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新リーグから飛び出した逸材 宮崎泰史|El PROTAGONISTA

2021年、新たなプロロードレースリーグのJCLが発足。日本のトッププロが車輪を奪い合うレースの最前線に割って入った宮崎泰史。競技歴わずか3年でトップ戦線に並んだ彼にプロタゴニスタはフォーカスした。

デビュー戦でつかんだ全日本選手権

絞られたトップグループでも果敢にアタックしレースを動かす宮崎選手。地元大分のプライドをかけて戦った2021年JCL大分大会。彼の快進撃はここから始まった

名も知られぬ若者がレースファンを驚かす

2021年8月8日JCLロードレースツアー大分大会、前大会の広島では新城雄大の優勝を筆頭に4位までを独占したキナンレーシングチームの快進撃は止まらず、この日もレースの主導権を握っていた。

ハイトルクを強いられる上りを抜けた後に設置された中間スプリントポイントを越えた直後、彼らの強引なスピードアップでプロトンは崩壊。早くもレースのフロントに残るのは一部トップチームの複数人と各チームのエース選手20人程度に絞られていた。

横なぐりの雨が強くなり、選手たちの表情にも疲労が隠せなくなってくる頃、一人鋭いアタックを繰り返すブルージャージがカメラのファインダーに飛び込んできた。当時スパークルおおいたに所属していた宮崎泰史だった。まだ名も知られぬ彼の、地元大分の新興チームのプライドをかけた覇気ある走り。それは見る者の心を熱くし、引きつけた。

そしてその並外れた能力は、続く秋吉台カルストロードレースで多くのファンを驚かせることになる。広大な丘を舞台にしたレースは序盤から飛び出した5人の選手がリードを奪うことに。スパークルおおいたは孫崎大樹をこの逃げに乗せチームとして脚を温存。

終盤まで続いたこのエスケープが吸収されると各チームのトップクライマーが一斉に集結、山頂のゴール目掛けての大合戦となる。この混戦を制したのはキナンレーシングチームの山本大喜。

そして彼から4秒後、次に山頂に現れたのは死力を尽くし強豪を振り切った宮崎だった。日本のプロロードレース界に22歳の新星が現れた。この活躍が彼の人生を大きく変えることとなっていく。

レースのたびに周囲を驚かせる活躍

JCLカンセキ宇都宮クリテリウム。重要な場面でレースをリードするなど、プロ2年目ながらさまざまな動きに対応できる力強さを見せた

レースで気づいた驚くべき適性能力

「今でこそ我慢、根性とかいう言葉が好きですが、これは自転車競技に出会ってからの話。それまでは小・中学生のときに野球をやっていたぐらいで、スポーツをガチガチにやるような少年でもなかったんです」

熊本県宇城市、街から少し離れた田舎町。一面に広がる畑を見守る小熊野豊野神社の神主の家に育った宮崎泰史。ロードバイクに出会ったのは高校3年、塾へ通学するために購入したのがきっかけだった。そしてロードレースとの縁は2018年、大分の大学にロードバイクで通っている途中でディレイラーが故障し津末サイクルを訪れたのがきっかけだった。カーボンの本格的なバイクがそろう店で、店長のロードレース話を聞くうち次第に「レースに出たい!」と感化されたという。

こうして、過去ミヤタレーシングのプロ選手として活躍した津末浩平氏に出会ったことで宮崎のロードレース人生は始まった。彼の練習会に参加し数カ月後、デビュー戦となったのは広島森林公園を舞台にした西日本チャレンジロードU23(2019年3月開催)だった。

「冷たい雨のなか、“レースって怖いなぁ、寒いなぁ”と展開もわからずに『とにかく前にいろ』という津末さんの指示のもとガムシャラに走りました」

結果は4位。関西地区の登竜門的な大会でのいきなりの入賞。しかし当の本人はその実感もないまま師匠の津末氏の出走するマスターズを観戦、日大時代に同期であった元日本チャンプ西谷泰治(現愛三工業監督)とともに飛び出した彼の走りに感激していた。

「自分の入賞より『津末さんがプロのロードレースチームの監督と知り合いなんてすごい!』という方が印象深かった記憶です(笑)」

そしてこの入賞により全日本選手権ロードとTTの資格を手に入れたことで、宮崎の競技人生は急激に進展していく。
3カ月後の全日本に向けていくつかのレースで経験を積み、型落ちで特価になったTTバイクを手に入れて挑んだ全日本選手権タイムトライアルU23で宮崎はトップの今村駿介(チームブリヂストン)から2分17秒遅れの6位入賞を果たす。今村は同世代でも世界選手権優勝を始め数々の実績を残す日本のトップランカー、日本一を決める舞台でその高い潜在能力が証明された。

「これは自分に適性のあるスポーツだ」

実業団連盟主催のJエリートツアーにも参戦。西日本ロードクラシック3位、椿ヶ鼻ヒルクライムで優勝を果たしトップクラスタのE1に昇格。

ロードレースの面白さにのめり込んだ宮崎は朝に練習、昼に大学で航空宇宙工学を勉強、夕方から夜中にパチンコ屋でアルバイトという生活を送り、自らの遠征費を稼ぎだした。

そして意気込んで臨んだ翌シーズン、4月のJエリートツアー群馬3連戦で総合3位となるが、新型コロナウイルスの脅威が日本を襲ったことでレース開催自体がほとんどなくなってしまう。しかしレースがなくなったことで、この大分の大学生に新たなチャンスが訪れる。

ある日、コロナ渦で地元大分に帰省した黒枝兄弟と練習する機会に恵まれた。日本のトップスプリンターとして名が知られていた2人と走ったことで、逆に彼らが宮崎の実力に目を留めた。そして、後にスタートする新チーム構想「スパークルおおいた」の立ち上げメンバーに誘われることに。

「大学4年目前の急展開でしたが、津末さんと相談し入団を決意しました」

その言葉どおり、2021年、時を同じくして立ち上がった日本のプロリーグJCLの幕開けとともに宮崎泰史はスパークルおおいたでプロデビューを果たした。そして冒頭にも述べた快進撃。彼の活躍には競技に出合う前から結果と向き合い状況を変えてきた人生があった。

JCL開幕戦であるカンセキ真岡芳賀ロードレースで強力な牽引力を発揮しチームの勝利に貢献した。レース直後その働きぶりを笑顔で振り返る増田選手と宮崎選手
十数戦のレース経験で、日本トップ勢の一角に食い込んだ2021年JCL秋吉台カルストロードレース

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PROFILE

管洋介

Bicycle Club / 輪界屈指のナイスガイ

管洋介

アジア、アフリカ、スペインなど多くのレースを走ってきたベテランレーサー。アヴェントゥーラサイクリングの選手兼監督を務める傍ら、インプレやカメラマン、スクールコーチなどもこなす。

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