TREKが出したサスティナブルレポート。このレポートでは、自転車に乗ることでどのくらいのCO2排出を削減できるかを視覚化するという方向性を打ち出していた。
「自転車業界だってただ手をこまねいているわけではないんです。実際、ツール・ド・フランスでもキャラバンカーは全車両をEV化、関係車両をEVもしくはハイブリッドカーに移行するなどの施策を行っています。また、コース沿いにある畑を緑化するなど、カーボン・オフセットの考えを取り入れたレース運営に舵を切っていました」
個人的に行っていることは、「自分が排出するCO2量を意識すること」。自分にできることはささやかだけれど、自然のフィールドを舞台にしたバイク&フィッシュという趣味を長く楽しむためにも、環境になるべく負荷をかけない遊び方を模索していきたい、と小俣さん。
「釣りに出かけたらプラスチックごみを拾う、根がかりしたルアーは残さない。15km程度の距離ならクルマではなく自転車で自走する、なるべくローカルのイベントに参加する。釣りなどの遠征で飛行機を使った場合は、後日、移動した距離分をバイク&フィッシュで自走してカーボンニュートラルを心がけるなど、自分なりのカーボン・オフセットに取り組んでいます。東京・沖縄間は距離にして約1500km。フライトではわずか2時間半の距離ですが、自転車でこれを賄おうとすると数カ月はかかる。この差を体感することが、環境問題への気づきの第一歩だと思っています」
移動の仕方もしかり。田舎で暮らす以上、クルマは必要不可欠の存在だ。だからこそ、なるべく環境に負荷をかけないクルマを選び、負荷のかからない乗り方を意識していきたい。正解はないのかもしれないけれど、よりよい解を目指して試行錯誤を続けることに意味がある、というのが小俣さんの考えだ。
サイクリストが考える、これからの「移動と暮らし」
理想のクルマは、燃費が良くて行きたい場所へストレスなく連れて行ってくれる質実剛健なクルマ。見た目も内装もミニマムで洗練されていて、無駄を省いた――レス・イズ・モアを体現しているクルマがいい。
「そういう意味でEVに期待しています。自然のフィールドで遊ばせてもらっている以上、環境問題を自分ごとにしていきたいと考えるサイクリストは少なくないはずですが、都市部以外での充電という課題からEVには手を出しづらかった。けれども最近は道の駅にも急速充電設備が設置されるなど、アウトドアフィールドの周りでインフラが整ってきています。また、航続距離も500kmを超えてきており、都市部から移動できる距離もぐっと広がりました。インフラ整備とEV性能の向上から、アウトドアの世界におけるEVという選択肢が現実的になってきていると感じます」
一人一人が環境のことやそこに果たす自らの責任に少しだけ思いをはせること。それが、これからの移動のこと、移動と暮らしのよりよい関係を見つめ直すきっかけになるかもしれない。
フォルクスワーゲンが提唱する、「ゼロ」な未来への道筋
小俣さんが未来のクルマとして期待するのは、フォルクスワーゲンブランドのEVだ。
「ツール・ド・フランスでアスタナ・カザフスタンチームのサプライヤーカーを務めていたのがフォルクスワーゲンでしたが、自動車メーカーなりにエコな乗り物である自転車に可能性を感じ、そこにブランドとしてのメッセージを託しているのではないか、僕はそんなふうに感じました」
未来のモビリティ社会の実現への第一歩として、フォルクスワーゲングループが打ち出す理念が「Way to ZERO」だ。世界有数の自動車メーカーとしてカーボンニュートラルは自らの責任であると考えるフォルクスワーゲンは、2050年までに100%カーボンニュートラルな企業になることを目指している。EV化を進めるだけでなく、サプライチェーンと生産段階の脱炭素化、グリーンエネルギーの使用、バッテリーのリサイクルといった対策を進める。また、グリーンエネルギーへの直接投資なども行い、メーカーとサプライチェーン、顧客だけでなく、政治、ビジネス、産業全体で大きなシフトを促していこうというもの。こうしたコンセプトを受け、フォルクスワーゲンブランドから、新たにフル電動SUV「ID.4」が誕生した。静粛性、居住性に優れながら高い走行性能を備えた「ID.4」で次世代の走りを提案していく。
フォルクスワーゲンから誕生した「ID.4」って?
「毎日が楽しくなる」をコンセプトに掲げるフル電動SUV。日本での発売第一弾となるEV専用プラットフォームを採用しており、走り出しで感じる力強いトルク、リアモーター・リア駆動のすぐれたコーナリング性能、安定した走行性能、そして大容量バッテリーで実現した561kmという航続距離で、街乗りから山道までEVならではのスマートな走りを体感できる。
また、EV専用プラットフォームにより優れたパッケージングをかなえたことで、広々とした室内空間を実現。ドライバーはもちろん、同乗の家族も快適なドライブを楽しめるインテリアが誕生した。これまでのどんなEVよりEVを身近に感じさせる「ID.4」が、家族みんなの毎日を楽しくしてくれそうだ。
企画協力:フォルクスワーゲンジャパン
www.volkswagen.co.jp
TEL.0120-993-199
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